3話 偽善者、原作知識

 結論から言うと、俺は記憶喪失ということになった。体は既にほとんど回復していたが記憶の混濁ということでもう少し入院させて貰うことになった。


 入院期間は暇な時間が多い。なのでその時間を作戦を考えるために使うことにした。まず、これからの人生の目標を決めよう。

 一つ目は敵組織デウス・アルタナティヴを救うことだな。別に俺は善人ではない。しかし、正義のためにその命を賭けている人たちが拷問されるのを許容するようなことはしたくない。それを許容することは、あの悪魔主人公と同じ土俵に立ってしまう。そんなことは俺のプライドが許さない。

 二つ目はあの悪魔主人公から魔法を奪うことだ。あの程度の理性の奴に魔法とかいうご都合主義万歳の力を与えては世界が滅ぶだろう。普通に死ぬのは怖いんだ。

 三つ目は彼女を作ることだ。「魔法と恋」の恋とはあの悪魔主人公のことではなく、この作品には恋愛要素が含まれていたからだ。そんな物を最期に見たんだ。恋したい欲が出てしまった。

 

 とりあえずこの三つを目標にこの世界を生きていこう。まずは、魔法への対抗策が必要だな。俗に言う、原作チートを使いますか。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 夜の病院を抜け出して、やって来たのは家の近くの教会だ。確か扉の前でこう言えば


「我が体は、神の剣。落ちし天使の手先を滅する刃となろう。例えこの魂が地獄に落ちようとも。」


 すると、


「入れ」


 側のマンホールから声が聞こえた。迷わず、目の前の扉を開けると


「貴様、一体何者だ…!!」


 トライデントを首元に突きつけて目の前の影は言う。さぁ、原作知識無双を始めようか。

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