リエリアとの食事
「お待たせ致しました」
リエリアと一緒に部屋を出て、宿の人に案内された場所で食事を待っていると、直ぐにそう言って可愛い女の子が食事を運んできてくれた。
どう考えてもリエリアの方が可愛いけど、あれか、看板娘? 的な立ち位置なのかな。……まぁ、どうでもいいけど。
「……ノルン?」
「ん? どうした?」
そう思っていると、リエリアが感情を感じさせないような声で急に俺の事を呼んできた。
考えてることが考えてることだったから、正直びっくりした。よく内心の動揺を隠して返事をできたな、俺。
「……何考えてたの?」
「リエリアが可愛いなぁ、って思ってただけだよ」
間違っては無い。
失礼な話だけど、宿で働いているウェイトレスの子とリエリアを比べてリエリアの方が可愛いって思ってたんだから。
「ふ、ふーん。……ほんと?」
「あぁ、ほんとだよ」
俺がそう言うと、リエリアは可愛らしく頬を緩めている。
可愛い。
「食事も来たところだし、冷める前に食べよっか」
そんなことを思いながらも、俺はそう言った。
「うんっ。ノルンとの初めてのご飯、美味しそう」
するの、リエリアはまだ頬を赤らめながらも、そう言ってくれた。
「それじゃあ、いただきます」
「? それ何? ノルン」
俺がそう言って手を合わせると、リエリアは小さく首を傾げながら、そう聞いてきた。
そういえば、一緒に食事をするのは初めてなんだし、知らないよな。そもそも、この世界に食事の前に手を合わせて「いただきます」なんて言う文化ないだろうし。
「んー、食べ物に感謝、的な?」
俺も正直あんまりよく分かってないから、そう言った。
いや、だって子供の頃から……転生する前の子供の頃から親にそうしろって言われ続けて、ただ癖になったから今もなんとなくやってるってだけだしな。
「そうなんだ。……私も、いただきます。……えへへ、ノルンの真似」
リエリアはあんまりよく分かってなかったみたいだけど、俺がさっきしたように手を合わせて「いただきます」と言って、微笑みながらそう言ってきた。
うん。もう可愛すぎないか? 今すぐにでも結婚して欲しいんですけど?
「そ、それじゃあ、今度こそ、食べようか」
「うん」
そんなことを内心で思いながらも、俺は何とか平静を保って、そう言った。
「リエリア、美味しいか?」
「うん。今日はノルンが近くにいるから、凄く美味しいよ。ノルンは?」
「俺もリエリアと食べてるからか、凄く美味しいよ」
そんな他愛もない話をしながらも、俺たちは食事を進めた。
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