第93話 新生D-CAN始動と心愛風ナポリタン

「Hey心愛、もしかしたらドラゴンゾンビのやつポーションⅣで一撃なのか?」


 今日の検証を終えて、下関ダンジョンの会議室に戻ると、ロジャーに質問された。

 ロジャーの質問に、それありそうだよね? と思った。


「恐らく大丈夫と思うけど、私はⅣの在庫持って無いよ? ロジャー達はあるの?」

「マッケンジー長官が管理している物資の中にⅣは在庫が有ると思う」


「明日使ってみる?」

「そうだな、博多に戻って長官に聞いて見るぜ」


「使えたら一気に楽になるよね」

「もしかしたら各ダンジョンのボスもじっくりと作戦を考えれば、それぞれ一撃撃破の手段があるのかも知れないな?」


「そうですよね、調べるだけの価値はあると思いますよ」


「おい、グレッグ。博多に戻って長官からポーション奪い取ってこい」

「長官をMOB扱いかよ、しっかり伝えとくぜ。きっと次の移動はアラスカの犬ゾリ部隊だなロジャー」


「グレッグ、もしそうなったら俺は心愛の会社に雇ってもらうから構わないぜ」

「私、もう社長じゃ無いから、雇うのは約束できないですよ?」


「まじか? 一人くらい何とかなるだろ?」

「どうですかね? 杏さんと冴羽さんに土下座したら雇って貰えるかもしれないですね?」


「一応俺、世界ランキング二位なんだが扱いが雑だな」

「私に腕相撲勝てる様になってから言って下さいね!」


 そう告げると、部屋の隅で体育座りをしていた。

 結構気にしてるのかな?


 ◇◆◇◆ 


「希、お疲れ様ぁ、樹里さんと美穂さんはどうだった?」

「先輩お帰りなさいぃ、二人とも凄く頑張ってましたよ。十階のミノタウロスも二人だけで危なげなく倒してましたから、やっぱり潜在能力って言うか、基本が私と全然違うなって思いました」


「そうなんだぁ、私も希もスキル頼りで戦ってるから、戦闘の基本とかは無いもんねぇ。私も下関終ったらスキル封印して通常の戦闘でどこまで行けるか訓練した方が良いかな?」

「私も結構それ思いましたから一緒に頑張りましょう先輩!」


 食堂には冴羽さんも訪れていて、希とも挨拶を済ませていたようだった。

 美穂さんと樹里さんに冴羽さんが声をかけた。


「ちょっと悪いけど今からD-CANのミーティング始めたいから、特務隊関係の人は席を外して貰って良いかな?」

「了解です。私達、家に戻りますね」


 そう言って樹里さん達は二軒隣の家に戻って行った。

 ロジャー達は結局二人でマッケンジー長官の所に行ったみたいだよ。


「今日熊谷弁護士が、会社の代表者変更などの手続きは終えてくれて、晴れて俺がここの会社の代表者となった。よろしく頼むな」


「こちらこそです、冴羽社長」


 杏さんと希も、それぞれに挨拶をして新生D-CANはスタートを切った。


「まず、杏から引き継いだ業務として、全国十二か所のダンジョンの隣の拠点マンションを確保する事で今日は動いた。ゴールデンウイーク明けにはすべて完了する」

「あれ? 冴羽さん、あ、社長? 杏って呼び捨ての仲になったんですか?」


「いや、別に男女の関係とかじゃ無いが、杏がそう呼べと言うからそうしただけだ。心愛ちゃんと希ちゃんも、俺は社長と呼ばなくていいぞ。今まで通り冴羽で頼む」

「ふーん、そうなんですね。なんだかちょっとニマニマしそうですけど了解です」


「ちょっと心愛ちゃん? 本当にそんな深い意味は無いですからね?」

「あ、杏さん顔がちょっと赤いですぅ」


「希ちゃん、そんな事言うとおっぱいが縮む呪い掛けるよ?」

「すいませんもう言いません」


「あー話が進まんから、その辺にしてくれ。昨日心愛ちゃんにも言ってたが会社の取り組みとしてやってみたい事は考えてみたかな?」


「はい、ちょっと思い付いたので聞いて貰えますか?」


 昨日思い付いたスキルオーブの仲介買い取りをメインに行い世界中に必要な物を流通させる会社の、案を提案してみると、みんな凄い喰いつきだった。


「心愛ちゃん、どうなんだ? その時間停止ポーチは数を用意する事は難しく無いのか?」

「まだ作って無いですけど、少し試行錯誤を重ねたら十分実用レベルで出来ると思います」


「問題は、他の団体や国がこの技術に対してどう感じて、対応をして来るかなんですよね」

「今聞いた話だと一回だけの使い捨てで、世界中のダンジョン買取所に二枚程度の在庫を置くだけにして、中身を入れたポーチと交換でしか次は渡さないと徹底すれば、十分やっていけると思う」


「ポーチ部分だけをデザインを起こして注文出せばいいんだね? 時間停止機能のスキルオーブと、買い取ったスキルオーブを両方収納出来れば問題無いんだよな?」

「そうですね、それで問題無いです。じゃぁ私は少し時間停止に特化したスキルオーブの作成を試しますから、今日はこれで終わりでいいですか?」


「解った、結果が出たら早目に教えてくれ、俺は早速ポーチを頼む工場を探してみる」


 ◇◆◇◆ 


 みんなが帰り少しお腹が空いたので、ダンジョントマトがまだたっぷりあるから、パスタを作ろうと思ってキッチンに立った。


 一応、日向ちゃんに連絡をするとちょっと元気がない様子だったけど来てくれるというので到着するのを待ってから料理を始めたよ。


「日向ちゃん、元気が無いけどどうしたの?」

「すいません先輩。今日、お母さんと二人で話したんですよね。それで少し落ち込んでるんです」


「そうなんだ……どんな話だったの?」

「もちろん義父の事なんですが、あなたが隙を見せるのが悪いとかそんなこと言うんですよ。だから私も少しヒートアップして義父の悪口をこれでもかっていうくらい口にしちゃって……お母さんに叩かれました」


「それって顔を?」

「はい。ちょっと赤くなってる程度ですけど」


「本当だ。大丈夫なの?」

「あんまり大丈夫じゃないかもです」


「心配だなぁ。少し私も杏さんに相談してみておくよ」

「はい、ありがとうございます」


「今日は美味しいパスタ食べて嫌な事は忘れてしまおう!」

「はい!」


 日向ちゃんに笑顔が戻ったところで、お料理を始めた。


 トマトは熱湯をくぐらせて湯剥きをして、一センチ角のダイスカットにする。

 『デリシャスポーション』で煮込んで塩コショウで味を調えて置く。

 蜂蜜も少し加えるのが私の好みだけどハーブは使わないよ。


 パスタをたっぷりのお湯でアルデンテに湯掻くと、ざるに打ち上げオリーブオイルを全体に馴染ませる。

 フライパンに少し多めのパンチェッタを入れて熱して、更にフレッシュマッシュルームを加えて炒める。


 トマトソースを加えて、表面にふつふつと泡が立ってきたら湯掻いたパスタを加えて、さっと絡ませる。

 これだけで出来上がりだよ。


 さぁ実食!


「うん、完璧!」

「本当にすごく美味しいです。蜂蜜のほのかな甘さがトマトの味を引き立ててくれてます」


 一口食べた後に今度は、パスタの上からパルメジャーノチーズを削りかけて食べる。


「更に美味しいいいい!!!」

「はー幸せだなぁ、先輩のお料理食べると本当に嫌な事なんか全部忘れてしまいます」


「明日にでも杏さんに相談して連絡入れるね」

「ありがとうございます」


日向ちゃんを見送り、スキルボードと向き合う。


『セレクトスキルの選択権を取得しました』


【重力魔法】

【魔力強化】


 ん? 魔力強化か、身体強化の魔法版かな? これも神スキルっぽい感じだよね。

 よし、取得しておこう!


 早速【鑑定】っと


~~~~

【魔力強化】

 魔攻力、魔防力、知能に補正が掛かる。


LV1    10%

LV20   20%

LV40   30%

LV60   40%

LV80   50%

LV100  60%

LV120  70%

LV140  80%

LV160  90%

LV180 100%


~~~~


 思った通りだよ、これでまた戦闘に安定感出たな。

 次はオーブ作成の複数同時作業が出来るかだよね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る