運営会議 議事録より 怪傑ソロリの暗躍
売れないコメディアンだったソロリ・シン・ザイモン氏(芸名)。
ソロ芸人としての芸人活動は短命だった。コメディアン活動をリタイアしたソロリ氏は、ささやかな芸能事務所を運営する。
しかし、芸能事務所の不祥事が暴露され、ソロリ氏の凋落が始まる。
赤字まみれの芸能事務所をたたみ、世を儚んだ彼が真っ先に思いついたのが、修羅之樹学園の求人広告に応募することであった。なにしろ報酬の金額が破格なのである。
誰でも出来る簡単な仕事です。
美辞麗句が並ぶ。
ソロリ氏は、何となく自分でも新しくやり直せるような気持ちになった。
「武将転校生というからには、やはり過去からタイムスリップしてきたってことなんですかね」
素朴な疑問をぶつけてみる。
修羅之樹学園の女性面接官は説明をはじめた。
「んーと。働き方でギグワークとかありますよね。あんな感じで、パートワークがあるように、ギグ転生てのがあるわけですよね。武将転校生さんたちも」
「ギグ転生ですか。不勉強なもので、初耳です」
「私も本学園に来るまで知りませんでした。この学園の全容なんて、正直、誰にもわかりませんよ。規模が巨大すぎて。国家ですら匙を投げたんですからね。無法状態です。でも誰かが管理しないと事態が悪化してしまう。私達にできるのは、対症療法です。目前の現象に対して、修正パッチを当てていくのが主な業務内容です」
それってデスマーチってヤツ?
思わず声が出そうになったが、やめておいた。
修羅之樹学園の中央部に自生する巨大な樹。外宇宙から飛来した侵略種、生物兵器との噂もある。その近辺に洞穴状のワームホールが複数発生し、学園内では便宜上「武将百穴」と古来より呼称する。
ソロリ氏の仕事内容は、登下校した武将転校生や
はじめのうちはマジメに管理人として働いていたソロリ氏だが、好奇心にかられ、武将百穴の内部構造を知りたくなった。
立入禁止区域に、深夜ソロリと忍び込み各種実験を繰り返す。
自作の怪しげなデバイスを持ち込み、時空ゆがみの法則性、バグなどを探る。そんな実験に熱中する日々が続いた。
いつしかソロリ氏は、自らを「怪傑ソロリ」と称し、時空を自由に旅する
怪傑ソロリ氏の絡んだ最大規模の事件が、西暦XX年における織田リンの登校事件であった。
性格パラメーターを意図的に改変された織田リン強制召喚による、クラスメイト武将大量殺戮事件。
あまりにも凄惨な事件であったため、
一応の解決をみた。
怪傑ソロリによる犯罪行為「千利休無限増殖現象」も、解決出来ず現在に至るが、現時点では、千利休は人畜無害であり、修羅之樹学園は平穏無事を装っている。
だが、水面下では、怪傑ソロリの仕掛けたバックドア攻撃が今にも始まろうとしていた。
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