俺が選んだ答え

俺は放課後になると、小学校の逆側に足を進めた。


 もちろん逃げたわけではない。


 昨日、一昨日みたいに小学校の校門で待っていたら、周りの大人に今度こそ取り押さえられるかもしれない。


 そんなことにならないようにならないようある程度人気の少ない場所であの女子小学生集団と話そうと思ったからだ。


 余計怪しい人に見られるかも知らないが、それでも校門で話すよりはマシだろう。


 それに唯華も発言しやすいと思ったのだ。


 これがおっさんの言ってた失敗から学ぶと言うことかもしれねぇな。


 そうなことを考えてると女子の話し声が聞こえた。


 覗いてみると、それはあと女子集団と唯華だった。


 相変わらず唯華は四人の後ろにくっついてるだけだ。


 俺はそれを見て、すぐ出たい気持ちだったが、一旦落ち着き、女子集団が俺を通り過ぎてから、出た。


「唯華!」


 女子達は俺を見た瞬間、一瞬固まったが、リーダーみたいなあんなことがすぐに指示を出そうとした。


「あのときのストーカー!ねぇ、急いで学校まで戻って先生呼んできて!」


 相変わらずの判断で先生に呼ぶように指示したが、俺が学校に戻る道を塞いでるため、戻ることはできない。


「ちょっと待て!俺は怪しい奴じゃねぇ」


「怪しい奴はそう言うって言ってるでしょ。じゃあ、怪しい奴じゃないなら何なのよ!」


「俺はこいつの兄だ!」


 それが俺が出した答えだった。


 これは間違いかもしれない。唯華は嫌がるかもしれない。これが原因でもっと大事になるかもしれない。


 でも、彼氏とか近所の人というよりはそう言った方が一緒に登下校しててもおかしくないと思ったのだ。


「お兄ちゃん?なわけないでしょ。大体、お兄ちゃんなら校門でそう言えばよかったじゃない!家で考えてきたんでしょ。」


「ちげぇよ。あの時はお前が大声で言うから、周りの目を気にしたんだよ。危うく逮捕までされそうになったぞ。」


「それはあんたがストーカーするからじゃない!それにこんなガサツで見た目悪そうな人が唯華のお兄ちゃんな訳ないじゃない!」


「おい!人を見た目で判断するなよ!」


「そう言われたくなかったら、髪を黒に染めてから出直しなさいよ」


 いや、本当にそうなのだが、今のところからに戻すつもりはないので、本題に戻すことにした。


「その通りだけど、そうじゃないだろ。俺は唯華を迎えにきてんたんだよ。」


「だから、証拠を出しなさいって言ってるのよ」


「じゃあ、唯華に聞いてみればいいじゃないか」


「確かにそうね。まぁ、結果は分かりきってるけど」


 そう言って、唯華の方を向く。こっからはかけだ。唯華が勇気出せるかどうかだ。


 でも、場所を人が少ないところにしたり、最大のサポートはした。


 あとは唯華を信じるのみだ。


「この人は本当に唯華のお兄ちゃんなの?」


 そう、リーダーの女子に尋ねられた、唯華は怯えた様子で俺の目を見てきた。


 それに対して。俺は笑顔で”頑張れ”と口パクで言った。


 それをみて、唯華は女子集団の方に顔を向けて、こくりと頷いた。


「本当に!?脅されたりしてない?」


 それにもう一度、唯華はこくりと頷いた。


「だから、こいつの兄だって言ってるだろ」


 唯華は喋ることはできなかったものの勇気を出すことができた。


 これは唯華にとっては大きな一歩だろう。


「わかったよ。疑って悪かったわね」


 ちょっと不機嫌そうにいうリーダーの女子に安心した俺はちょっといたずら心を持った。


「そう言う言い方でいいって親に習ったのか?」


「ごめんなさい」


 口々に四人全員がそう言って謝った。


 おもったより、素直な反応だったものだから、少しだけ罪悪感を感じた。


「いや、こちらこそ、唯華の心配してくれてありがとうな。あと、また唯華と仲良くしてくれると嬉しいな」


「もちろんよ。だって、仲良くなりたくて一緒に登下校しようって誘ったんだし。」


「そうなのか?」


「そうよ。でもうまく話せなくて、一人ぼっちにさせてしまっだけど…」


 もしかしたら、ちょっと不機嫌になったのは話すタイミングを失うからかもしれないな。


 まぁ、クラスより帰り道とかの方が話しやすのはわかるが…


「そうか、でも、ありがとうな。また、学校とかでも話してくれると嬉しいな」


「わかったわ」


 嬉しそうにそういうリーダーの女子を見て、この調子だったら、唯華次第で友達できそうだなと唯華をサポートできるように頑張ろうという気持ちになった。


「じゃあ、唯華、一緒に帰ろうか?」


「うん!」


 と、手を差し出すと唯華は走って、小さい手で俺の手を掴んだ。


「それじゃあ、ありがとうな」


「じゃあね」

「またね」


 そうお互い挨拶して帰ろうとすると、唯華は俺の手を離して、女子集団の方に走っていった。


「あ、あの、いっしょに、かえってくれたうれしかった。ありがとう」


 そう言ったのだ。唯華が自分の意思で自分から発言したのだ。


 この様子なら友達の心配はしなくても良さそうだなと余った。


「こちらこそ。また学校で話そうね」


 それに対し、唯華はこくりとうなづいた。


 まだちゃんと話せるまでは遠いかもしれないけど、少しずつ成長して行けたらいいと思う。


「じゃあね」


「ばいばい」


 そう言って、女子集団は来た道を戻っていった。もしかしたら、家の方向と逆までついてきてたのかもしれない。


「みんな優しそうだったな」


「うん!」


「そうか、あ、唯我の兄って言ったけど、よかったか?」


 それだけが一つだけ心残りだった。


「あの女の警察官にお兄ちゃんって言われた時嫌がってたけど…」


「ううん、だいじょうぶ。それよりゆいとといっしょにかえれるほうがうれしいもん」


「そうか、それならよかった」


「ありがとう!」


「どういたしまして」


 唯華に嫌われるかもしれないとかは余計な心配だったのだ。


 今回はただ行動すればよかっただけだったのだ。


 それができなかった己の弱さが今回の件を大事にしてしまったのだ。


「じゃ、いっしょに帰るか」


「かえる!」


 そう言って、手を繋いで二人楽しく離しながら帰った。







 もちろん翌日、再び唯華の変な行動に惑わされ、遅刻して、康平に対しバカにされたのだった。

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