第10話

はああ、する事ねえな。

オニババが出てから5日目、宿舎に缶詰め状態だ。

ダンジョンを事由とするゲート封鎖が行われた場合、

ダンジョン民には最低限ではあるが休業補償が支払われる。

だからだいたい、食堂でグダってるか、部屋で寝てる。

暇つぶしは限られている。

食堂のTVはN⚪︎Kだけが映る、民放は音声だけが聴こえる時がある。

ラジオもN⚪︎Kだ、地元のFMがかろうじて聴こえる。

ネットは管理事務所で専用端末を借りれる、もちろん有料だ。

あとは管理事務所でとっている古新聞古雑誌が回ってくる。

3日で飽きた。

同類と食堂でダベってたら、ニートがやってきた。


「ひまっすねぇ、いつまで続くんすかねぇ。」


「わからんなぁ、どっちにしろ、10日過ぎたらヤバいけどな。」


「ヤバいってなんすか?」


「再配置だよ、ダンジョン民にただ飯喰わせるワケねぇからなぁ。」


「他のダンジョンっすか?」


「ああ、今ならそれこそ四国あたりかもな。」


「うぇ、それは………。」


「向こうじゃ、一日中走り回ることになるな。」


「なんとかならないんすか?」


「俺らにゃ、ハンターサマがうまくやる事祈るしかねぇなぁ。」



***



「特定洞窟調査士補助員の皆さん、おはようございます、特定洞窟協会本部からの重要な連絡が有ります。………、………。」


朝っぱらからスピーカーに叩き起こされ、食堂に集まった。

再配置のお知らせだ。


「面談で配置先を相談って言ってますけど、四国以外もいいんすか?」

ニートがきいてきた。


「おう、何処でもいいぞ、ただ、回答は協会にて検討の結果、

四国ダンジョンになりましただけどな。」


「それ、面談の意味無いじゃないすか。」


「ちゃんと法令を守ってますアピールだよ。

ま、俺ら、ここの管理事務所と請負契約した準公務員“扱い”の個人業者だからな。

本部の命令で勝手に動かせないんだよ。」


「だったら、」


「命令はできないけど、本部の意思で動かせるんだよ。」


「………。」


「双方の同意に基づいて臨時出向?だか、異動?になるんよ。」


「はああ。」


「まあ、今回はダンジョンが原因だろ、特別手当が出るからマシさ、

ちょっと豪華なメシ一回分だけどな。」


「うう。」


「そんなに嫌なら辞めりゃあいい。

でも、辞めれないんだろ。

だったら、腹くくれや!」


「うぃっす!」

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