第71話 下関ダンジョンクリア

 扉の中に入ると今までの部屋とは段違いに広い。


「何が出てくるの?」

「せんぱーい、どう動いたらいいですか?」


「ボスが一体なら注意を引き付けてとにかく逃げ回ってて、その間に鑑定掛けて作戦決めるから」

「了解です。あ、出ました超大きいですよ」


登場したのは『ドラゴンゾンビ』だった。


「希、どうやら私達にはボーナスステージね、これ使ってホーリーランス打ちまくってて、私は一応鑑定するから」

 そう言ってアイテムボックスから杖を取り出し希に持たせた。勿論窪みには聖属性の魔石嵌めてるよ!


『ドラゴンゾンビ』 レベル44


 HP 44000

 MP  4400


 攻撃力  440

 防御力   44

 敏捷力   10

 魔法攻撃  88

 魔法防御  44

 知能    44

 運      0


 スカル召喚

 闇ブレス

 飛翔


弱点

 聖属性、炎属性


 鑑定しながら、希の攻撃を眺めると、HPがみるみる削れていた。

 召喚ありそうだよね? 並列魔法で五個同時発動まで出来るようになっていたので、ホーリーシャワーをドラゴンの周りに五個並べて待ち構えた。


 苦しそうに上空を向いて、何処から出しているか判らないような咆哮を上げると地面から一度に二百体にも上るスケルトンが現れた。

 数は多いけど普通のスケルトンだった。


 『発動』


 と意識すると、上空のホーリーシャワーが一斉にスケルトンに降り注ぐ、辺り一面に白いキラキラした煙が立ち込め、ドラゴンゾンビまで、光に還元されて消えて行った。


「ま、まさか……終わっちゃった?」

「先輩? これで終わりですか?」


 中央部分に、台座が現れ、ハンドボール程度の大きさの水晶の玉が現れていた。

 他にドロップは無い。

 意外にケチ?


 水晶玉を触ると、私と希に知識が流れ込んで来た。


『スキル【言語理解】を入手しました』


『世界最初のダンジョン討伐が確認されました。システムがアップデートされます』

『スキルシステムが一般開放されました』

『アップデート内容は、総てのダンジョンに適用されます』


『今後ランダム確率でスキルオーブが宝箱より出現します』

『アップデート終了後は、一部スキルに仕様の変更があります』


 声が鳴りやむと台座と水晶は消え、替りに奥に扉が現れた。


「あ、先輩、聞こえましたか?」

「うん、聞こえたね。言語理解だって」


「英語とか話せるようになったのかな?」

「どうだろう?」


「あ、さっきの読めなかった文字とか読めるんじゃないですか?」

「きっとそうだね」


「扉見に行きましょうか?」

「うん」


「先輩、読めないですけど理解はできます」

「うん、不思議だね、音には出来ないのに意味が解るね」


~~~~

 ダンジョンNO605


朽ち果てた竜に守られし部屋

浄化されることを願う古の存在


一度倒されると二十四時間は、扉が現れない。

~~~~

 

「ああ、先に読めたら普通に対処出来るパターンって事?」

「ですねぇ」


「この扉の文字を読むのはボス戦しなくても読めるんだから、これから先は他のダンジョンからも色々情報は手に入るんじゃ無いの?」

「そこまで潜らないと駄目なんでしょ?」


「写真撮って送って貰えたら読めるんじゃない?」

「あー他力本願って甘美な響きですね」


「遅くなったし、そろそろ戻ろうか?」

「あ、先輩奥に扉ありますよ? あそこから戻れるとか?」


「最終階層ならそうかもね」


 奥に見つけた、扉を開けると、宝箱が三つ並んでいた。

 また、あの不思議な言語で文字が書かれている。


『一つだけを選べ』


「当たりはずれがあるの?」


【鑑定】


「出来ないか……希、任せた。直感勝負なら希でしょ?」

「恨まないで下さいよ?」


「他の宝箱の中身が何か判らないなら、恨みようが無いじゃん」

「そうですね、たわしとかが入ってたら外れだって解りますけど」


「ど真ん中いきます」


 『ポーションⅧ』


「わ、凄いね希、これって欠損治療とか出来るはずだね」

「いくらでしたっけ?」


「三億九千万円くらいだね」

「凄いですね、毎日お寿司行けちゃいます」


「回らないお寿司でも大丈夫だね」


 残り二つの宝箱も消え去り、その後には魔方陣が現れた。


「この魔法陣って何なのかな?」

「ラノベ設定だと帰還用の魔方陣のはずですね」


 一応【鑑定】を行うと希の言う通りの帰還魔法陣だった。


 その日を境にスキルオーブのドロップが確認され始める。

 ダンジョン攻略は次の段階へと進んだ。


 ◇◆◇◆ 


『杏さん戻りました』

『心愛ちゃん、大丈夫なの? 良かった。金沢は失敗して撤退になっちゃったよ』


『え? そうなんですか? 死んだ人とか居たんですか?』

『それは心愛ちゃんのオーブのお陰で大丈夫だったわ、けが人は沢山いたけど一名を除いてポーションで治療されたわ』


『そうなんですか……あ、下関クリアしました』

『えええええ、二人で?』


『当然です』

『凄いわね、ちょっと澤田課長とも相談したいから、もう一度こっちから連絡入れて良い?』


『シャワー浴びたいから、三十分後以降が良いです』

『解ったわ』

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