第92話 ポーションでダメージ入るの?
「先輩、今日は私はどうしたらいいですか?」
「希には、ちょっとお願いが有るんだけど、樹里さんと美穂さん連れて博多ダンジョン潜って貰えないかな?」
「はい、大丈夫ですよ。パーティ組んで普通に狩ればいいですよね? 魔法は使ってもいいんですか?」
「一応、通常武器だけでお願いしていいかな? 危険があった時は、迷わずに使って良いからね」
「了解ですぅ、樹里さん美穂さん逝きましょう」
「希ちゃん? 逝きたくはないからね、私達には極上塩タンの討伐と言う、重要任務が残っているんだからね」
「それは私が替りに討伐するから大丈夫です」
「「全然大丈夫じゃないからね!」」
◇◆◇◆
下関ダンジョンは、いっそうの人出で賑わっていた。
昨日までと、また様相が異なってきている。
外国人の割合が五割を超えるという状況だった。
昨日発表された通信機器の利用が出来ることの確認で訪れている人もかなり多いようだ。
中には早速ダンジョン内からライブ配信を行おうとするグループも見受けられる。
(撮影に夢中で魔物にやられたりしなきゃいいけどね……)
「杏さん、この状況ってどうなってるんですか?」
「日本ダンジョン協会は、海外の軍主導の探索は自衛隊特務隊との共同作戦以外では一切許可を出していないんだけど、海外の個人探索者は別に禁止していないの」
「って事は海外の軍関係の人が、休暇とかを取って探索するなら問題無いって言う事ですか?」
「そう言う事ね」
「という事は、みんな目的は二十二層のパーティ作成なんですよね?」
「それだけじゃ無いわ、各国が欲しいのは言語理解スキルも欲しがってるわ」
「でも、あれはまだ私と希が取得しただけですよ? 今後出るかどうかも解らないし」
「そうね、それでもドロップが出た実績があるのも下関だけだから、可能性はあると思ってるんじゃないかしら?」
「私的には、ダンジョンの最初の攻略者のパターンの方が可能性高いと思うんだけどなぁ?」
「それって、ダンジョンの最初の攻略者に与えられるって事?」
「そうですね、世界最初のダンジョン攻略に対しての恩恵じゃないかと思います。明日、ロジャー達が攻略しても出なかったら、恐らくその可能性の方が高いですね」
「攻略失敗で、死亡事故とか起こらなければいいんだけど……」
「それは心配ですよね。でもどうやって倒すつもりなんですか?」
「海外の実験で、ポーションでアンデット系にダメージを与える事が出来るのが確認されているから、ウオータージェットガン。ようは水鉄砲で攻撃するらしいよ」
「へぇ、そういう使い方出来るんですね。でもお金かかりそうですね」
「それは、お金はそれぞれの国が負担してくれるでしょうからね、ただ、脱出手段は用意して欲しいよね」
「エスケープの魔石って、売るとしたらいくらくらいが妥当なのかな?」
「どうなんでしょうね? 現状他に脱出手段がない以上は心愛ちゃんの言い値になっちゃうよね。売る気なの?」
「まだ考えてるだけなんですけど、人が死ぬ可能性とか考えたら、攻略に必要なアイテムは提供出来たらいいかな? って少し考えてます」
「発表しちゃうと無茶な数を世界中から申し込んで来るのは目に見えてるし、大量に用意できる手段なんかはあるのかな?」
「それは、要実験ですね。少し方法を考えてみたいです」
◇◆◇◆
二十二層のボス部屋入り口に到着して今日の追加検証内容を君川さんとロジャー達に伝えた。
「ポーション類が有効な攻撃手段になる可能性が高いので、ポーションⅠ、Ⅱ、Ⅲまででそれぞれ、どれくらいのダメージを与える事が出来るかも調べたいと思います。既にクリアした人の中で、ポーションを投げつける係をしてくれる人を一人お願いします」
そう『チームシルバー』の人に問いかけると全員が一斉に手を上げた。
みんなやる気凄いよね。
結局、昨日パーティ編成のスキル検証で手伝って貰った、香田さんに再び手伝ってもらう事になり、元々今日の予定のメンバーに、それぞれポーションⅠ、Ⅱ、Ⅲを一本ずつ持って貰った。
使う人のレベルなどに拠って効果に差が出ないかのチェックもしたかったからね。
準備が、整ったのでボス部屋へと突入した。
まずは、戦闘中のパーティ要請が可能かどうかだ。
「問題無くできたね、香田さんもパーティ参加しててね」
「了解です」
「私が、ターゲット取ってるから、合図をしたら、それぞれポーションⅠを投げて下さい。次の合図で、ポーションⅡ。最後にポーションⅢでお願いします」
「心愛ちゃん、このドラゴンゾンビのターゲット取りながら、どうしてそんな冷静に話が出来るんすか?」
「毎日顔合わせてるから慣れてきちゃったよ」
「凄いっすね」
「香田さんは随分話し方がフランクになったよね。その方が良いです」
「お、そうっすか、君川隊長の前だと怒られるから今だけっすけどね」
「じゃぁ始めます。ポーションⅠお願いします」
三人がそれぞれ投げつけると、どうやら一定ダメージの様だった。
次々に指示を出しポーションⅢまでのデータを取れた。
四万四千のHPに対してポーションⅠでは一本で百のダメージ。
Ⅱで千のダメージ、Ⅲで一万のダメージだった。
ほぼ七十五パーセントのHPが削れた所で、咆哮を上げスケルトン二百体が召喚される。
「これもほぼパターンは一緒だね」
今日はパーティを組んでるから、三人の隊員は下がって貰って、私が浄化を三発ほど発動して、ドラゴンゾンビも一緒に黒い霧に戻した。
「香田さんどれくらいランク上がったかな? プレートチェックして見て」
「わ、すげぇっすよ。俺シルバーギリギリの九十八位だったのが、今は五十五位です」
他の隊員もそれぞれ大幅なランクアップをして、大喜びで水晶を触って外へと出た。
因みに、二回目のクリアになる香田さんは、新しいスキルは取れなかったよ。
◇◆◇◆
一層に戻り杏さんも呼んでミーティングルームで今日の検証結果を報告して、ポーションで与えるダメージデータを、澤田さん経由で早速ダンジョンリークスに掲載して貰う手続きをしたよ。
明日は、ロジャー達の四人組で攻略して貰うけど、安全マージンをどれだけ取れるかだよね。
今日の心愛の順位は
柊 心愛 17歳(女) レベル52 ランキング 436,452位 ランクイエロー
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます