今更だけど、なんでリエリアの髪と瞳の色に反応しなかったんだ?
「ノルン、それで良かったの?」
リエリアと一緒に食料を買ったところで、リエリアが可愛らしくそう聞いてきた。
「あぁ、これが日持ちする食料だからな」
むしろ俺とリエリアが食べられるもので日持ちする食料なんてこれくらいしか無かったからな。
「次は宿を借りるの?」
「そのつもりだけど、リエリアは何か他にしたいことでもあるのか?」
リエリアがいきなりそんなことを聞いてきたから、俺は何かしたいことでもあるのかと思って、そう聞いた。
「……二人の家、欲しい」
すると、リエリアは顔を赤らめながらも、そんなことを言ってきた。
……俺だって欲しくない、とは言わないぞ? でも、今は無理だよ。
金が無いし、ここは俺たち……と言うか、リエリアが潰したあの家と近いからさ。
仮にお金があって家を買えるんだとしても、この街のでは買わないかな。
……あれ? 今更なんだけど、なんであの門番の人……いや、門番の人だけじゃなくて、盗賊達だってなんでリエリアの髪と瞳の色に反応しなかったんだ?
俺が全く気にしてないからこそ気が付かなかったけど、他の奴らは不気味がったりするんじゃないのか? ……もしかして、あの家、あの街だけだったのか?
この街が特別って可能性もあるし、考えても分からないな。
もしもこの街だけが特別でリエリアを不気味がったりしない街なんだとしたら、ここでお金を貯めてこの街に住むのもありなのかもな。
「ノルン? 嫌なの?」
そんなことを考えていると、リエリアに悲しそうにそう言われた。
「そんなわけないよ。……ただ、まだ家を買えるほどのお金を持ってないから、今日は取り敢えず宿を借りに行こうか」
だから、俺は直ぐにそう言った。
「うん。いつかは二人で住める家を買おうね」
もうこの街で家を買えるまで金を貯めようかな。
他の街に行ってあの家でリエリアが向けられていたような視線を向けられるのも嫌だしな。
……そんなことを思いながら、注意して周りを見てみると、大体の人は大丈夫だけど、何人かは不快な目でリエリアを見ていることが分かった。
……やっぱりあの家の連中だけが特別リエリアを不気味がってたって訳じゃないみたいだな。
ただ、それでも数えられる程だし、多分リエリアをそういう目で見ている奴らはこの街に住んでいる人って訳じゃなくて、俺たちみたいに外から来た人達なんだろうな。
この街に住むにしろ住まないにしろ、フードが着いた服を買うのは必須っぽいな。
「リエリア、行こうか」
「うん」
内心リエリアを不快な目で見る奴らに腹を立てながらも、俺は表に出すようなことはせずリエリアにそう言って、リエリアと手を繋ぎながら今の手持ちでも泊まれるような宿を探した。
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