第8話 夏休み 心頭滅却しても 熱いものは熱い(2)

妖獣タカマガツチの現出により、城下町が一瞬にして火の海に包まれてしまった。

三位一体の妖獣、威力絶大なり。


今度こそ勝てるのやもしれぬ。

幾星霜、この輪廻、繰り返したか。

すでに忘却の彼方よ。


快川紹喜かいせんじょうきは、想像以上の火力に満足して笑った。


村上海賊衆の二人が懸命に消火活動にあたる。

言術げんじゅつを唱えると、魔改造の結果、水陸両用車となった「村上海賊船」が煙の中より現出する。

火災時に備え、村上海賊衆が秘中の秘として編んだ言術げんじゅつ効果である。


「秘術、ムラカミ水龍。テー!」


現代におけるスーパー消防車的な機能を備える「村上海賊船」から、激しい水流が放出されていった。

しかし、紅蓮の炎はなかなか消えてはくれない。被害拡大を食い止めねば、城下町は焦土と化してしまう。

「消火作業は、オレたちが全力で頑張る。斎藤くんと山内くんはタカマガツチ掃討に全力を尽くしてくれ!」


「あいわかった」

斎藤義龍と山内一豊は、武将転校生なかまたちに一礼し、高知城に向かう。


高知城城下町。

サーチライト砲を究極進化させるべく派遣された隠密集団がいた。修羅之樹学園風紀委員会の隠密衆である。

隠密衆筆頭、ザック・イーロニアが呪術を唱える。正確に表現すると、空中に散布された大量のナノボットに命令を出し、高速で組み換えを行っているというところか。

いずれにせよ現世では理解も及ばぬ術。


「魔導錬金、ハイパーサーチライト砲の錬成完了!待たせたな村上海賊衆」


空中で消防活動にあたっていた村上海賊船に、ハイパーサーチライト砲が合体し、威風堂々たる巨大な空中戦艦と進化した。砲身が妖獣タカマガツチに向けられ、高出力レーザービームが射出された。


エンディングテーマソング

Perfume 「レーザービーム」


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