これからの予定
天使……いや、今は全くそんな気はないとはいえ、俺はこの子に殺されるつもりだったんだから、世界一可愛い悪魔か? ……まぁ、どっちでもいいか。
とにかく、俺はそんな子に膝枕をされた状態で、目を覚ました。
「あっ、おはよう、ノルン」
「……おはよう、リエリア」
……静かだ。……まるで、俺とリエリアしかこの場に存在していないような……いや、それはまるでじゃなくて、事実だな。
リエリアがここに、俺の目の前に居ることが何よりの証拠だ。
俺とリエリアの家に居た人間はもう誰も生きてないんだろうな。
別に、どうでもいいけど。
リエリアに優しくしてくれてたのならともかく、そうじゃないんだから、どうでもいい。
「そういえばなんだけど、これからの予定とかってあるのか?」
俺はリエリアの膝から起き上がることなく、そう聞いた。
……俺だって体を起こした方がいいかな? とは思ったぞ? でも、リエリアがこのままの方が良さそうだから、こうしてるだけだ。……決して、何か邪な気持ちがあるとかでは全然ない。
……まぁ、好きって言って貰えたんだし、邪な気持ちがあっても全然いいのかもしれないけど。
「私たちは外のことなんて何にも知らないし、特に決めてないわよ」
……俺は前世の知識のおかげで、外の事どころか未来のことまで少しなら分かるんだけど、まぁ、そっちに関わる気は無いし、俺も知らないようなものか。
「そうだな。……でも、リエリアが一緒なら、俺はどこでも楽しめるよ」
そう思いながら、俺はそう言った。
……俺がどれだけ眠ってたかが分からないからなんとも言えないけど、ついさっきまでリエリアに殺されようとしてたやつのセリフとは思えないな。
「ッ、わ、私も、ノルンが一緒なら、どこに行こうとも幸せよ」
すると、リエリアは自分の髪は瞳と同じように顔を真っ赤に染めあげて、そう言ってきた。
……こんなリエリアの顔を見てると、さっきまでリエリアに殺されようとしてた自分が本当にバカバカしくなってくるな。
「取り敢えず、北に行かないか?」
そう思いながらも、俺はこの世界の主人公たちが居る場所がどこかを思い出して、主人公たちとは会わない方向をリエリアに提案した。
主人公はよく言えば真っ直ぐな奴。悪く言えば、頭が固い馬鹿だから、会いたくないんだよ。……絶対、大勢の人を殺したって理由でリエリアと敵対するしな。
……まぁ、今のリエリアなら、正直ストーリー中盤くらいの主人公……いや、ストーリー終盤の主人公であっても余裕で圧倒できそうだけど、合わないに越したことはない。
「えっと……北ってどこ?」
……そうだった。
俺は前世の記憶があるからともかくとして、リエリアには俺が教えた程度の知識しか頭に入ってないんだった。
東西南北とか教えてないし、知らないのも無理ない。
「あっちだよ」
そう思った俺は、当然リエリアのことを笑うことなんてせずに、北に向かって指をさしながらそう言った。
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