第134話 ダンジョンマスターって……
君川さんの言葉にちょっと動揺して、なんて答えようか考えてるうちに冴羽社長が現れた。
「あれ? 社長までこんな時間にどうしたんですか?」
「ああ、アンリさんと待ち合わせしててね」
「えっアンリさんも来るんですか? それってひょっとして……」
「ああ、おそらく心愛ちゃんの予想通りだ。君川一尉には後でちゃんと説明するから、少しだけ外で待っていてもらえますか?」
「わかりました。必ず説明をお願いしますよ」
そう言って食堂の中に杏さんと冴羽さんと三人で入って行くと……
「先に入っていたぞ」
そう言いながらアンリさんが姿を現した。
「ええぇ。アンリさん一体どうやって中に入ったんですか?」
「お嬢たちが話してる間に、ちょっと気配を消して入っただけだが?」
私も気づかないとか、アンリさんやっぱり凄いな……
ロジャーやグレッグならこんな事できそうにないし。
「アンリさん、下関ダンジョンのダンジョンマスターになっちゃったんですか?」
「ああ、そうだ。このまま放置して置いたら間違いなくロマノフスキーかイギリスのポール辺りに持っていかれるのは間違いないからな」
「それって冴羽社長は事前に知っていたんですか?」
「そうだね、事態は急を要すと思ったから私からもアンリさんにお願いした。JDAや政府を通していると時間だけ無駄にかかりそうだったからね」
「私はその辺りの事実確認を協会の方から頼まれてますが、どう報告すればいいのかな?」
「杏、俺が今から結城に報告するから少し待って欲しい。少し確認と済ませておきたい事があってな」
「それってどんな事なんですか?」
「うん。心愛ちゃん今のアンリさんを鑑定したらどんな風に見えている? 俺と杏も鑑定してみる」
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アンリ豊臣 42歳 (男) レベル69 ランキング4位 ランクゴールド
HP 6,900
MP 690
攻撃力 69
防御力 69
敏捷性 69
魔攻力 69
魔防力 69
知能 69
運 69
ポイント 690
スキル:【パーティ作成】【フレイムソード】【隠密】
ギフト:【アコード】
NO605ダンジョンマスター
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「杏、心愛ちゃん、ダンジョンマスターの項目を鑑定できるかい? 俺にはできないようだ」
「私にもできないわ」
「やってみますね」
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NO605ダンジョンマスター
任意の場所に605ダンジョンを設置できる。
設置は一度きり。
設置されたダンジョンはマスターのレベルと同等の階層となる。
ダンジョンマスターは再びコアを破壊されるまでは死亡判定を受けても二十四時間後にダンジョンコアより再生される。
複数ダンジョンのマスターになった場合一番ランクの高いコアに適用される。
複数ダンジョンのマスターはダンジョンコア間を転移できる。
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「ダンジョンマスターって凄いですね死なないんだ」
「どういう事だお嬢?」
「ちょっと書き出しますね」
アンリさんに聞かれて鑑定した内容を書き出した。
って言うかこれがボス部屋へ直接転移できる理由だったのかもね……
「こいつは凄いな」
「見せていただいても?」
「ああ、構わない」
「凄いですね……この情報は共有するべきなのでしょうか?」
「ダンジョン協会とか?」
「はい」
「秘匿すれば世界を敵に回す可能性すらある。オープンにするべきだろうな」
「わかりました。この情報を手に入れた上で心愛ちゃんに確認したいことがあるんだが」
「なんですか? 社長」
「心愛ちゃんは、転移が可能な魔道具を作成する事は可能かい?」
「転移ですか……作ってみないとわかりませんが、恐らく可能です。どんなのがいいんですか?」
「どこにでも行けるようなのではなくて決められた二か所を繋ぐようなものが望ましい」
「えーと、それはドアを二枚用意して、それぞれの場所に設置したらお互いが行き来できるようなイメージでいいですか?」
「そうだね、そのイメージで問題ないだろう」
「今日、学校が終わったらチャレンジしてみます。試験中だから午前中で終わるので」
「うん、頼むね」
「俺は、設置場所が決定するまで姿を消しておくな。今の状況だと拘束を言い出されても面倒だ」
「わかりました。できる限り早めに連絡を入れさせていただきます」
「あ、ちょっと待ってください。アンリさんが復活できるのってダンジョンを設置していない状況だとどうなんでしょう?」
「わかんねーな。殺されないように気を付けておくさ」
アンリさんが出て行くと、杏さんは澤田さんに連絡を入れた。
冴羽さんは、外に出て君川さんを呼んできた。
それぞれが今、知りえた情報を伝える。
『兄さん、下関ダンジョンのダンジョンコアを破壊したのは『ザ・シーカー』ことアンリ豊臣さんでした。ただし彼は私たちに敵対する存在ではなさそうです。ダンジョンの設置に関しては、ダンジョン協会の意向を組んだ上で設置していただけるようです』
『そうか、しかし彼は何故そんな行動を取ったのだろうか?』
『日本の危機管理能力の甘さに活を入れるためかもしれないですね』
『それを言われたら、何も言い返せないな。連絡は取れるのか?』
『そうですね、設置場所の決定がされれば連絡をくれという事でした』
『早急に調整をする』
『冴羽社長からも要望があるようですので、そちらのメンバーに今の話を伝えた後でもう一度連絡をください』
『わかった』
一方、君川さんは冴羽さんから説明を受け、金沢のダンジョンマスターになるかどうかの確認を葛城一佐と話し合う事にしたようだ。
私は……劉さんと諸葛さんに連絡を入れるべきなのかを悩んだけど、この情報は天津ダンジョンが盗まれる危険性もあるので、早急に連絡を入れることにした。
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