第59話 あれ? お金貰えるの??
朝を迎えテレビのニュース番組を眺めていた。
先日、私に挨拶をしてきた冴羽課長さんが、ダンジョン協会の新人事でいきなり偉い人になっちゃったニュースをやっていた。
なんだか今までの偉い人たちが首になったり、責任取って辞めたり大変そうな感じだったけど私には縁遠い話かな?
でも、新たに発見されたスキルオーブの鑑定機能を主要国のダンジョン探索の発展の為に供与して、世界で一丸になってダンジョンの攻略及び探索に立ち向かうとの発表には『日本の協会って、結構まともな判断するじゃん』って素直に思ったけどね。
そのニュースを見てると杏さんと希がやって来た。
「心愛ちゃんおはよう。もうニュースは見たわね? そのニュースの件でちょっと伝えて置きたい事が有ってね」
「どうしたんですか?」
「鑑定オーブ、便宜上協会がドロップで持ち込まれたものを使い捨ての鑑定ルーペと判断して通常鑑定料の半額で引き取ったって言う建前になってたけど、今回真の能力が判明した事で、持ち込んだ探索者に追加買い取り金額が支払われることが決定したの。一個当たり五千万万円での買い取りになるわ。全部で15億円ね」
「ひゃぁ、何でそんな事になったんですか? 無料で上げるで良かったのに」
「先輩、朝から何だか物凄い話してないですか? あれって先輩なら簡単に作れちゃうんでしょ?」
「そうだけど、そんなの知られたら一大事だから、もう作らないわよ」
「この間心愛ちゃんに挨拶した課長が居たでしょ? 冴羽さん。 あの人が今回のこれ絡みの件で協会の理事に就任する事になって、そのお礼的な意味もあるのかもね? 後ね、これもゴールデンウイーク明けに発表になるけど、全国的に魔石の買い取り額が上がるから、探索者はこれまで以上に増えると思うわ」
「そうなんですね、でもお礼で十五億円って頭おかしくないですか? 魔石の買取に関しては良い事ですね」
「協会はきっと一個三百万USドルくらいの値段で売ってるって、澤田課長が言ってたから全然損はしてないはずだよ。さぁそれじゃぁ下関に向かいましょうか。昨日契約したマンションのカギを受け取る為に、まず不動産屋さんに寄ってからになるわ」
「はい、了解です」
三人で朝ご飯を食べて、新幹線で下関に向かった。
「私達も下関を攻略してしまうってどうでしょう?」
新幹線の中で提案してみた。
「心愛ちゃん、いきなり爆弾発言ね。出来そうなの?」
「やってみないと解らないって言うのが、本当の所ですけど、自衛隊の特務隊が金沢の攻略をするよりは確実性が高いと思っています」
「先輩、それって私達が世界初のダンジョン攻略者になるって言う事ですよね? 目立ってしまわないですか?」
「きっと私達が自分で言わなければ、ばれないと思うよ? 下関は協会のチェックの人も十層までしかいないはずだから大丈夫なんじゃないかな?」
「ちょっと心配はあるけど心愛ちゃんが判断したなら私は異論は無いわよ」
「杏さん、結構勝負師なとこありますね。流石Gカップなだけあります」
「希、それとカップに何の関係があるのよ」
「だって羨ましいから」
新下関から在来線で下関駅に向かい、駅前にある不動産屋さんへと三人で訪れて契約したマンションの鍵を受け取ると早速部屋へと向かった。
ここも1LDKの部屋で十五階建ての高層マンションの最上階だった。
関門海峡を見下ろす眺めも最高だね。
「ここなら今の私のレベルでも転移で移動できるから博多から通うことも出来るね」
早速三人で、下関ダンジョンへと突入する。
今日も動画の撮影はしてるけど、編集で杏さんの映ってる部分は削除するって事で杏さんにも納得してもらってるよ。
とにかく階層を進める事を優先して狩りを行い午前中で八層まで到達した。
「一度、外に出て食事をしてから午後の部を始めようか」
「了解です。でも私、下関は初めてなんですけど本当に人少ないですねぇ」
「この協会支部は鑑定ルーペ持ってないからしょうがないのよね。それよりも、ここは冬なら河豚の日本一の本場だから今年の冬は楽しみだよね」
「ここからだと車で一時間程掛かるけど瓦蕎麦で有名な川棚温泉もあるから、そのうち行きたいよね」
結局その言葉で気分は瓦蕎麦になっちゃって有名店の支店で瓦蕎麦を食べダンジョン攻略へ戻った。
八層からスタートした探索は、夕方の十八時を迎えるころには十四層のボス戦を迎えた。
この階層は海辺の魔物が多く、以前ダンジョンショップで購入したマグロ肉などもドロップして私的には実りが大きかったな。
十四層の守護者は『ダイオウイカ』だった。
突入する毎にダイオウイカかキングオクトパスが半々の割合で出るらしいけど、イカさんの方が若干対処しやすいらしいよ。
【鑑定】をかけると弱点は雷属性だったけど、まだ取得してないな……
今日は動画との兼ね合いもあるから魔法は封印で物理攻撃で倒したよ!
でも軟体系の敵だけあって、私の金棒だとあまりダメージが稼げなくて、私がけん制して希が槍でダメージを稼いでいって倒した。
希の敏捷の高さだと、ダンジョン内では普通に五メートル級のジャンプができ、動画的には結構見栄えが良いんじゃないかな?
「先輩! 宝箱出てます。私のラストアタックで宝箱出たの初めてですー」
「そうだね。罠は無いから開けていいよ」
キュアⅥが入っていた。
「杏さん。キュアも値段はポーションと同じですか?」
「キュアはね、ⅠからⅤまでは同じだよ。ただ、今出たⅥだけは値段が跳ね上がっちゃうの。ガンやエイズの根絶治療ができるから予約待ちの人が多すぎて、ポーションⅥの五割増しでの納品価格で買取しているわ」
「それって千五百万越えの五割増しって事ですか?」
「正確には一千五百六十二万五千円の五割増しで二千三百四十三万七千五百円ですね。運よく物が手に入って病院で使ってもらうと五千万越えの治療費が請求されるわ」
「凄い値段ですね……希これは私が貰ってもいいかな?」
「勿論です! 先輩のおばあちゃんに使ってあげるんですか?」
「うん。そのつもりだよ」
「おばあちゃん治ったらいいですね」
欲しかったものも手に入り大満足の結果となった。
「杏さん、レベルはどうですか?」
「あ、もう二十一まで上がっているわ。目標達成ね」
「おめでとうございます。それじゃぁ今日は戻りましょう」
今日のD-CANメンバーの順位は
柊 心愛 17歳(女) レベル35 ランキング 186,385,241位
真田 希 16歳(女) レベル30 ランキング 452,286,321位
大島 杏 25歳(女) レベル21 ランキング 1,056,475,398位
怖いくらいに順調に成長してるよね。
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