第156話 冒険者の島サンクトランド
西ラビア王国の南にある島、サンクトランド
島と言っても火竜の棲み処である小島とは規模が違う広大な島だ。
島の南西部には立派な港があり、その近くには大きな街が存在した。島の中央には森や山岳地帯が拡がっており、その中に俺たちのお目当てであるダンジョンがあるそうだ。
(広いな。もしかして鹿江エリアもすっぽり収まるんじゃ……)
船の上から見る限りは、それくらいに大きな島のようだ。ただし、ほとんどが未開拓地の森に覆われていた。
俺たちの乗ってきた船が港に到着すると、すぐさま注目の的になった。船体のあちこちが破損していてボロボロだったこともあるが、ひときわ目を引いたのは甲板上にある大きく切り分けられたクラーケンの遺体だ。
冒険者たちの協力も有り、クラーケンの遺体は運びやすいサイズに解体されていた。突発的に行われたタコ焼きパーティーで少しだけ消費し、更には冒険者たちにも解体作業の報酬で分け与えたが、それでもまだまだクラーケンの遺体は残されたままだ。
「おい、あれって……」
「嘘だろ!? クラーケンだ!!」
「まさか奴を倒したのか!?」
見物人が多く詰め寄り混雑したが、港を管理していると思われる兵士たちが駆けつけて収拾をつけ始めた。
「ええい、集まるな!」
「大丈夫か? 怪我人はいないのか?」
今にも沈みそうな船を心配してか、兵士が船長へと尋ねて来た。
「ああ、問題ない。それよりクラーケンをさっさと冒険者ギルドまで運びたいのだが、野次馬どもをなんとかしてもらえんかね?」
「うむ、分かった」
俺たちの為に船長が兵士に口利きしてくれた。どうやら融通の利く兵士だったらしく、俺たち冒険者がクラーケンの遺体を運ぶ為の道を空けてくれた。
「そこ! 道を空けろ!」
「彼らを通せ!」
俺たち四人だけでなく他の冒険者たちも手伝ってくれて、そのまま街にあるギルドの買取所へ持ち運ぶ事となった。
(マジックバッグを使う手間が省けたな)
どうせ短い間滞在しているだけの島なので、人前で遠慮なく使っても構わないのだが、使用を避けられるのなら、それに越したことはない。俺たちは流れに身を任せてギルドへと赴いた。
港町から10分も掛からずに冒険者ギルド、サンクトランド支部へ到着した。
ここのギルドは平屋だが、その分横に長く広い建物であった。その周辺には野外修練場や酒場だと思われるオープンテラスなども備えられている。
ギルドの屋内に入ると中にも小さな酒場があり、当然受付カウンターに素材の買取所なども設けられていた。
その買取所に俺たちと、一緒に乗船していた冒険者たちがクラーケンの素材を持ち込む出すと、ギルド職員は大パニックであった。
「く、クラーケン!?」
「ほ……本物か!?」
「間違いない! 鑑定結果でもクラーケンと出るぞ!?」
騒ぎにはなってしまったが、無事クラーケンを納める事のできた俺たちは、手伝ってくれた冒険者たちに礼を言った。
「ありがとな。ここまで運んでくれて」
「なに、こっちこそ悪いな」
「結構な素材を貰っちまったからな」
どうやら相場より分け前を奮発し過ぎてしまったようだが、元の獲物が巨大過ぎたので致し方ない。その分、冒険者たちの心証を良くする事ができたと前向きに捉えておこう。
手伝いの冒険者たちと別れると、俺たちの元にギルド職員の幹部と思われる中年の男が声を掛けてきた。
「あれを倒したのは君たちだと伺ったのだが……本当かね?」
「ええ、そうですが貴方は?」
「失礼。私はここのギルド長、メバックだ」
いきなりギルド長が出てきた。やはりクラーケンを持ち込んだのは相当目立つ行為なようだ。
「俺はイッシンと言います。冒険者パーティ“白鹿の旅人”のリーダーです」
俺は簡単に挨拶するとギルド証を提示した。俺に続き佐瀬たちも順々に名を名乗る。
「ほぉ、B級冒険者か。あれはB級でどうにかなる討伐難易度ではなかった筈だが……君たちなら話は別ということなのだろうな」
どうやらこの人は元冒険者みたいだ。その元冒険者としての勘が、俺たちの実力をある程度見抜いたようだ。ギルド職員は元腕利き冒険者が引退後に就職するか、事務能力を買われて採用されるかの二通りがある。彼は前者のタイプだろう。
「ともかく強い冒険者はいくらでも歓迎だ。ここは冒険者の島でもあるからな。私に何か相談したい事があれば受付にでも言ってくれ」
そう告げるとメバックギルド長は去ってしまった。
「冒険者の島?」
「んー、確かに乗船客のほとんどが冒険者だったわよねぇ」
「街の人たちもステータス高い人が多かったよ!」
なるほど……ここは冒険者稼業で潤っている街なのかもしれない。
クラーケンの査定も無事に終わり、必要な素材以外は売り払った。クラーケンの足はなかなか美味しかったが、量があり過ぎたので半分はギルドに売ってしまった。久しぶりのSランク食材という事でギルド職員も嬉しそうにしていたから、これで少しは点数稼ぎになっただろうか。
買取を終えた俺たちは街の中をぶらついた。買い物と情報収集を兼ねての散策である。
「へぇ、この街以外にも小さな村があるのね」
「そうだよ、お嬢ちゃん。この野菜もその農村で獲れたものだぜ?」
見たことも無い赤い野菜を佐瀬が幾つか購入していた。どうやら鹿江にいる中野へのお土産にするらしい。
(この島と鹿江エリアは同じくらいの緯度だと思うし、あっちでも育てられるんじゃないのかな?)
この食品店で種は売っていないようだが、その農村とやらと直接交渉して見るのはアリだろう。
次に俺たちは港の方に戻って来た。クラーケン騒ぎでろくに見学できなかったからだ。
「色んな所から定期便が来ていたのね」
「ほとんどが島々を結ぶ定期便だけのようだね」
西ラビアの南には大小様々な島があり、その更に南沖には巨大な島国、エストール共和国があるらしい。
昔この辺りの島は西ラビアとエストールによる領土の奪い合いが行われていたそうだ。ここサンクトランドも例外ではなかったそうだ。
というか、ダンジョン資源のあるこの島が一番激しい係争地だったのだろう。
長年争ってきた二国間ではあるが、そんな状況なものだから冒険者たちが離れてしまい、当時はダンジョン攻略する働き手がいなくなってしまったとか……本末転倒である。
ようやく争いが無意味だと悟った両国が和解し、周辺の島々の領有権を分譲した。そして一番重要なこの地は名目上、サンクトランド自治州になり、形式上は両国手を引く事で決着がついた。
ここの領主には先住民であった者の一族から選ばれたが、実質は西ラビアとエストールの二国間による共同統治のような扱いらしい。
そういった奇妙なバランスで成り立っている島だが、戦争が終わり、冒険者たちが戻り始めた事で、これまでの停滞分を一気に取り返すかのように街が発展していったそうだ。
西ラビア、エストール共和国、そして領主一族と、どこの勢力も互いの目を気にしながら慎ましく政を行ない、しばらく平穏な時が続いていた。その反面、冒険者勢力は急拡大していき、なんとこの島だけでも支部が一つに出張所が三つもあるらしいのだ。
この街に住む金持ちの中には元冒険者が何人もいる。ダンジョンで一発当てて一財産築いた者がそのまま永住しているケースもあるそうだ。
まさに冒険者の島と呼ばれる由縁だ。
「うーん、どこも暗い歴史はあるものなんだねぇ」
「政治関係にはなるべく関わらないでおこう」
「冒険者で一発当てて金持ちかぁ。浪漫あるなぁ」
「成り上がりだね!」
(俺たちは一発どころじゃあ済まない気もする……)
その気になれば、すぐにでも引退して商売でも始めれば、多分一生安泰だろう。どんな大きな商品でも丸々納まるマジックバッグに空を飛ぶエアロカー……それらをフル活用して商会を立ち上げたら最強じゃない? 護衛も必要ないし、魔物の素材も自前で用意できるしね。
その代償として多少の自由を失うのと、様々な勢力が政治面、経済面で俺たちに介入してきそうだが……
(うん、駄目だな。魔物相手に戦っている方が気楽でいい)
ディオーナ婆さんほど自由気ままに振舞うつもりは無いが、どこかに腰を落ち着けるつもりは当分予定にない。
日が暮れ始めて来たので、日中予約していた宿に戻った。この街では最高級の宿である。室内の内装も文句なしだが、何より食事が美味しい。エイルーン王国ではあまりお目に掛からなかった海の幸が贅沢に使われていたのだ。
「んー! この島、いいかも……!」
「景観も良いし、気候も穏やかだよねぇ」
「私、ここに住みたい!」
三人共満足しているようだ。
だが、どこの土地も良い面があれば悪い面もある。
実はこの街の外には盗賊が頻繁に出るそうだ。その大半が成功を夢見て島にやって来た冒険者たちの成れの果てである。実力が伴わず落ちぶれて行った冒険者たちが盗賊に身を落とすらしいのだ。
中には実力があるにも関わらず、安易な考えで悪事に手を染める輩もいるらしい。この島は冒険者たちに優しくもあるが、その分弱者にはあまり優しくない。冒険者が犯罪に手を染めた場合、ギルド側も協力して討伐に当たるそうだが、それでも盗賊団の壊滅には至っていないと聞いた。
(こりゃあ、相当な規模の盗賊団だな)
島内の森は広いので盗賊たちが隠れられる場所はいくらでもある。だから一般人が他の村や港へ行く為には必ず護衛を付けるそうだ。
俺たち冒険者は勿論自衛だ。冒険者がダンジョン行くのに護衛を雇ったのでは笑い話にもならない。この島は盗賊から身を守れるだけの実力がない者はすぐに脱落していく。弱い者は盗賊に全て奪われ殺されるか、その軍門に下って一緒に落ちていくしかないのだ。
まさに負のスパイラル。
翌朝、俺たちはさっそく目的のダンジョンへ向かう事にした。
「あの、ぞろぞろ前を歩いてる集団は何だろう?」
名波が冒険者の集団を見て首を傾げていた。
朝早くだと言うのに、冒険者風の集団が一斉に街の外へ向かい歩き始めたのだ。雰囲気から察するに、同じパーティやクランでもない感じだ。どこか他人行儀な冒険者同士が同じ場所へと向かっていた。
「多分、盗賊対策じゃないか? 一緒にダンジョンに向かえば、低ランクの冒険者でも襲われずに済むからな」
「「「ああ……」」」
見たところ若い冒険者が多いようなので、あながち間違ってもいないだろう。
「ふーん……どうする?」
佐瀬が彼らと共にダンジョンに行くかと尋ねた。
「わざわざ襲われるのも馬鹿みたいだし、今回は一緒に行ってみるか」
仮に俺たちだけでダンジョンへ向かいに街の外へ出たら、高確率で盗賊が襲ってくると思う。俺のパーティメンバーは悪い意味でも目立つしね。返り討ちにする自信はあるが、俺たちは昨日この島に来たばかりでここの勝手がよく分からない。道案内代わりに彼らと共に出るとしよう。
外に出ようとしていた冒険者集団の最後尾に俺たちも加わる。
「よお! アンタたち、見掛けない顔だな?」
「ダンジョン行くんだろう? 俺たちと一緒しない?」
三人組の冒険者が声を掛けてきたが、彼らがぶら下げている冒険者証は鉄製だ。デザインからしてD級冒険者だろう。
(こいつら、俺たちの冒険者証が見えてないのか?)
余計なトラブルを避ける為、普段見せていない冒険者証をわざわざ身に着けて来たというのに……
「悪いが大丈夫だ。俺たち四人で挑戦する」
「そう言うなって! 俺たちが手伝ってやるからさー」
「一人で綺麗な姉ちゃんたち独占する気か?」
「強がるのも良いが、ここのダンジョン舐めてると怪我するぜ?」
駄目だ、こいつら……ハッキリ言ってやるか。
「手伝うってD級のアンタらがB級の俺らを? 不要だな」
「ハハッ! ランクが上だからって粋がるなよ?」
「俺たちは冒険者になってまだ一年ちょっとだからな」
「それでも十分なスピード出世だ! 実力的には既にB級の領域だけどな!」
なんでこう、冒険者は自信過剰な連中が多いのだろうか。あと、佐瀬たちは一年未満でB級まで上がっているからな?
「あー、はいはい。お強いのは分かったから自分たちだけで探索したら?」
「お荷物は要らないかなぁ」
「私たちは実力的にS級の領域だからね!」
うん、シグネちゃん。それはちょっと言い過ぎ……でも、ないのかな?
しかし、当然男たちはそれを冗談だと受け取ったようだ。
「ヒュー! 言うねぇ……嬢ちゃんたち!」
「だったら試してみるかい?」
「そのS級の実力とやらを俺たちに見せてくれね?」
しつこい連中が絡んでいる内に、他の冒険者たちはさっさとダンジョン方面に向かってしまった。この辺りには俺たちとこの目の前の三人くらいしかいなくなった。
(…………いや、他にも居るな)
林の影に潜んでいる者たちが全部で五人ほど居た。俺が気付いているのだ。当然名波も既に察知していた。名波が念話を使うよう佐瀬に合図を送る。
『もしかして伏兵?』
『あ、彩花も気付いてたの?』
『んー、なんとなくね』
これは状況的に考えても、目の前の三人と潜んでいる五人が共謀しているのは明白だろう。おそらく冒険者集団から俺たちを引き剥がすのがこの三人の役目なのだ。
だが、ここで潜んでいる者たちを先に排除しても、目の前の冒険者たちにシラを切られればそれまでだし、逆にこれくらいの口論で俺たちから相手に手を出すのも拙かろう。
『相手に先制させるぞ。その上で目の前の三人を無力化する』
『むぅ、面倒ね。全員ライトニングの刑でいいのに……』
佐瀬さん? 最近アナタ、脳筋になってきてません?
俺も面倒だとは思うが、ここで杜撰な対応を取ると後々もっと面倒になりそうな予感があった。
『駄目だ。目の前の三人と潜んでる五人がグルだという確証が欲しい。その上で排除する』
俺たちが念話で相談し合っているとは思いもしない三人組は、しつこく挑発行為を繰り返していた。
「オラオラ、どうしたよぉ? さっきから黙っちゃってさぁ!」
「S級の実力を見せてくれんだろう?」
「ほら、かかってこいよぉ!」
何時の間にか手合わせする話になっていた。多分その機に乗じて背後の連中が襲う算段なのだろう。
「ああ、いいぜ。ただし、模擬戦なら武器は無しだ。素手でやろう」
俺は敢えて隙を見せる為にも、わざわざ剣を置いて男たちに勝負を挑んだ。
「良い度胸だ。俺様が相手になってやるよ!」
三人の中では一番背の高い男が前に出た。彼は帯剣したままであったが無手のまま構えた。すると案の定、背後の敵たちも奇襲の準備を始めるべく配置を動かしてきた。
(……こりゃあ間違いなく共謀しているな)
武装している男ではなく、明らかに武器を捨てた俺の方を狙った配置だ。これがただの賊なら、まずは武装している方から奇襲する筈だ。
「じゃあ、行くぜ? おらああああっ!」
男は吠えながら握り拳を俺に突き出そうとした。
それとほぼ同タイミングで背後にいた賊たちも一斉に動き出す。
俺は正面の男の拳を躱すと、そのまま腕と相手の肩を掴み、足を掛けてクルリと互いの体勢を入れ替えた。丁度後ろから斬りかかって来た男の盾になってもらった。
「……へ?」
「なっ!?」
賊が振り下ろした剣は絶妙なタイミングで、俺と対峙していた男の背中を斬りつけた。
他の賊たちも襲い掛かってきたが、俺たちは相手の攻撃をかわし続けた。
「テメエ、何しやがる!?」
「よくも仲間を……!」
残された二人の冒険者は、急に現れた賊の方を無視して俺たちに剣を向けた。
はい、これで確定。
「おいおい。俺は後ろから賊に斬りかかられた被害者だぜ? なんで賊の方ではなく、俺に剣を向ける?」
俺が尋ねると冒険者たちは怒鳴り返した。
「う、うるせえ……!」
「もうこうなったら……テメエは死ぬしかねえぞ?」
こうなったらもなにも、最初から殺意満々じゃねえか。
「そうか? お前らを返り討ちにしてお終いだと思うがな」
「クク! 後ろの連中は元B級冒険者だぜ?」
「ラッキーで一人片付けたくらいで……調子に乗るなぁ!」
本性を現した二人も賊に加わりこちらに攻撃し始めた。
もう証言も得た事だし構わないだろう。
「佐瀬! シグネ! 冒険者と賊、一人ずつ確保だ! 後は要らない!」
「オーケー!」
「ラジャー!」
俺の注文通り、佐瀬とシグネがあっという間に二人を無力化させ、残りは俺と名波で始末した。
佐瀬の方は相手をライトニングで上手く気絶させたみたいだが、シグネは闘力1万7千パワーで強引に押さえつけていた。
シグネに拘束された男が唖然とする。
「ば、馬鹿な!? 俺たちは元B級だぞ!? それが……こんな簡単に……!?」
「だから、実力はS級だって言ったでしょ!」
シグネの言葉に賊の男は項垂れるしかなかった。
盗賊らしき連中と同業者に襲われた俺たちは、ダンジョンには行かず、一度街に引き返した。街の門番に事情を説明して二人の身柄を引き渡した。
「ご協力感謝します!」
「パーティ“白鹿の旅人”ですね。賊の方は取り調べた上、仮に賞金首だった場合、後日ギルド経由で褒賞金が支払われます」
へぇ。盗賊捕まえると、そんな仕組みがあったのか。
「そういえば、普通の盗賊と遭遇するのって初めてじゃない?」
「あれ? そうだっけ? オースの開拓村は?」
「あれは盗賊じゃなくて冒険者だったでしょう」
今回も半分は冒険者みたいなものだ。
襲撃イベントはちょくちょく起こっているが、その割合のほとんどが冒険者のような気もする。しかし、こうやって街の兵士に賊を引き渡す行為自体は何気に初めてなのだ。
「この後どうする? 気を取り直してダンジョンに向かう?」
「そうだな。まだ昼前だし、このまま行こうぜ!」
ダンジョンがあるのは森の中らしいが、ちゃんと道はあるらしいので初見でも問題なく辿り着けるとギルド職員が言っていた。併せて盗賊が多いからとも忠告されたが、そちらに関してはB級冒険者の俺たち相手にそこまで強く警告してこなかった。
(しかし、賊が元B級ってのは気になるな……)
そのレベルの相手が盗賊に身を落とすものだろうか?
意外だったのはD級三人組の方だ。連中、威張るだけあって、Bは言い過ぎでもC級くらいの手応えを感じたのだ。背後から襲ってきた賊も申し分ない強さだった。それはシグネも鑑定でしっかり確認している。
実力的には“黒星”以下、“千古の頂”パーティ以上といった感じだと思う。今の俺たちの敵ではないが……
それでも十分ダンジョンでやっていけるだけの力はありそうだ。そこにどうも違和感を覚えた。
(……ま、実際にこうやって罪を犯している訳だし、馬鹿は実力があろうが考え無しに悪事を働くってだけかもな)
要らぬ時間を食ったが、俺たちは改めて件のダンジョンへと向かった。
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