第22話 心愛社長?
「杏さん、こんにちはー昨日はごちそうさまでした」
「心愛ちゃん、希ちゃんこんにちは、どういたしまして、それより昨日は遅くまで付き合わせちゃってごめんなさいね。学校遅刻したりしなかった?」
「私は大丈夫でしたけど、希はどうだったの?」
「先輩に置いて行かれるのが嫌だったから必死で起きましたよ」
「ねぇ二人共ちょっと時間良いかな?」
「はい、大丈夫ですよ。別に狩りをしないといけない訳じゃ無いですから。希も大丈夫だよね?」
「あ、はい全然平気です」
「余り人に聞かれたくないし、ちょっと出ようか」
そう言って、杏さんの運転する車で出かける事になった。
なんと、ポルシェカイエンのEハイブリッドって言う何だか高そうな車だった。
「杏さん、この車って杏さんのですか?」
「そうだよ、かなり無理してるけど家を安い所にして、車に贅沢してるんだよ」
「凄いかっこいいですね、私も免許取ったら車ほしいなぁ」
「心愛ちゃんなら余裕で買えちゃうよ。このまま車の中が一番安全って言うか、人に聞かれにくいから
「解りました。なんか希、妙に静かだね」
「凄い車に乗せて貰ってセレブ気分を堪能してました。杏さんは胸部装甲以外もセレブなんですね」
「何よその表現は、全然セレブじゃ無いし希ちゃんはまだ今から成長するでしょ?」
「うち……母さんもツルペタだから期待薄なんです。母さんが酔った時にうちの父さん巨乳の女と浮気して逃げたって言ってたから、巨乳に憧れがあるんです」
「ちょっと希、それマジな話なの? 笑いたくても笑えない内容過ぎて反応に困っちゃうよ」
「私は父さんの顔も覚えて無いから、全然笑って大丈夫ですよ。母さんの前は流石にヤバイかも知れないけど」
「そこで笑える度胸は無いよ」
杏さんのカイエンは福岡ドームと百道タワーの間の駐車スペースへと停まって、話しを始めた。
「二人とも缶コーヒーでいいかな?」
「あ、大丈夫です」
「えっとね、澤田課長から伝言を預かってます。今回の『ダンジョンリフト』の情報に対して一千二百万ドルの褒賞が用意されるそうです。それに伴って心愛ちゃんと、心愛ちゃんの所属するパーティに対して期限無しのSランク認定がダンジョン協会として用意した待遇です」
「ええええぇぇええ先輩凄い事言ってますよ!!! パーティって事は私もって事なんですか?」
「そうですね、希ちゃんも心愛ちゃんと一緒に行動する時はSランク探索者として扱われます。一人の時は別だよ」
「もう先輩と一緒の時以外はダンジョンへは行きませんから大丈夫です」
「杏さん……それって大丈夫なんですか? 私目立ちたくないんだけど」
「出来るだけ知られない様にするしかないわね。私をこのまま専任担当として指名してくれるなら、ダンジョン協会の買取なんかは、私に渡して貰えれば納品とかは全部やっておくから問題無いですし、出来れば資金も潤沢にある事ですし、合同会社でも設立して事務所を構えて貰えれば、基本的に私がそこに出向勤務させて貰うけどどうかな?」
「それは是非お願いしたいですけど、私高校生なんで会社の設立とか全然解んないんですけど」
「私に任せて貰えればやっておくわよ? 実費は心愛ちゃんに出して貰う事になるけどいいかな?」
「お願いしちゃっていいですか?」
「はいお任せください、心愛社長」
「止めて下さいよ、そんなの普通に呼び捨てで呼んでくださいね」
「先輩社長なんだぁ私も社長って呼んだ方が良いですか?」
「希……社長って呼んだ瞬間に首にするからね」
「先輩酷いです。首にならない様、一生懸命働きますから永久就職でお願いします」
「心愛ちゃん、とりあえず事務所の場所は何処にする?」
「あ、それだったら私の家、元々食堂やってて今は営業してないから私のお料理練習とか、ダンジョンアイテムの保管とかにだけ使ってるんですけど、そこじゃダメですか?」
「全然問題無いわよ、むしろそんな物件があるなら利用しない方がもったいないよ」
「良かった、家と繋がってるけど、母さんはまず来る事無いですから好きなように使って下さい。駐車場も六台分あるし、使って貰って構わないですから」
「そうなのね、心愛ちゃんの家だと
「杏さんは協会へは全然行かなくていいんですか?」
「週に一度だけは報告に行かないといけないけど、基本的に自由裁量勤務だから、私の場合だと、心愛ちゃんの学校行ってる時間は、協会に顔を出してるかもね」
「そうなんですね、解りました」
「一応報告は以上だから、ダンジョンに戻ろうか? 正式には明後日からの認定になる予定です」
「はい、解りました。よろしくお願いします」
ダンジョンに戻ると、そこで杏さんとは別れて希と二人で狩りに向かう事にした。
「今日は六層まで行くからね」
「あ、先輩……私まだDランクだから六層は行けないんです」
「そうだったね、パーティ認定して貰ってからなら大丈夫だから、協会で手続して行こうか」
「解りました。でも……私六層とか大丈夫なんですか?」
「大丈夫だと思うよ。そのサバイバルナイフだと魔物に刺さらないからこれを使って」
そう言って、お父さんの使っていたダンジョンナイフを渡した。
「これってダンジョン産のナイフですよね? 最低価格でも二百万円するんですよね? いいんですか」
「武器なんて使わなきゃ意味無いしね、一応お父さんの形見だから大事には扱ってね」
「そんな大事な物を私なんかに、なんか、滅茶苦茶感動してますうぅ」
「その分しっかり働いてもらうからね」
「狩りも撮影も頑張りまーす」
協会でパーティの手続きを行って、新たなパーティ用のランクカードが発行された。
現時点でのパーティランクはAランクだよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます