第157話 配置換え
クリスタルダンジョン
サンクトランドの森の中にある階層型ダンジョンだ。
内部はただの洞窟というより鍾乳洞に近く、足元は所々水場もあって微妙に滑りやすい。このダンジョンには水の加護を持つ魔物が多いそうだが、他にも様々な種の魔物が棲息していた。
「ここのダンジョン、最高到達階層が114階だそうだ」
「114!?」
「深過ぎない!?」
しかも、一階層ごとに結構な広さがあるらしく、魔物のレベルはゆっくり上がっていくらしいので、最初の方はかなり焦らされるダンジョンだと聞かされていた。
ここを訪れる冒険者たちも長期間滞在を想定して挑み続けているそうだ。
尤も、ここのボス部屋は5階層ごとで転移陣も往復可能な仕様となっている。一度の探索で五階層ずつ進んで町に戻るのがセオリーな攻略法のようだが……
「わざわざ町を往復する時間も惜しい。最初は飛ばして進むぞ」
「そうね。この辺りの階層は正直、得るもの無さそうだし……」
入ってすぐの場所にはカエルの魔物が飛び跳ねていた。確か討伐難易度Eランクのホッパーフロッグだ。それらの相手をしているのは冒険者成り立ての若者だけである。
俺たちは無謀にも襲い掛かってくる魔物だけを相手にして先を急いだ。
お昼前にはもう5階層の守護者部屋へと辿り着いたが、ボスは留守であった。話によると、ここのボスのリポップ時間は大体2、3時間らしい。ブルタークダンジョンと同じで、低階層だとまずボスにはお目に掛かれないと思った方がよさそうだ。
一応、転移陣が使えるかの確認をしておく。
「うん。ちゃんと往復できるな」
「これなら物資が切れても一度町に戻れるわね」
マジックバッグにはかなりの食糧を用意してあるので、まず切れる事は無いだろうが……何時でも町に戻れてリトライ出来るというのは精神衛生上にも有難い。そもそも前回挑戦したクレイヤードダンジョンの方がイレギュラー仕様なのだ。
その後も順調にダンジョン内を探索し、一日で13階層まで辿り着けた。無理をすれば15階層まで進めるが、丁度良さそうな夜営ポイントを見つけたので、今夜はそこで一夜を明かす事にした。
「ゴーレム君。見張り宜しくな!」
サムズアップで応じるゴーレム君。
彼が居るお陰で、魔物が湧きそうな場所でも俺たちは問題なく眠る事ができる。一番気になるのは同業者たちの存在だが、ゴーレム君を突破して俺たちにちょっかい掛けられる存在はそうそういないだろう。
翌朝、起きて周囲を確認すると、少し離れた場所に冒険者の集団が集まっていた。
「ん? ……なんだ?」
「あ、矢野君。おはー!」
既に名波は起きていたようで、何やら冒険者たちと会話をしていた。
なんでも俺たちの傍を通りかかったパーティがゴーレム君の存在に驚いて寄って来たらしい。敵意がなかったらしいのでゴーレム君も穏便な対応をしていたようだ。
このゴーレムが一体何なのか気になっていた冒険者たちが、いち早く目覚めた名波に事情を伺っていた……という場面だったらしい。
「それじゃあそのゴーレム、お前さんらが造ったのか!?」
「うん。正確には彼がね」
名波が俺の方を指差した。
「なあ、君! 俺たちにも、そのゴーレムを造ってもらう事は可能か!?」
同業者たちからは結構同じような質問をされるのだが、生憎それは難しい注文だ。
「悪いが無理だな。材料が希少過ぎる上に、そもそもそんな時間も無い」
「そ、そうか……」
その冒険者たちは諦めて俺たちから離れていった。
全員が彼らのように聞き分けが良ければ有難いのだが、中には……
「テメエらのゴーレムを寄こせ!」
「金貨5枚で買ってやるからよぉ!」
「ほら、さっさと……ほぎゃあ!?」
馬鹿どもをゴーレム君がグーパンで撃退していった。これでもかなり手加減をしているのだが、冒険者たちは慌てて逃げ去った。
「全く……ゴーレム君をそんな
金貨5枚の価値を付けられたゴーレム君もご立腹なのか、逃げ去っていく冒険者たちに中指を立てていた。
(誰だ! ゴーレム君に下品なジェスチャー教えたのは!? 教育に悪いだろうが!)
どうもシグネや名波がゴーレム君にアニメ動画を見せているのが原因なようだ。最近やけにポージングのバリエーションが増えていると思ったがそういうことか。
ゴーレム君が魔物相手にデンプシー・ロールをし始めた時にはびっくりしてしまった。
そんな些細なトラブルはあったが、俺たちは順調に探索を続け、数日後には50階層まで到達した。
ここからはBランクの魔物も稀に出始めるので、やっとまともな素材を得られる所までやってきた。
「あー、みんな。提案なんだが、ここから先は戦い方を変えてみよう」
「戦い方を……変える?」
佐瀬が不思議そうに首を傾げた。
「ああ。こっからは対火竜戦を想定して、各自の至らない部分を鍛えていこう」
「至らない部分…………私だと闘力って事かしら?」
「その通りだ」
本来、パーティ戦闘ならそれぞれ特化型でも機能するのだが、格上相手だとそうは言っていられない。
例えば佐瀬は近接戦闘が不得手だ。まぁ、そこらの冒険者たちよりかは数段マシなレベルなのだが、それがS級以上の化物相手となると誤差の範囲でしかなくなってしまう。魔法使いは火力こそが最も大事だとは思うが、咄嗟の危機に対して動けるのに越したことは無いだろう。
そして、それは他の者も同様だ。
俺は魔法の扱いが苦手で火力や遠距離攻撃に乏しく、名波は魔力不足から魔法耐性にかなりの不安を抱えている。シグネは万能型だが、突き抜けた何かが無いとこの先は厳しいだろう。しかも、シグネの得意魔法は風だが、今回の火竜戦においては相性が最悪なのだ。
俺がそう指摘すると各々も分かってはいたのだろう。三人とも苦々しい表情を浮かべていた。誰だって苦手なモノより得意なジャンルや好きな事を伸ばしたいと思う。それに、そう簡単に克服出来ないからこそのウィークポイントなのだ。
「俺もそう簡単に解決できるとは思ってない。だからある程度でも良い。本格的にレベルの高い階層に辿り着くまでは、一度ポジションを変えてみよう」
「……確かにそうね」
「でも、具体的にはどうするの?」
「それは…………」
俺の提案に三人は三者三様な反応をした。
クリスタルダンジョンに入って一週間後、俺たちは現在57階層を探索中であった。
この辺りになると他の同業者も、上級冒険者で構成されているパーティだらけとなっていた。
そんな上級冒険者パーティの一つが、俺たちに……、正確には佐瀬と名波に声を掛けてきたのだ。
「そこの彼女! 俺たちと一緒に探索しない?」
「俺たち、こう見えてB級パーティだぜ?」
「俺も
下品な声を掛けてきたのは男五人組の冒険者パーティであった。確かに彼らの首からはB級の証である銀のライセンスがぶら下がっていた。この階層に居るという事は実力も相応にあるのかもしれない。
魔物を無事倒し、槍の矛を上に立てた佐瀬が男たちを一瞥した。
「ふん、お断りよ。どちらも大したこと無さそうだし、我流で学んだ方が健全ね」
佐瀬は何時もの杖ではなく、鉄の槍を持っていたのだ。代わりに名波が新しく用意した杖を持ち、シグネだけは何時もと同じ愛刀を装備していた。
俺も名波と同じで自分で作った杖を持っている。もうお気づきだとは思うが、一部の武装を変更し、更にはポジションも前衛後衛と入れ替えたのだ。
「おいおい、強がりは良くないぜ? アンタの槍捌きを見たが、てんで素人だ」
「まるで槍を持ったばかりのルーキーみたいだぜ?」
みたいではなく、まさに佐瀬は槍に不慣れであった。
(いや、俺と会った当初は、佐瀬も石槍を使っていたか……)
ただし、彼女の戦闘スタイルは基本的に魔法がメインであり、槍はあくまで護身用に装備していただけだ。
ナンパ男たちと話していたら、魔物が再び近づいて来た。
リバーセベクス……推定ランクBの水魔法を扱うワニだ。大きさもそこそこある。
「あー、もううっさい! 邪魔しないで離れなさい!」
「へいへい。折角だから見学させてもらおうかな」
男たちはニヤつきながら離れていった。さすがに戦闘中に手を出せば完全な敵対行為となる。そこを理解しているのか、冒険者たちは俺たちから一旦距離を取って、こちらの戦いを見学するつもりのようだ。
何時もは前衛である俺や名波、シグネが真っ先に突っ込むのだが、今その役目は佐瀬に託されている。彼女は相変わらずのローブ姿であるものの、槍を手に持ちリバーセベクスへと突撃した。
「このぉ!」
力任せの攻撃だが、ワニの皮膚は思ったより硬く、反撃の噛みつき攻撃に佐瀬は慌てて後ろに下がった。
「私に任せて! 【ルイン】!」
名波が闇魔法で援護する。ただし、最下級魔法の威力なのであまり効果が見られない。
「ハッハー! なんだ、あのへっぴり腰は!」
「腰の扱いがなってないんじゃねーのぉ?」
「槍じゃなく腰の扱いも教えてやろうかぁ? ギャハハ!」
「あっちの女……闇魔法とは珍しいが、威力は大したことねぇなぁ」
ギリッと佐瀬は歯ぎしりしながら冒険者たちを睨みつけた。
だが、その余所見が良くなかった。
その隙にワニが水魔法【ウォーターバレット】を放ってきたのだ。
俺はすかさず【ファイア】で相殺しようとする。俺の魔法は魔力量によるカバーで通常より一段階威力は高めとなっている。相性の悪い水魔法もなんとか相殺できたが、相手は更に魔法の数を増やしてきた。そうなると俺の魔法操作も徐々に追いつかなくなってくる。
(くっ! 魔法の連射を魔法で撃ち落とすとか……かなりムズイな!? 佐瀬、よくあんなに迎撃出来てたなぁ!?)
やはり俺は回復魔法以外はとことん苦手らしい。一定以上の魔力を籠めると必ず暴発するし、威力を押さえたとしても魔法操作の技術には難があった。
俺の拙い技量では全てを撃ち落とすのは不可能で、抜けた何発かの水魔法は仲間たちに被弾してしまった。
「ププッ! あのガキの魔法使い、だっせぇ!」
「そんな低レベルで良くここまで来れたなぁ?」
「男ならやっぱ前衛っしょ! このチキン野郎が!」
散々な言われようである。
(おい、そこのお前! 男イコール前衛ってのは古臭いからな! 今は多様化の時代だ!)
こっちの世界ではどうか知らないが……
「ちょ!? おいおい、あのおチビ……マジか!?」
「味方を……誤射していやがる!」
「マジでクソ雑魚パーティ過ぎて、受けるんですけどぉ!」
シグネは後方で下級の火魔法【ブレイズ】を俺の背中にバシバシ当てていた。これは誤射なんかではなく、俺の指示で敢えてそうしているのだ。
火竜戦で鍵となるのは、どれだけ奴の炎を防げるかにあると思っている。
ディオーナさんとの戦闘を見学して俺が導き出した結論は、全ての火炎攻撃を避けるのは不可能だという事だ。ならば、どこかで必ず被弾する覚悟を持って挑まなければならない。
ただし、火竜のブレスや【エクスプロージョン】擬きの大火球を受けるのは論外だ。あれだけは絶対喰らわないよう立ち回り、それ以外の細かい攻撃に耐え忍びながら火竜と戦闘していく……それが今のところの方針だ。
その一環として行っているのが、味方からのフレンドリーファイアで耐火能力を得る試みだ。佐瀬は既に【属性耐性(火)】を入手していたが、欲を言えばそのスキルを全員に身につけさせたいのだ。
さすがに魔力の低い名波にいきなり【ブレイズ】を当てるのは危ないので、彼女には魔力量を増やすのと同時に新魔法を覚えさせる為、極力魔法だけで戦ってもらっている。
シグネにも火魔法を鍛えてもらって【フレイムバリアー】という魔法を何としても習得してもらいたかった。バリアー系魔法が有ると無いとでは火竜戦も大分変ってくるだろう。
かなり不格好な訓練方法だが、当分はこの形で探索を続ける予定だ。
なんとかBランクの魔物相手に辛勝した。
ドロップ品と魔石を回収していると、見学していた冒険者たちが再び近寄って来た。
「へへ、お疲れさ~ん」
「お嬢ちゃんたち、ちょっとそこの岩陰で俺たちと休憩しない?」
「あー、野郎は一人で探索続けていればー?」
こいつら、本当に愚かだな……
「さっさと失せろ」
「消えなさい」
「勝手に休んでれば?」
「バーカ! アホー!」
俺たちは一斉に相手を罵ると、男たちは遂に武器を抜いてこちらに刃を向けた。
「ちっ! どうやら少し痛い目を――」
「――抜いたな?」
「…………へ?」
こちらも剣を抜き、一瞬で男たちの武器を破壊した。
佐瀬も我慢の限界だったのか、男たちの近くにデカい雷を落とす。
「……で? 誰が何を教えてくれるって?」
「あ……あがっ……!」
身体中から放電している佐瀬を見て、男たちは怯えていた。今頃になって力量差を悟ったようだ。
何時の間にか背後に回り込んでいた名波とシグネが、他の男たちの喉元に刃を突き付けていた。
「ねぇ? 誰の魔法が大した威力ないのかなぁ? 私の魔法、馬鹿にするのかなぁ?」
「私たち、こんなに強いんだからね!」
「ひっ!?」
「し、失礼しましたああああ!!」
男たちは一目散に逃げ出した。
それを見送った佐瀬が頭を抱えながら絶叫した。
「ああああっ!! フラストレーションが溜まるわー!」
「確かに……慣れない戦闘を続けるとイライラするよなぁ」
「そうかな? 私は魔法を撃ち放題で面白いよ!」
「うーん、イッシン
この特訓、名波以外には不評なようだ。
だが、まだ初めたばかりなので、当面はこの戦闘スタイルを維持する事にした。
更に一週間後、慣れないポジション変更や戦闘スタイルに四苦八苦しながらも、俺たちはようやく70階層まで辿り着けた。
70階層の守護者はAランクのナーガである。上半身は人で下半身が蛇の化物だ。
蛇独特の動きと俊敏さで前衛の佐瀬を翻弄していた。しかも上半身は人であり、その両手にはそれぞれ槍を所持していたのだ。
「ちっ! 二本は反則よ!」
守勢に回りながらも、佐瀬はなんとか後退せずにその場で踏ん張る。前衛の仕事をきっちり熟していた。
その隙に俺たち後衛組が魔法を放った。
「【レイ】!」
「【ファイアーアロー】!」
俺とシグネが光と火の魔法攻撃を放った。それをナーガは俊敏な動きで回避する。アロー系魔法は避けきれなかったのか、何発か被弾したようだが、どうやらナーガも水の加護を持っているようで火に耐性があるようだ。
だが、被弾したお陰で僅かにナーガの足が止まった。その隙を名波は見逃さず、横から魔法を放った。
「――【ブラインド】!」
――――っ!?
突如ナーガの頭部に黒い
「貰った!」
相手の動きが乱れた隙に佐瀬がナーガの首に槍を刺す。それでもまだ相手の息の根を完全に断てなかったのか、ナーガは佐瀬に向かって反撃しようとしてくる。相手に槍が刺さったまま抜けないのか、仕方なく佐瀬は槍を手放して離脱する。
「くっ!?」
「サヤカ
咄嗟にシグネが前に出て、炎の剣を生み出した。下級魔法の【ファイアーソード】である。
「ええい!」
シグネの炎の剣がナーガの槍の穂先を二本とも斬り落とした。
「隙ありだよ! 【シャドーエッジ】!」
名波もシグネに対抗したかったのか、闇の短刀を生み出して相手に投げつけた。闇の下級魔法【シャドーエッジ】は魔法でも変わり種の投擲魔法である。
闇の刃で全身串刺しになり、弱り果てたところに俺の魔法【レイ】がようやく炸裂した。
それがトドメとなったのか、ナーガはようやく動かなくなり、ドロップ品と宝箱を残して消えていった。
「ふぅ……なんとか勝てたわね……」
ナーガが消えてなくなり、無事に槍を回収できた佐瀬がぼやいた。
「大分動きが良くなってきたな」
「これだけ前で戦わされたらね。でも……イッシンの魔法技術は相変わらず微妙よね」
「うぐっ!?」
このポジション交換で一番進歩が見られなかったのは俺であった。どうにも魔法技術が一向に上達する気配が見えないのだ。
(俺が言い出しっぺの手前、訓練中止とも言いづらいし……困ったなぁ)
この膨大な魔力を使いこなせれば無敵だとは思うのだが、どうやらそう簡単にはいかないらしい。
代わりに他の三人は見事に成長を遂げていた。
「やったー!! 今の戦闘で遂に【フレイムバリアー】を覚えたよ!!」
「おお、やったね!」
「シグネ、偉い!」
この魔法があれば味方の耐火能力を向上できる。火竜戦においては必須とも呼べる魔法だ。
「イッシン
「ん? ああ、そうだな。俺たちも全員【属性耐性(火)】スキルを手に入れたし、今後は自由に戦ってもいいぞ」
「やたー!!」
最近の戦闘は余程フラストレーションが溜まっていたようで、自由行動を許されたシグネは大はしゃぎだ。
「ねえ、イッシン。私の方もそろそろ良くない? 闘力も一応、一万を超えた訳だし……」
「……そうだな。この機会に各自、元のポジションに戻そうか?」
「うし! これで魔法をバンバン撃てるわ!」
佐瀬がガッツポーズして笑みを浮かべた。
多分、このポジション変更で一番イライラしていたのは佐瀬だろう。
(ふぅ、俺だけ成長なかったけど、これで自然な形でポジションも戻せたし……正直助かった)
やはり俺は前に出て戦うのが性に合っているらしい。まぁ、少しは魔法を放つタイミングとか立ち回り方を身に付けられた気もする。ほんの僅かだけだが……
「私はこのままでいいかな? 闇魔法、結構便利そうだし」
名波は順調に魔力量を増やしていき、魔法のバリエーションも増えていた。
相手の視界を奪う【ブラインド】
逆にこちらの暗視能力を上げる【ダークアイ】
先ほど見せた闇の刃を投擲する【シャドーエッジ】
特に面白いのが【シャドーエッジ】だ。この魔法はどんな硬い相手にも必ず刺さる。しかも、この刃を受けた相手は一定時間、闘力と魔力を低下させるという、所謂デバフ系の攻撃魔法なのだ。
俺の身体とシグネの鑑定を使って既に実験済みである。
闇の刃は刺さっても全く痛くないのだが、刺さった本数分だけデバフ効果が重複する優れ技だ。闇の刃は数分経つと消えてしまうが、その間は相手の能力を一時的に低下させられる。
射程距離は短めで扱いづらい魔法だが、名波のスキル【的中】を組み合わせる事により、多少の射程が延びた上に彼女はまず狙いを外さない。魔法以外ではガード不可の超便利魔法だ。
「そうだな。名波も自由に動いてくれ。正直、闇魔法のデバフ効果がなかったら、あのフォーメーションのままだと、ここまで来れなかったと思うし……」
「あははぁ、お役に立てて何よりだよ!」
ここから先、71階層からはAランクの魔物も普通に出てくるらしいので、俺たちも本気モードだ。久しぶりの本格的なダンジョン探索に、俺たちは意欲を燃やすのであった。
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