第74話 心愛を取り巻く環境

「Ohベリーチャーミング心愛。俺が君のナイト、ロジャーだ」

「心愛、俺のブロマイドは気に入ってくれたか、毎日枕の下に敷いておいてくれれば素敵な夢が見れるぜ、グレッグだ」


「柊です。よろしくお願いします。無事に治療は出来たようで安心しました」


「自衛隊ダンジョン特務隊所属の冬月です。よろしくね」


「【DSFダンジョンスペシャルフォース】のマッケンジーです」

「ダンジョン特務隊の指令を務める葛城です」

「ダンジョン特務隊第一班の班長を務める君川です」


「いきなりこんなメンバーで、こんな時間に押しかけて申し訳ない。心愛ちゃん、君の今回の成し遂げた事、協力をして貰った事が重要過ぎてどうしても早急に面会の必要があると判断した次第です」


 澤田課長が概要を話すと、まず葛城一佐が全員を代表して質問と通達事項を話す事になったみたい。


「柊心愛さん。まず国の重要人物として、保護対象となる事が決定致しました。決して自由な行動を阻害する訳では無いですが、自宅を離れての行動には原則、冬月が護衛に付きます。冬月だけでは常にと言う訳にもいかないので、女性隊員を後二名派遣しますので、よろしくお願いします」


「あの? その護衛にはどういった意味合いがあるのでしょうか? 恐らく身を守る事であれば自力で十分だと思いますけど?」

「柊さん、貴女はダンジョンを攻略できるほどの実力者であることは解っています。しかし、ここに居る隊員たちは、シングルとダブルの文句無しの世界最高峰の実力者です。彼らが護衛に付く事で対外的な抑止力として十分な効果が現れます。見た目だと柊さんは可愛らしい女子高生でしかありませんから侮って不用意に接触してくる輩が必ず現れるので」


「私……目立ちたくないんですけど、大丈夫ですか?」

「最大限の配慮はさせていただきます」


「グレッグとロジャーとか側に居たら目立ってしょうがないと思うんですが?」

「彼らは、基本ご自宅を警備する事が担当となります」


「余計危険そうな気がしますけど?」

「Hey心愛、俺は凄く紳士だから安心してくれ、野獣のグレッグからも完璧に守って見せる」

「ココア、信用するのは俺だけで十分だ、ロジャーは当てにしたら駄目だからな、さっきから心愛の事じゃ無く、ミス杏の胸元ばかり見てるような奴だ」


「グレッグ、お前も見てるじゃねぇかよ」

「あの……家で騒いだら叩きだしますよ?」


「「イエッサー」」


「一つ確認させて欲しいんですが、心愛さんはどの程度の実力がおありなんですか?」

「えーと、結構強いと思います」


「それは、世界ランク二位のロジャーと比べてもという事ですか?」

「あ、はい」


「証明は可能ですか?」

「えと、腕相撲でもやってみますか?」


「ロジャーとですか? 彼は公式大会などには出場させませんが、アームレスリングの世界チャンプよりも強いですよ?」

「はい、大丈夫と思います」


 一応まさかが有ると思って、今の間に鑑定をして自身の攻撃力と防御力をロジャーの倍ほどに上げて置いた。


「私が勝ったら一つ教えて欲しい事が有ります」

「何でしょうか?」


「ロジャーとグレッグが持っているギフトって何でしょうか?」

「何故それが判る?」


「見えるから?」

「まぁ俺に勝てたらでいいんですね? それなら説明しなくて済みそうだ」


「始めよう」


 会議室のテーブル上で、心愛とロジャーががっちりと腕を組んだ。


『レディGO』


 全力で力を込めたロジャーに対して、心愛はピクリとも動かなかった。


「行きますね?」にっこりと微笑んで静かにそのまま倒した。


 勢い付けてやると又ポーション必要そうだしね……

 ロジャーが椅子から降りて部屋の隅で体育座りをしていた。


「凄いね心愛ちゃん。でも護衛はさせて貰うよ狙撃される危険性だってあるし」


 冬月さんの言葉に頷いた。


「えーと私の私生活はほぼダンジョンの探索が中心ですけど、協力とか頼んでいいんですか? 色々確かめたい事が有ったりするんで」


 マッケンジー長官と葛城一佐がお互い頷きあって答えを出した。


「預けた人員は好きに使って貰って構いません。出来れば少し鍛えてやって貰えたら助かります」


 君川一尉が発言した。


「私も参加させていただきたいですね。ダンジョンに潜る時だけで構いませんから、葛城一佐、許可を願います」

「了解した、申請は受理する。柊さん、逆に我々に求める様な事は無いでしょうか?」


「と、言われますと?」

「我々の様な組織力を持った所が、柊さんに対して協力できる内容という事です」


「あ、それならあります。世界中にダンジョンの入口と、最終階層の扉の入口の文字の写真を集めて欲しいと思います」

「それに、意味があるんですか?」


「はい、今日下関ダンジョンの突入前に気になった扉の文字なんですが。下関ダンジョンを攻略したら、読めるようになったんです」


「そこにはなんと?」

「え、と澤田さんに伝えてありますからお聞きください。私はそろそろ今日は帰ります明日も学校ですから」


「と、言う事で今日の会見はここまでで終了します。後は明日以降という事で」


 杏さんも日米のダンジョン攻略のトップを相手にして、きっぱりと言い切ってくれた。


 頼りになるね。

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