Episode02
007:次の目的地へ
初依頼で貰った報酬金を使い、新しく機体を買った。小型の戦闘機だ。
この戦闘機を買ったおかげで少しだけ遠くの星系まで飛べるようになったので、ハマル星系を飛び出し、人口の多いような星系を目指すことにした。人口が多いと、依頼も多い。それに、一つの星系に居るよりはせっかくなら他の星系も見て回りたい。そう思ったのだ。
銀河図を端末で見ながら、場所を確認していく。
「ここが、ハマル。人口が多いとなると……」
拡大縮小、検索機能を使い、目当ての星系を探していく。登録人口が多い星系を地図上に表示して、あとは現在地ハマル星系から近い星系を探していく。
「ルミノウスがここから近いのか」
距離にして、約二十光年。今乗っている小型の戦闘機は十光年ほど飛べるので、二回星間航行をすれば行けそうに見えるが、
「何回計算しても、三回か……」
一度に飛ぶには燃料が足りなくなりそうだが、途中人のいる星系もある。燃料補給はそこでしていこう。
コニハ・ステーションのデッキにあったソファから立ち上がる。長旅を予想して食料品などの買い物を済ませようと歩き出した時だった。何か――人にぶつかったのは。
「すみません!大丈夫ですか?」
パイロットスーツの人だらけのこの空間に、あまりにも浮く白衣姿の女性は声をかけた私を見て「大丈夫、」と言おうとして咄嗟に私にしがみついた。
「ご、ごめんなさい!あ、すみません!」
そんな調子で謝り続ける女性に、私は大丈夫だと伝える。と、女性は、
「ミヤ星系のアマウ・ステーション行きませんか!」
と声をかけてきた。突然のことで混乱していると、女性は一つの容器を差し出してきた。見てみれば、カプセル状の容器の中にどうやら鉱石が入っているらしい。
「す、すみません!依頼をしたくて!」
「ああ、そう言うことですね。ここからルミノウス星系に行くので、……ミヤ星系ならちょうど通りますよ」
端末で確認しながらそう伝えると、渡されたカプセル状の容器とは別の、同じものを二個渡された。
「その三個を、アマウ・ステーションのマルト・バズレールって人に渡してください」
通りかかる予定の星系だったこともあり、依頼は受けていくことにしたが――、
「あの、報酬は……?」
「あっ!そうでしたよね!報酬……」
女性は、悩んだ後、少し言いづらそうに、
「報酬はその人から受け取ってください……!」
と呟き、「い、急いでいるんで!」と走り去ってしまう。
残された私はといえば、手に三個のカプセル容器。端末は脇で抱えている状態。
「――とりあえず、整理しよう」
* * *
機体に戻ってきた私は、一先ず依頼もあるのでミヤ星系に標準を合わせた。船の荷物置き場には、三個の鉱石らしきものが入ったカプセル。
機体をゆっくりと発進させて、ステーションを出る。
明るかったステーション内部とは違い、自然の明るさが目に優しい。
ミヤ星系までは、一つ星系を挟むことになっている。無人で未開拓の星系だから、ここは元々通り過ぎる予定の星系だった。
≪――星間航行ニ入リマス。ジャンプ、マデ……三、二、一、≫
機械音のアナウンスが入り、超高速モードに入る。フロントガラスの向こう側では様々な星が帯状になってこちら側に走る。目の前の計器も狂っているが、すべては正常の動作。
超高速モードを抜ければ、高速モードだ。目の前の恒星を避けるように機体を動かしながら、次の――目的地のミヤ星系に標準を合わせる。
新しい任務、新しい星系。
楽しみだというのと同時に、少しだけ寂しい思いが頭をよぎる。
――会えないわけでは、ないから。
そう自分を納得させて、ミヤ星系へと星間航行を実行することにした。
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