第186話 交渉
「――――どうか、聖騎士団を除隊する事をお許し頂きたい」
ケイヤの発言に、論功行賞の相談を行っていた会議室は一瞬静まり返った。
そんな静寂を打ち破ったのは、彼の父であるクロード・ランニス子爵であった。
「な……何を馬鹿な事を言っている!? ケイヤ!!」
「父上……」
ランニス子爵はケイヤへと詰め寄り、正面から彼女の両肩を掴んだ。
「お前は王に忠誠を誓い、お仕えする聖騎士なのだぞ!? そんな勝手な真似、許されるとでも思っているのか!?」
騎士に任命される際、彼らは主君へと忠誠を誓う。それは絶対であり、生半可な事情で抜け出すことは出来なかった。
結婚や跡継ぎ問題などのお家事情、任務中による取り返しのつかない大怪我、高齢による引退、等々……騎士団を除隊する理由は様々だが、どれも正当な理由が必要なのだ。
それが王国の精鋭、聖騎士団ともなると、今まで様々な恩恵を受けてきた分、そう簡単に辞めますとはいかないのだ。
(国の機密情報なども知っているだろうしな……)
そんな事、ケイヤは当然分かっている筈だが、一体どうしてそんな発言を……
王はケイヤに声を掛けた。
「…………ケイヤ・ランニス。
「ハッ!」
ケイヤは少し言葉を選んでから事情を説明した。
「私が忠義を尽くすべき相手はエイルーン王国と王家のみ。それは今後も変わらぬ誓いとなるでしょう」
「うむ。それで?」
「……しかし、私には一つの夢がありました。冒険者として世界を旅する事です」
ケイヤはそう語ると、チラリとディオーナ婆さんの方を見た。
「その夢は幼い頃、ディオーナ様の冒険譚を読んだ事が始まりでした」
「おやまあ」
ケイヤの言葉にディオーナは嬉しそうに目を細めた。
「貴族令嬢の身でありながら、家を飛び出して冒険者となり、槍一本で目覚ましいご活躍をされたディオーナ様は、幼い頃の私にとって、まさに憧れの女性でした」
ケイヤの話にランニス子爵やその他の貴族たちは顔をしかめた。
(ま、年頃の娘を持つ父親からしたら、そんな反応だよなぁ)
ましてや彼らは貴族なのだ。その彼らの娘から「私、冒険者になる!」と告白された日には、頭を抱えずにはいられないだろう。
「……ですが、私には家を出てまで冒険者になるだけの覚悟がありませんでした。そこで私は貴族の娘という身分のまま、聖騎士の道を志したのです」
「…………」
王は黙ったままケイヤの話に耳を傾けていた。
「そんな中途半端な私に第二の転機が訪れました。そこに居るイッシンです」
「え!?」
突然、自分の名を告げられ、周囲の視線が俺に集まっているのを感じた。
「初めてイッシンと出会った当時、彼は一度も剣を握った事もない、正直言って頼りない存在でした」
「……おい」
急に俺をディスるの止めてもらえません?
「それが冒険者として身を立ててからは、彼はメキメキと力をつけていき、今や彼は王国内でもトップクラスの実力者となったのです」
「それが、其方が聖騎士団を辞め、冒険者を目指す理由なのか?」
「……いえ。私が最も惹かれたのは、彼らは自由な存在であり、それと同時に己の信念もしっかり持っている、という点です」
こちらを落としてから急に持ち上げ始めるケイヤの話に俺は戸惑った。
(え? 俺、そんな信念ある?)
そんな御大層な信念なんか持ち合わせてはいないと思うのだが…………
それでもあえて自分の事を美化するのならば、俺の信念とは“自分の好きに生きる”という事だろうか。
それは“自分勝手に生きる”とは少し違い、相手に配慮して生きるのもまた、自分の好きで行っているという考え方なのだ。
どうやら自分は他人の事情や気持ち全てを蹴飛ばしてまで己の都合を通せられる程、心が強く出来ていないらしい。
(相手や状況にもよるけれど……)
「今回の旅で、私は多くの事を学び、新たな気付きを得ました。そして、自分の奥底に仕舞い込んでいた幼い頃の夢……その気持ちを偽れなくなってしまったのです」
「ケイヤ……お前…………」
ランニス子爵は父として娘の願望を兼ねてあげたい。だが、彼は同時に王国貴族でもある。その責務として娘を諫めなければならない立場でもあり、子爵の中で気持ちが葛藤しているようだ。
「イッシンたち“白鹿の旅人”は冒険者として、この国に多大な貢献をしております。私も聖騎士ケイヤ・ランニスとしてではなく、今後は冒険者ケイヤとして、影ながらこの国を支えていきたいと思っております。どうか……私の願いを聞き届けてはくれないでしょうか! 陛下!」
「……………………」
王は無言のままケイヤを暫く見つめた後、深くため息をついた。
「はぁ……。おい、イッシン。ディオーナ。てめえらの所為でドラゴンスレイヤーの一人が聖騎士辞めたいってよ?」
「ええ!? お、俺の所為ですか!?」
「ふふ。どうせこの子は何時か、勝手に飛び出て行っていたさね。この私のようにね」
ディオーナが王に対して軽口を叩くと周囲の貴族や兵士たちは眉をひそめたが、彼女はどこ吹く風といった感じであった。流石の年季か肝が据わっている。
「おい、ジェイド! テスト問題だ。王太子としてお前は、この件をどう処理する? 次代でこいつらを導くのはお前の役目だ。ケイヤ・ランニスの件はお前が判断して決めろ!」
王はケイヤの一件をジェイド第一王子へとぶん投げた。
突然話を振られたジェイドは苦笑いを浮かべながら口を開いた。
「陛下、いきなりですね……。では、次代の王の立場として言わせて頂きますが……ハッキリ言って論外ですね。ケイヤ・ランニスの話は承諾しかねます」
「ま、そうだな」
さも当然とばかりに王太子が返答し、王も納得して頷いた。
それに真っ先に反論したのは、なんとシグネであった。
「ケイヤ
「――――シグネちゃん、ストップ!!」
慌てて名波がシグネの口を塞いだが遅かった。
王はジロリとシグネの方を見て話しかけた。
「今は褒賞の話だぞ? ケイヤ・ランニスの要求を受け入れるわけにはいかねえだろーがよ!」
「ど、どうして!?」
名波の手を払いのけて、シグネがしつこく食い下がる。
それに対して王は呆れながら説明した。
「あのなぁ……竜を倒した褒美が『聖騎士団を辞めたいです』なんて発表、公に出来ると思うか?」
「「…………あ」」
これにはシグネだけでなく、ケイヤも思わず声を上げた。
王に続いてジェイドも苦笑しながら説明する。
「それは言い換えると、聖騎士団に務めている状態が苦痛であるとも捉えられてしまう。更に今回、ケイヤ嬢は聖騎士団員ではないという設定で火竜討伐に挑んでいたからね。どちらにせよ、彼女の願いを公の場での褒賞にするわけにはいかないのだよ」
全くもってその通りだ。返す言葉もございません。
これは……恐らくジェイド第一王子も王太子として王に試されていたな。うっかりケイヤの願いを褒美として聞き入れていたら、今頃は王からお叱りの言葉が飛んでいたに違いあるまい。
どうやら次代の王太子は優等生なようだ。
一方、己の失言に気付かず、熱く夢を語っていたケイヤは顔を真っ赤にしていた。
(ケイヤ……意外にやらかすタイプか?)
「で? ジェイド。褒賞の件を抜きにして、ケイヤ・ランニスの件はどう対処する?」
「私としては聞き入れても問題は無いかと。彼女は実に惜しい人材ですが、望まぬ者に望まぬ事をやらせても効率が悪いですからね」
「ふん。そんな綺麗ごとばかりで王は務まらんが……まあいい。冒険者としてもこの国に貢献すると本人からの言質も取った。どっかのババアとは大違いだな」
「おやまあ。次代の王様はどっかのジジイと違って話が分かるお方だねぇ」
「うっせえ、ババア! 俺はまだジジイって歳じゃねえ!」
「私もまだまだ現役冒険者さね!」
突如始まった王とディオーナ婆さんとの口論に、周囲の者たちは呆れて見ていた。どうやら二人は思っていた以上に気心の知れた仲だったらしい。
「ごほん! あー、ケイヤ・ランニスの件は王である俺が許す。ただし! 自分の親はお前自身が説得してみせろ!」
ケイヤは先ほどから落ち着きのない様子のランニス子爵へと視線を移した。
「父上……どうか私の我儘を聞いていただけませんか?」
「お前は……本当にそれがお前の望みなのだな? 私は……今までお前に無理をさせていたのか……?」
「父上、それは違います。私は何も、聖騎士団が嫌いで冒険者になりたいのではありません。聖騎士団員である事に誇りを持ち、私もそれで良いと思って生き続けてきました。ですがが……それ以上の存在に気付かされた……それだけなのです」
「ケイヤ……」
ランニス子爵は少しの間だけ目を閉じ、決心してから目を開いた。
「分かった。お前の人生だ。悔いが無いように全うしてみせろ!」
「はい! 父上!!」
これで解決かと思いきや、異を唱える者が現れた。
「私は反対ですね」
それは聖騎士団長――――ニコライ・シューゲルからの発言であった。
(意外……いや、当然といえば当然か?)
ケイヤは逸材だ。そんな聖騎士を手放すなど、騎士団の長が快く頷くわけがない。
ただ、ニコライという男は短い付き合いながらも、本人の意向を汲むタイプだと勝手に思い込んでいたので、それだけに意外に感じられたのだ。
「団長…………」
「ケイヤ。そんな簡単に抜けられる程、聖騎士団は軽い場所ではない。聖騎士団の試験に合格し士官学校の学費を払っているとはいえ、ここまで君を支援して育て上げたのは国や先輩聖騎士たちだ。その恩を返さず、火竜一匹倒しただけで去れるとは……思っていないよね?」
「…………はい」
ケイヤは一切反論できず、申し訳なさそうな表情で頷いた。
またシグネが飛び出しそうな局面であったが、今度は違う者たちが助太刀に現れた。
「お待ちください、団長!」
「どうか、ケイヤを快く旅立たせてあげてください!」
ロイとレーフェンだ。
同じ立場の同僚聖騎士として二人が口を挟んできたのだ。
そんな二人に対して、ニコライは諭すかのように声を掛けた。
「……確かに君たちは竜を討つという偉業を成し、国に貢献した。だが、その君たちの力は国や聖騎士団が今まで助力してきたからこそ、得た力だとは思わないかい? 竜を一匹討つだけでは……不足だね」
その発言に一部の貴族たちは同意するかのように頷いていた。
どうやらニコライと同じ考えを持つ者は多いようだ。
だが、ロイたちも負けてはいなかった。
「でしたら……竜を討つ以外の貢献をお見せすれば宜しいのですね?」
「…………どういう事かな?」
ロイは一冊の本を取り出して見せた。
(あれは……!?)
「これは“魔法書”です。我々がダンジョン内で手に入れたマジックアイテムです」
「ま、魔法書じゃとぉおおお!?」
真っ先に大声を出したのは高齢の爺さんであった。
先ほどから全く声を出さなかったご老人がいきなり飛び出してきて、俺たちが首をかしげていると、近くに居たケイヤが教えてくれた。
「あのお方は王宮魔導士長、ユーミウス・ブラガ殿だ。国内で最も魔力の高い魔法使いだ」
「あー、あの爺さんが……」
ずっと昔にケイヤが話していた魔力10万越えがあの人か…………
(見る限り、かなりの魔力を持っていそうだが……やはり俺ほどじゃあ無いな)
転移特典なのかは知らないが、俺の魔力量はバグっているので、それと比べるのは些か可哀想か。
今の佐瀬は魔力量9万近くもある。そんな佐瀬以上に魔力があると考えると、あの爺さんも相当な使い手であった。やはり国家戦力は侮れない。
「ブラガ魔導士長。その“魔法書”とはなんだ? まさか……」
「ええ、陛下! ご察しの通り、魔導書のような代物です! ご存じないのも無理はありません。このバーニメル半島内で“魔法書”を有すると公言している者はおりませんからな」
「魔導書……!」
「これが噂の……!」
魔法書は知らなくても、魔導書の方はそれなりに有名だ。
基本五属性全ての魔法名がそこに記載されている魔本……それさえあれば、魔法の習得も確実に早まるとさえ言われている
ブラガ魔導士長の説明に補足する形でロイが発言した。
「陛下。この“魔法書”は“魔導書”とは違い、基本五属性の魔法に加え、光と闇属性も加えた、あらゆる魔法の名前と習得者の人数が記載されております。その等級は……
「「「
「「「全属性!?」」」
ロイの発言に王や貴族たちだけでなく、兵士たちも動揺していた。
まず
実際のところはもっと数もあるのだろうが、この魔法書のように国家にとって無視できないアイテムである為、その存在を秘匿されているものと思われる。
「この魔法書は我々が
「お? お、おう……」
これにはさすがの王も戸惑っていた。
火竜の亡骸丸ごとに匹敵するくらいのマジックアイテムに動揺を隠せないでいたからだ。
「ニコライ団長! この成果もプラスでは……ケイヤとは釣り合いませんか?」
「……成程。これはしてやられたね」
先ほどは王に献上すると言ったが、それを馬鹿正直に受け取る者はこの場にはいない。
つまり、これは交換条件なのだ。
ケイヤと魔法書、どちらを取るかの二択である。
「ニコライ! 魔法書じゃ!! 聖騎士と魔法書では、断然魔法書を取るべきじゃ!! 十分、お釣りがくるわい!」
「…………一応、ケイヤは将来有望な私の可愛い部下なんですけどね」
魔法書に夢中で話を全く聞いていない魔導士長にニコライは苦笑しながら呟いていた。
「私の負けだよ……いいだろう。ケイヤ・ランニス! 君の聖騎士団の任を解く。寮の自室と荷物は近日中に整理する事。尚、任務中に知り得た情報に関しては、除隊後も一切漏らさぬ事。いいね?」
「はい! ニコライ団長……長い間、お世話になりました!!」
ケイヤは目を潤ませながら深く頭を下げた。
色々と騒動はあったが、ケイヤの除隊申請については決着がついた。
(まさかロイたちが魔法書を交渉材料に利用するとはなぁ)
ダンジョン探索時、ケイヤが他のマジックアイテムの所有する権利を放棄してまでロイたちと相談していたのは、こういう事だったのか。
(多分、ニコライ団長もグルだな)
恐らく彼は魔法書の存在を知っていたのだ。最初からロイたちと示し合わせていたのだろう。
だからこそ「火竜一匹倒したくらいでは……」なんて台詞を強調していたのだ。そこに国宝級のマジックアイテムを追加したのだ。これで誰も文句は言えまい。
それにしても……王宮とは何時もこうなのか? 何かを交渉する際、毎回誰かしらに根回しが必要なの? 俺には真似できそうにないね。
ケイヤの褒賞についても一旦後回しになり、今度はディオーナの番となったが、彼女はそれを放棄した。
「私はいらないよ」
「そんな訳いくか! 受け取れ! 婆さんは金な! 以上!」
「ちっ!」
「「「…………」」」
婆さんと王様のそんな短いやり取りだけで即決してしまった。
うん、全部こんな感じの交渉事だと楽でいいな。
さて、いよいよ俺たちの褒賞であるが、実はもう内容を決めていた。
代表してリーダーの俺が申し出る。
「どうか我々に土地を頂けませんか?」
「あん? お前らも領地が欲しいのか? なら、貴族になれ! 叙爵をするつもりがあるのなら、それなりの領地をくれてやる」
王の言葉に俺は首を横に振るった。
「いえ、そんな大層なモノは望んでおりません。大きな庭付きの屋敷が建てられるくらいの、それくらいの土地が欲しいのです」
「む? てめえらの拠点が欲しい、という事か? だったら王都でもブルタークでも、立派な屋敷でも与えてやろうか? ただし、土地は貸すだけだな。土地を所有できるのは貴族だけだ」
成程。そうなってしまうのか。
(これは些か面倒事になるかな?)
意を決して俺は深く踏み込んだ質問をした。
「……ちなみに、そのお借りした土地に、私の許可なく誰も踏み込めない……そういう条件付けは可能でしょうか?」
「それは……王でもある俺でもか?」
「あ、いえ! 流石にそれは……」
「全く要領を得んな。何故、土地が欲しい。詳しく説明しろ」
参ったなぁ。やはり
それに黙ったまま実行してバレると後が怖そうだ。
(……うん、やはりここは王様だけにでも話しちゃうか)
「陛下。折り入って内密に相談したい事があるのですが…………」
俺が周囲の目を気にしながらそう告げると、王は即座に理解を示してくれた。
「よし。俺だけで聞いてやる。奥の部屋に来い」
思った以上に行動力のある王に慌てたのは、護衛の近衛兵であった。
「お、お待ちください! 彼は竜をも屠る冒険者です! いくら無手とはいえ、陛下と二人きりにさせる訳には……」
「じゃあ聞くが、お前らなら武器有りでこいつを止められんのか?」
「ぐっ!? 命を賭してでも、陛下を逃がす時間を稼ぐくらいなら……」
近衛兵たちも中々の力量を持っているようで、恐らく俺たちの実力も凡そは推察できるのだろう。
だからこそ返答に言葉を詰まらせたのだが、それは護衛の戦力が不十分だと明かすようなものだ。
近衛の一人はチラチラとニコライ団長の方を見ていた。
確かに彼ならば護衛役として適任なのだろうが、王を守るのは近衛の務めだ。衆人環視の中で管轄違いの聖騎士団長に協力要請するのはプライドが許さないのだろう。
そんな彼らの気持ちを察してか、ニコライ・シューゲルが口を開いた。
「彼ら“白鹿の旅人”は火竜討伐で更に腕を上げているようです。今の彼らの実力ならば、仮に素手だとしても、四人全員であれば私でも勝ち目は薄いでしょうね」
「ほう? そんなに強いのか?」
ニコライの発言に王は興味津々であった。
「な!? で、でしたら余計に危ないではないですか!?」
ニコライの発言は火に油だ。近衛兵たちはますますこちらを警戒してしまった。
そんな状況の中、佐瀬が恐る恐る手を上げた。
「あのぉ……別にわざわざ別室に行かなくても、私の魔法【テレパス】で密かに会話をすることは可能ですが?」
「おお!? 【テレパス】を使えるのか!?」
佐瀬の発言にブラガ魔導士長は興奮していた。
……この爺さん、血圧大丈夫か?
「ブラガ魔導士長。【テレパス】とはどういった魔法だ?」
「中級の雷魔法で対象者と離れた場所で会話が出来る魔法ですじゃ」
「それに会話は頭の中でやり取りできますので、他人に聞かれる心配もありません」
「ほう?」
佐瀬の補足説明に王は感心していた。
「面白そうだ。試しにやってみせてくれ」
「はい」
佐瀬が【テレパス】を発動し、俺たち仲間四人と王にだけ接続した。
『王様、聞こえますか?』
『うお!? あ、ああ……聞こえるが……これが念話という奴か……妙な感覚だ』
分かる。慣れるまで突然脳内に声が響くので身体がビクってなるのだ。
『で? 念話を使ってまで秘密にしておきたい相談事ってなんだ?』
王の問いに俺は返答した。
『転移陣を手に入れました。それを国内に設置する許可をください』
『…………はああああああっ!?』
王は今日一番の大声を出した。
脳内の中でだけど…………
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