第185話 ネバダダンジョンシティ
ロジャーが台座の水晶を触る。
『【スキューバ】のスキルを獲得しました』
他のメンバーも次々にスキルを獲得していく。
最後に私も水晶を触る。
『NO636ホノルルダンジョンの通信環境が解放されました』
「ようやく終わったね。スキューバの効果ってどんなのかな?」
「鑑定して教えてくれよ」
~~~~
【スキューバ】
水中での呼吸及び活動が可能になる。
効果時間中は水圧での影響を受けない。
レベルかける一分間の行動が可能。
~~~~~
「水中で呼吸も出来て普通に行動できるんだって。どんな風になるのかな? グレッグちょっと使ってみてよ」
「なんか凄そうだな。使ってみよう」
そう言ってグレッグがスキューバを発動して、目の前に広がる海の中に飛び込んだ。
地上にいる時は全然気づかなかったけど、空気の膜が全身を包み込んでいて、まったく服とかは濡れてなさそうだ。
それに……空気の膜に覆われているのに、普通に潜水も出来ている。
どんな原理なんだろ?
三分ほどで海から出てきたグレッグは、服も全然濡れていない。
「こいつはかなり便利だな。俺たちなら一時間以上も水中行動可能になるから、かなり使いどころが多そうだ」
「便利なスキルだね。水着に着替えずに海水浴が出来るとか普通に嬉しいよ」
「いや、それは駄目だろ。海水浴は水着に着替える事が大事なんだと思うぞ」
「ロジャーたちと一緒に行ったら、絶対ガン見されるからイヤだよ」
「それは男として正しい行動だから、しょうがない」
「まーそれはいいから、さっさと宝箱開けてダンジョンコア壊してね」
ロジャーが三つ並んだ宝箱の前に立って右端の宝箱を開け放った。
「お、カッコいい槍だな」
ロジャーが手にした槍を心眼で見た。
~~~~
【トライデント】
かつて海神トリトンの使用した三又槍
攻撃力に二十パーセント、敏捷に十パーセントの補正が付く
【イカヅチ】のスキルが発動できる。
~~~~
「魔法スキル付きの武器だね。攻撃力と敏捷も上がるからかなりいい武器だよ」
「やった、大当たりだな。魔法スキルって何が使えるんだ?」
「イカヅチって名前だけど、詳細を見てみるね」
~~~~
【イカヅチ】
雷属性の攻撃が出来る。
威力は込めるMPによって上昇するが、一秒で十MPを込めることが出来る。
込める上限は無い。
一日に二発まで使用できる。
~~~~
「ロジャー……貯め攻撃が出来るみたいで一秒で十MPを込めることが出来て上限なしだって。ちょっと撃ってみてよ」
「ますます凄そうだ」
そう言ってロジャーがトライデントでイカヅチを放った。
天から雷が落ちてきて、グレッグの真横に炸裂した。
地面が大きく陥没してグレッグが穴に落ちた。
「てめぇロジャー殺す!」
ロジャーがげらげら笑いながらグレッグから走って逃げだした。
「ちょっと、ロジャー時間が勿体ないから遊んでないで、貯め撃ちも見せてよ。十秒くらいでやってみて」
「了解だ心愛。的はグレッグでいいか?」
「当たったら普通に死ぬと思うから止めなさい」
MP百を込めたイカヅチが発動された。
先程のイカヅチに比べたらかなり極太のイカヅチが落ちてきて、海岸の岩に直撃した。
岩は、木っ端みじんに砕け散った。
「すげえな……」
「確かに凄いね……一日、二回までしか使えないから、使い時は考えなきゃいけないけどボス相手のラストアタック用かな」
「一日二回なのか? ちょっと残念だな。だがかなり役に立ちそうだ。俺が貰ってもいいのか?」
「いいんじゃない?」
その後は、ロジャーがギフトでダンジョンコアを破壊して、ホノルルダンジョンは消滅した。
地上に戻ると冴羽社長と合流する。
「心愛ちゃん。忙しくてすまないんだけど、今から早速ネバダのネリス空軍基地に十キロ四方のダンジョンシティを構築したいんだけどいいかい?」
「はい、今日はボス戦をやっただけですから、大丈夫です」
マッケンジー長官と、ロジャー、グレッグ、冴羽社長と私の五人で早速ラスベガス近郊のネリス空軍基地に転移した。
マッケンジー長官から早速指示が出る。
「心愛ちゃん。この基地に隣接した場所を、十キロメートル四方で大結界で囲んでもらいたい。出入口は基地側に一か所だけでいい」
「わかりました」
早速、大結界で囲むと、ロジャーが既に決まっていた設置ポイントに二つのダンジョンを設置した。
それぞれのダンジョンの二十層にスキル獲得用のオーブを設置して、今回の依頼は完了となった。
「ロジャー、これからアメリカ国内のダンジョンはここに全部設置していくんでしょ?」
「ああ、そうだな」
「今日の様子を見ていたら、DランクやCランクのダンジョンなら私を呼ばなくても大丈夫だと思うけどな?」
「心愛、俺も恐らく大丈夫だとは思うが……攻略失敗したら次のスタンピードが起こる危険な場所になる。そうなった場合の被害を考えると、安易に攻略をしようなんて判断は、とてもできないさ。人の命がかかわってくるからな」
「ああ、それがあったね。でも、私も身体が一つしかないし忙しすぎると困るんだよね……」
「その辺りは、ちょっと我慢してくれよ。そのかわりグレッグは好きなようにしていいからさ、的にでも使ってやったら喜ぶはずだ」
「それは流石にちょっと無理だから……」
今回の四日間で総額二億ドルに及ぶアメリカのダンジョンシティ構築は無事に完遂した。
次は、クリスマスホーリーの業務だね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます