第4話

管理ゲート前の喫煙所で時間を潰す。

ハンター達が持ち込んだベンチと灰皿替わりのペール缶があるだけだ。

ダンジョンは禁煙では無い。

モンスターは視覚より嗅覚が発達している。

同種でもタバコを嫌うのは一割、残りは寄ってくる。

ハンターはダンジョンから出て来てから一服する。


ゲート向こうは管理施設で禁煙、職員に見つかったら免停も有る。

ゲートの中はダンジョン扱いで職員は絶対入ってこない。

資格が無ければダンジョンには入れない。

職員は絶対に資格を取らない。

資格を取ればかなりの額の手当が支給される。

定年までの雇用も保障される。

それどころか、定年後の臨時職採用も確約される。

死ぬまで管理職員だ。



ぼちぼち、いい時間なのでゲートを出る。

たいしたドロップ品も無いので宿舎に向かう。

途中にある封印の祠から熊山が出て来た。


「特定洞窟管理責任者サマ、オツトメ、オツカレサマデェス。」


「あ、とっちゃん!」


「おう。今日は差し入れ無いんか?ヤン。」


「無茶いいなや、ムロ山と辰見回って来てんで、店なんか無いわ。」


「大変やな、流石は古川県の半分を守る男。」


「もう勘弁して。」


「そういや、川宮の爺さん引退するってホンマ?病気か?」


「川宮の爺さんなあ、はあ、山仕事してた人やから体はピンピンしとる。

でも、頭がなあ。」


「頭ってアレか?」


「そや、認知症や。朝自転車で買い物行くって出ていってかえってけぇへん。夜に坊山の警察署から保護したって電話や。」


「坊山って、200kmぐらい離れてないか?」


「ああ、それも串島から坊山まで国道の真ん中を走って行ったらしい、通報が何十件もあったんやと。」


「どうすんのや、ヤン、また増えるんか?」


「ホンマ勘弁してほしいけど、小学生にやらせるわけにいかん。」


「ああ、南に残ってるのってこどもだけやったな。」


「とっちゃんはどうなんや? とっちゃんとこならいけるやろ。」


「ん〜、辰見の大叔父な、ネコと和解せよに入信したんよ。

ほんで氏神様潰して教会たてたらしい。」


「なにしとんのや!!」

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