不思議なペットボトルとの出会いから始まる美味しいダンジョン生活~折角だから配信活動も始めました~
TB
第1話 お料理って奥が深いなぁ
『セレクトスキルの選択権を取得しました』
唐突に機械的な音声が頭に響いた。
(えぇぇなに? 今の声? てかスキルって存在しちゃってたんだ……これってやっぱり私のお料理の効果? なんだよね……)
どうやら今、私の眼前に広がるタブレットのような画面に表示されている四つのスキルから選べるようだ。
【超成長】
【ステータス調整】
【アイテムボックス】
【鑑定】
(どれがいいんだろう? 私普通の女子高生だし成長したってガンガン戦えたりしないよね? 無難なのは鑑定かな?)
◇◆◇◆
この世界にダンジョンと呼ばれる不思議な洞窟が現れて既に五年が経つ。
最初のダンジョンが現れたって言うニュースを見た時は私がまだ小学校六年生の時だった。
それからの五年間で、この世界は大きく変わっちゃった。
私の父は博多の街でまぁまぁ人気の食堂をやってたんだけど、三年ほど前にダンジョンの探索に出掛けたまま帰らぬ人となってしまった。
ダンジョンで取れる極上の食材に魅入られた末路だ。
いつかは私も、そんな食材を使った特別なお料理を作りたいな。
きっと父さんも同じことを考えてたと思うしね……
今の私の夢は父が残した食堂を私の手で再び開店する事。
お母さんは接客が専門で料理はちょっとあれな感じだから、お店はずっとお休みになってる。
幸い困らない程度の貯えはあったみたいで、お店と自宅が一緒の建物だったし、なんとか生活はできている。
だから私はお店の復活を目指して、毎日色々なお料理を勉強してるの。
基本は、お父さんの残したレシピノートを読んで、その料理を再現する事なんだけど、書いてある通りの分量で味付けをしても、中々お父さんの作った味にならないんだよね。
お料理って奥が深いなぁ……
◇◆◇◆
現代社会ではダンジョンに現れる魔物を倒した時に得られるドロップと呼ばれる一獲千金のチャンスが転がっている。
だけどラノベの世界である様なステータスやレベルと言われる物は、はっきりとは確認されてないの。
ダンジョンの探索をする人達は明らかに身体能力が上がっているので、存在するのは確かなんだけど「ステータスオープン」とか唱えても誰も見る事が出来ない。
でもレベルは見えなくても【ランキング】と呼ばれる物だけは見える形で存在している。
不思議な事に誰でもダンジョン内に入って初めて魔物のとどめを刺した時に黒いプレートを取得する。
持ち主じゃない人がそのプレートを触っても、ただの黒い金属板だけど、正当な持ち主が触ると数字が浮かび上がる。
当初は、その数字が何を意味するのかが全く分からなかったんだけど、魔物のとどめを刺すと数字が変わるという特性から【ランキング】で間違いないと目されてる。
1~9までのシングルナンバーは金色で表示されるらしい。
99までは銀色
999までは銅色
9999までは赤色
99999までが緑色
999999までが黄色
9999999までが青色
それ以下は白い数字で表示されている。
カラーナンバーの人なんて会った事無いから話で聞いただけなんだけどね。
スキルもステータスも解らない中そのプレートの数字だけが唯一の人類の強さの目安として存在している。
どんな理由でこのプレートって存在してるのかな?
ダンジョンに潜って魔物討伐をする人達は、ブルークラス以上であればダンジョン協会から認められ、ダンジョン入場の際に優先入場が出来たり、取得アイテムの買取も一般のホワイトランクの人とは違う窓口で販売が出来る。
ダンジョンで取得したアイテムは、ダンジョン協会が鑑定をした上で買い取ってくれる。
鑑定をする為には、現時点ではダンジョンの宝箱から極稀に手に入る『鑑定ルーペ』と呼ばれるアイテムが必要だ。
現時点で鑑定の出来るそのアイテムは納品価格で一億円もする超高額アイテムなんだって。
ダンジョン協会の直営買取所は基本的にはダンジョンの入口に併設されてる。
鑑定ルーペの発見数は現在ではまだダンジョンの数より少ないから、鑑定ルーペを持つ買取所のあるダンジョンは当然、探索者の人気は高い。
宝箱はダンジョンの隠し部屋を発見したり、レアモンスターの討伐をしたりすると現れる事がある。
必ず良い品物が出る訳でも無いけど、宝箱を見つけるとみんな「脳汁がヤバイ」って言ってる。
現段階では魔物はダンジョンの外に現れる事は無い。
だから、入らなければ問題は無いんだけど、ダンジョンには一攫千金の夢があるから、みんなが夢中になった。
ダンジョンから手に入る物は、主な物は鉱物類、薬品類、食材がメインだ。
金や銀、プラチナが現れる事も有るけど明らかに違う物質もある。
『ダンジョン鋼』と呼ばれる金属では通常武器でほとんどダメージを与えられない六層以下の魔物に対してもダメージを与えることが出来る。
更に幻想金属と呼ばれる『ミスリル』も発見されている。
『オリハルコン』なんかもきっとあるのかな?
薬品類はポーションと呼ばれる物とキュアと呼ばれる物の二つの系統がある。
それぞれにランクがあって、鑑定ルーペで見ると『ポーションⅢ』『キュアⅣ』等の様に、数字が併記されているらしいよ。
高校二年生の四月時点での心愛のランキングは1,564,858,321位
お母さんは反対するけど私は自分でダンジョンから素材を取ってきて、料理も一杯勉強して必ずいつかは、お父さんのお店を再開するんだ!
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