第2話
特定洞窟管理責任者の熊山が差し入れ持ってきた。
俺をダンジョン墜ちさせたクズである。
そして罪滅ぼしに月に1〜2回甘味を持ってくる気のいいグズでもある。
中学時代の同級生で、気の弱いどんくさい男だった。
善人でも無く、悪人でも無い、ナニモノにもなれない俺の同類だった。
首吊るか、刑務所に潜り込むしか無かった俺に仕事を世話してくれた。
ただし、重要なことは何一つ知らせなかった。
恨んではいない、感謝もしていない。
宿舎には甘味は少ない。
特定洞窟災害のせいで世界中の流通がメチャクチャになったからだ。
外でも同じよなものだ。
俺のような甘党はイライラしてる。
酒、ツマミ、合法な向精神薬は簡単に手に入る。
ダンジョン民はそれで言うことをきく。
イカれた飲んだくれでも問題無い仕事だ。
「特定洞窟は現代の社会基盤を支える資源鉱山である。」
ウソである。
「ハンターが集めたドロップ品は有効に活用されている。」
コレもウソである。
「特定洞窟調査士補助員に回収ノルマは無い。」
コレはホント。
俺達の集めたドロップ品は製鉄所や、火力発電所で燃焼補助剤として燃やされ燃焼効率を0.012%も上昇させる。誤差である。
ダンジョン民に求められるのはゲートで押されるタイムスタンプが規定時間経過していることだけだ。
俺の同室を紹介しよう。
先ずは俺、からだを壊した借金もちのポンコツ。
社会復帰?したニート、特定洞窟調査士補助員の親族には推薦状が発行され公立老人ホーム・ケアハウスに優先的に入居できる。
アル(薬)中爺い、新宿の公園で寝てたところを保護された。
ゴウサツ、特定洞窟管理法に基づいて特別保釈中(※)の終身刑受刑者である。
※保釈期間中はGPS端末(10kg)の着用が義務付けられる
つまり、ダンジョン民とは特定洞窟災害を抑えるための人柱なのだ。
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