底辺ダンジョン民だけど、なんとかほそぼそやってます。
@mokamoka
第1話
住めば都と言うけれど、住んでみたら生地獄だったよ。
50手前で体を壊し、仕事を無くした。
日雇いや、親戚に泣きついて金をかりたが、どうにもなずにダンジョンに堕ちた。
通称ダンジョン民。正式には特定洞窟調査士補助員。最低賃金でダンジョン内の雑用を請負う準公務員“扱い”の作業員である。
文字通りダンジョンの底を浚う底辺職である。
ダンジョン民の朝は遅い。
ハンター達より早くダンジョンに入るとモンスターにやられるからだ。
ピークタイムを過ぎて、ハンター達がバラけた頃に動き出す。
装備は、火バサミ、ドカヘル、作業用前掛け、長靴だ。あと、回収品を放り込む肩掛けの籠だ。
倒されたモンスターの死骸は早ければ10分、遅くとも数日でドロップ品を残して消滅する。このドロップ品がハンターの飯のタネだ。
とはいえ、ダンジョン浅層のドロップ品の買取価格は¥10単位なので、真っ当なハンターなら10分待って拾ってくなんてことは無い。おかげで俺らは食っていける。
這いずるようにドロップ品を集め、ゆっくりとダンジョンを降って行き、夕方、戻って行くハンターに張り付くようにして帰る。
そして、地上に戻ってからが長い、ハンター達の買取が終わるまで、管理ゲートの中で待機する。20時過ぎてやっと買取だ。簡易計測器(通称ゴミバケツ)に回収品を放り込んで数十秒、精査なんて時間の無駄とばかりにグラムなんぼで買取金額が表示され、確認ボタンをタッチして終了。
コレがダンジョン民の1日だ。
ああ、その後、特定洞窟調査士補助員専用宿舎に戻って飯を食い、4人部屋の二階ベッドに潜りこんで寝る。この宿舎に柵はついて無い、最寄りの集落まで歩きで6時間かかるからだ。
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