第180話 アメリカからの依頼
ジャフナスタンピードの鎮圧が終わり、アンリさんが二つ目のダンジョンマスターとなった事で、アンリさんも攻略報酬の階層設定が可能となった。
ダンジョン省からの依頼で下関ダンジョンの攻略報酬である【パーティ作成】を二十層に設置するように依頼を受け、冴羽社長とアンリさんと私の三人で金沢へ向った。
設置自体は、アンリさんがダンジョンリフトを使って最終層へ行き、設定をするだけなのですぐに終わったんだけど、ダンジョン協会に顔を出すと葛城将補に声を掛けられた。
「冴羽社長、アンリ大佐、心愛ちゃん。三人とも少し時間を取ってもらってもいいですか?」
冴羽社長が代表して返事をした。
「長時間にならないなら大丈夫です」
葛城将補と私たちの四人で会議室へ場所を移すと早速、用件を説明された。
「アメリカDSFのマッケンジー長官から、日本政府へ要請が二点ほどありました。まず一点目は、アメリカ国内にもダンジョンシティを作りたいという案件です。その為にアメリカ国内のダンジョン二か所を攻略し、ロジャー少佐をダンジョンマスターにした上でネバダ州にダンジョンシティを作りたいという意向です」
「それはD-CAN に対しての正式な依頼と受け止めてよろしいのですか?」
「はい、アメリカ側も日本政府を通さずに直接依頼をする事は流石に遠慮したようですね」
私は少し気になった事があったので聞いてみた。
「あの……ロジャーだけをダンジョンマスターにしたら、またグレッグと喧嘩になったりしないですか?」
「ああ、そこが二点目の要請につながる話なんだがアメリカ政府としても今、最も気になるのは『クリスマスホーリー』の活動なんだ。そこでグレッグ少佐を当面クリスマスホーリーへの駐在武官として受け入れてもらえないかとの打診だ。勿論、ダンジョン攻略に関しては戦力として計算に入れてもらっても構わないし、攻略時にはグレッグ少佐の率いるチームβの参加も容認されるとの事だ」
冴羽社長がアンリさんへ意見を聞く。
「どう思われますか? アンリさん」
「そうだな、今回もそうだったがスタンピードの対応を行う際には、戦力の絶対数は大事な要素だ。グレッグのチームβの様なブロンズ以上の戦力が加わるのは正直助かる」
「それでは、マッケンジー長官には了承で返事をして構いませんか?」
「アメリカ国内のダンジョン攻略は、俺たちは必要ないだろ? それに関してはダンジョンシティの構築だけを請け負えばいいのか?」
「いえ、心愛ちゃんだけは派遣して欲しいそうです」
「ええっ? 私だけでアメリカへ行くんですか?」
「勿論、その後のダンジョンシティ構築などの契約事項はありますから、冴羽社長はご同行願うとして、最終層のボス戦以外はアメリカ国内戦力で行いたいという事です。それとアメリカ国内のダンジョン攻略時にはグレッグ少佐とチームβも参加させたいと言う事です」
「我社の事業として請け負うという形で構わないなら、見積もりを提出させていただきましょう。心愛ちゃんも、その案件に関しては協力をしてもらえるかな?」
「わかりました。学校の授業に影響が出ない範囲でなら了解です」
「それでは、早速、今の話の内容を島大臣へ報告して、マッケンジー長官へお返事を差し上げます。これ以降は直接マッケンジー長官とのやり取りで問題ありません」
なんか……夏休みが短くなりそうだなぁ。
葛城将補が退出した後で、ついでに東郷さんから頼まれていた件を、アンリさんと社長に話してみた。
「そうだね、不透明な部分が多いとマスコミや黒田の様な連中が、また騒ぎ出す事も十分考えられるから、私としては参加を認めて構わないと思うが、アンリさんはどう思う?」
「そいつはグリーンランカーで自分の身の安全はちゃんと守れるんだろ? 護衛をつけろとか言わないなら別に構わん」
「クリスマスホーリーの事業計画としてはゴールドランカーの居ない国のダンジョン攻略と再設置になりますが、その辺りの事務的な仕事はどう取り組まれますか?」
「うちの諜報班のメンバーで行う。その辺りのスキルは問題なくみんな身につけているから問題ない。ジャフナのダンジョン協会の隣のビルを取得してそこに事務所を構える。この事業に関しては別に日本の顔色を窺う必要もないからな」
「了解しました。毎月、新月の日から一週間の期間を除き、アンリさんの方で進めていただければ問題無いと思います。戦力の方は今回のアメリカだけでは無く、他の国からも駐在武官を出して来る可能性が高いと思いますので、少し様子を見ましょう」
「わかった」
みんなで博多へ戻ると私は早速、東郷さんへ連絡をした。
東郷さんは大喜びで早速食堂へ顔を出し、アンリさんと冴羽社長に挨拶をすると、希と桃ちゃんが特集記事になったダンジョンマガジンが発行されるまでで退社して、クリスマスホーリー専属の攻略フリーライターとして行動する事になった。
今日も杏さんの淹れてくれたコーヒーを幸せそうに飲んでいたよ。
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