不思議なペットボトルとの出会いから始まる美味しいダンジョン生活～折角だから配信活動も始めました～

第2話 ペットボトルって？

　私は、いつもの様に学校から帰るとダンジョンへと出かけて毎日二時間だけ狩りをする。

　部活って私は言ってる。

　一人だけどね……

　だって私は実際にお父さんを亡くしてるし、友達と一緒にダンジョンに行ったとして、どちらかが大怪我や死んじゃったりしたら、被害にあった人の家族がどう思うかとか考えたら自己責任で済む一人だけで行くのが正解だと思うよ。

　危険は多いかも知れないけど無理をしないで済む階層に行けばいいだけの話だしね。

　もしパーティを組むとしても、それはダンジョンだけの関係性の人と組むべきだと思う。

　全てを守れるくらい強くなったら友達と一緒でもいいけどね。

　それはさておきダンジョンはランクによって入れる階層に制限がかけられている。

　これはダンジョン協会の独自基準だから、カラー分けされたランキングとはまた別なんだよね。

　基準はダンジョン協会への納品額。

　過去三百六十五日間での納品金額で百万円未満だとＤランクで五層まで

　百万円以上三百万円未満だとＣランクで十層まで

　三百万円以上一千万円未満だとＢランクで二十層まで

　一千万円以上の納品でＡランクとなって制限も無くなる。

　五層と十層と二十層の各階段前のセーフティーゾーンにダンジョン協会の係員が常駐していてランクの確認をしている。

　二十四時間体制だから、交代制だとしても大変な仕事だよね。

　私は過去一年間で百五十万円分程の納品をしているからCランクだよ！

　十層までの探索は出来る。

　武器は中学生時代にやってたソフトボールで使っていた金属バットを使い続けているから、せいぜい六層目くらいまでしか行かないけどね。

　それより下の階層だと金属バットくらいじゃ折れちゃうみたいだし。

　え？　何で刃物じゃないの？　って……

　基本的にダンジョン産の金属以外では、五層以下の魔物の表皮は切り裂けないんだよ？

　日本刀みたいな武器でもすぐ刃が潰れてなまくらになっちゃうから、ミスリルやダンジョン鋼と呼ばれる金属製の刃物が手に入らない限りは、金属バットの方が確実なんだ。

　それにダンジョン産の武器は値段がびっくりするほど高いんだよ。

　協会のショップで売ってるけど、安い物でも二百万円はする。

　私はお父さんの遺品であるダンジョン鋼のナイフは持っているんだけど実際に狩りで使ったことはない。

　リーチも短いし、金属バットの方が安心できるんだよね。

　それにバットだと自分が怪我する可能性も低いしね。

　刃物やピッケルなんかを使う人は、自分の武器で怪我をする人が凄く多いんだよ？

　きっと魔物にやられた人の数よりは多いはずだ。

　それに死体は残らないから、剥ぎ取りナイフ何て言う物も必要無いしね。

　魔物を倒すと、その場にランダムでドロップ品が出現するから、それを回収するのが基本だ。

　食材なんかは結構大きな物や重いものが出ることもあるけど私はこれもお父さんの遺品のマジックバッグを持ってるからノープロブレム！

　ランクⅠだけど一立方メートルは収納できるからね。

　水だと一トンも持てるって事になる。

　これも買えば三百万円以上はするそうだ。

　女子高生が金属バットで魔物を撲殺して回るダンジョン探索って、イメージが違うかもしれないけど、上層階での狩りはソロで撲殺が全世界的にも基本の狩り方みたいだよ？

　それに現在解っている事実としてランキングの数字が動くのは、とどめを刺した人だけだから、機能としてパーティ制度は無いみたいなんだよね。

　職業なんていうのも確認されて無いから理想的なパーティなんかも解んないけどね。

　回復はポーションとキュアの薬品だけだし、魔法を使える人は現状では居ないはずだよ。

　でも……魔物の中には魔法を使う存在も居るから、魔法が存在するのは確かなんだろうと思う。

　現状では二十層以下でソロで狩れる強者は、そんなにいないと思う。

　世界中でもっとも探索が進んでいるダンジョンでも、三十層くらいまでしか進んでいないはずだしね。

　各国の軍が主体のチームでアメリカチームとロシアチームと中国チームがトップ争いを繰り広げているって聞くけど、現状では移動手段も歩いて潜って行くしかないので三十層まで行くには二週間近くかかるらしい。

　しかも三十層の敵を倒せる強さがある事が前提条件だし、私みたいなソロ探索者で日帰りしかしない人はせいぜい十層くらいまでかな。

　◇◆◇◆　

　それは三層の守護者を倒したときに起きた。

　一瞬その場が暗くなり超焦ったけど次の瞬間には普通に明るくなってホッとした。

「あ！　宝箱だ」

　守護者を倒したときには何もなかったと思うけど、今私の視線の先には真っ赤な色をした宝箱が現れていた。

「脳汁ヤバイ！」

　ワクワクしながら宝箱を開ける。

　五層より上の階層で出た宝箱は、この五年間で一度も罠は確認されたことは無いので私も安心して開ける事が出来る。

　これが六層以降だと罠の確率もあるから六層より下の階層で手に入れた宝箱は開けるだけでも危険が付き纏うんだよね。

　実際にダンジョン内での事故の三分の一は、宝箱を開けた時の事故なんだって。

　流石にソロ探索者が六層より下の階で宝箱を見つけても怖くて開けられないよね。

　自分で獲得したアイテムを持って帰るのは自由だ。

　マジックバッグを使ってる人もいるし、その中に入れてたら発見できないから規制はナンセンスだよね。

　そして今回宝箱から出たアイテムが私の人生を大きく変える事になった。

　どこからどう見ても二リットル入りのお水が入ったペットボトル。

「残念。外れアイテムっぽいよねこれ？」

　でも、ラベルが貼ってある訳でも無いし中身が何かは鑑定ルーペじゃないと解らない。

　でもなぁ……鑑定はアイテム一つに付き千円かかるから、結構赤字になっちゃうアイテムも多いんだよね。

　だから千円未満の鑑定額のアイテムは、協会に取られて終わりになっちゃう。

　ちゃんと納品額には算入されるけどね。

　でもこの透明度と言い高級そうには見えない容器と言い、お水っぽいよね？

　今回は鑑定に出さずに持って帰る事にした。

　上層階の宝箱に罠は無いんだから中身が毒の可能性も無いと信じたいな……

　今日の時点で心愛のランキングは1,564,858,200位