第6話

俺のうちも似たようなものだ。

ただ、うちの実家は限界集落だ。

周りは限界集落の跡地しか無い。

70代は若手、80代はまだまだ現役だ。

その下はいない。

俺は家庭を持てなかった。

甥っ子達は街へ行かせた。

だから30年もすれば全滅だ。


俺は全部捨ててダンジョン民になった。

熊山は背負えるだけ背負って特定洞窟管理責任者をやっている。

どちらも夢も希望も無い。


日本中どこに行ってもこんなもんだ。

先進国じゃ、一番マシなのが救いが無い。

アメリカ様はガンパワーでUSA!USA!したが、被害は甚大。

中国は沿岸部と奥地の少数民族自治区以外連絡とれない。

ヨーロッパはグチャグチャだ。

生き残ってるとこは、どこも自国で精一杯だ。

当然、流通は死んでる。

必要な資源はドロップ品と都市鉱山で確保している。


ダンジョンハザードが起きた時、日本では都心部に被害が集中し、

地方はほぼ無傷だった。

その後の混乱の方が酷かった。

とにかく子供らを地方に疎開させた。

とにかくダンジョンとその周辺を強引に封鎖した。

とにかくモンスターを駆除した。

とにかく緊急立法を乱発した。

メチャクチャだった。

それでもなんとか生き残った。


あとでわかったことは、

人口密度が高い程被害が激増したこと、

ダンジョンを出たモンスターは弱くなること、

ここ百年、特に高度成長期以降に発展した地域でダンジョンが発生しやすいこと、

土地神様、氏神様の祠周辺ではダンジョンがほぼ発生しなかったことである。


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