第2話石神、出雲の拷問

場所は「ナナ」と言う、割烹料理居酒屋の座敷室。畳の上に、7人は座った。しかし、羽弦は、

「おい、石神、出雲、お前らは立ってろ!名古屋海運に頭下げてドライバーを手配した苦労が分かるか?毎日、弁当のメニューや煎餅食べてるバカが、酒飲めると思うなよ!」

出雲は、

「じゃ、私は帰ります」

「帰っても良いよ!始末書書かせるから。今回で始末書3枚目だろ?クビだな」

と、羽弦が言うと、

「私達、立って何をするんですか?」

「お酌だよ」

「分かりました!チーフ。僕はハイボールいいですか!」

「おい、元自称大幹部、お前らは酒飲めないが、今夜は特別に水を飲ませてやる」

「……ありがとうございます」

宴は始まった。


小林課長、広坂主任、羽弦チーフ、新人の2人の女の子は生ビールで乾杯した。

「いやぁ〜、今回は焦ったわ。ギリギリになって、石神が手配してないと言い出してね。そして、明日の仕事のチェックを出雲はネットサーフィンでしてないし」

「課長、この2人、クビに何でしないの?」

「広坂主任、それはもうすぐよ。今、この2人の新人さんに仕事を覚えてもらい、慣れたところで石神、出雲には清掃課のパートにするつもりなの。だって、使えないし、会社で遊んでいるから」

「別にクビにでもいいよ!」

「羽弦君、その可能性もあるね」


料理が次々に運ばれてくる。

石神と出雲はずっと、突っ立てる。広坂が瓶ビールを注文して、皆がビールを飲み出すと、空になったグラスに、

「失礼します」

と、石神はグラスにビールを注いだ。出雲が、羽弦のグラスからビールを溢れさせた。

「何してんだ、豚!お前、お酌もできねぇのか?」

「す、すいません」

まるで、アウトローの酒飲み会のようであった。

3時間、ずっと立ちっ放しの石神と出雲は、

「課長、もう体力の限界です。座らせて下さい」

と、言い出した。

「いいけど、今回の手配ミスは始末書書いてもらうから」

「えっ。話しが違う。僕は元輸送課長の大幹部だよ!大幹部が清掃課とは周りが許さないと思いますが……」

羽弦が喋り出した。

「おいっ、石神。まだ、自分の事を大幹部って言ってんの?うちの西専務はお前の事『バカ』って呼んでるよ。だから、清掃課に行けるだけでありがたいと思え!バカ。嫌なら退職届だせ。まだ、住宅ローンはあと、15年は残ってるよな?」

「……始末書かきます。ねぇ、出雲さん。一緒に清掃課で頑張ろうよ!」

「……私は身体動かすの嫌なの」

「じゃ、出雲は退職届出せ!働く気の無いやつを置いておけん」

「……仕事します」

「その言葉は何度も聴いた。清掃課決定」

2人のバカは、新人2人に、

「あんたらが、いなければ僕たちはこの輸送課から出なくて良かったんだ。他の課に行ってくれ!頼む!」

2人の新人の1人が、

「サイテー、話し聴いていたけどアンタ性格わるよ。チーフに見せてもらったけど、社内報で、『私は性格は温厚で、優し過ぎるのがのが欠点だ!』って書いてあって、全然、温厚でも優しくも無いじゃないですか!」

もう1人も言う。

「石神さん、最初は私達に威張っていましたよね。それに、石神さんの息、臭いです。それと、出雲さんは身体が臭いです」


哀れ、新人2人にもけちょんけちょんに言われたこのバカ2人の運命は?


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

居酒屋 羽弦トリス @September-0919

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ