第129話 久しぶりのブルターク

 氷蜘蛛の討伐隊は凍れる森の中を進んでゆく。温暖な気候のバーニメル半島に住む者にとって、氷は滅多にお目に掛かれない物珍しいものだ。荒くれ者の冒険者や傭兵稼業の者たちは、時折その神秘的な光景に目を奪われながらも、慎重に歩を進めて行った。



 氷の世界を歩いて数時間後、異変は起こった。



「――く、来るぞ!」


【察知】スキルを持つ斥候役の冒険者がいち早く目標の接近に気が付いた。同時に周囲の気温は一気に下がり、あちこちから悲鳴が飛び交う。


「おい! テメエら、少しは落ち着いて…………あ?」


 騒がしい背後を注意しようと振り向いた男が目にした光景は、先程まで共に行軍していた仲間たちの何人かが氷像になっている姿であった。


「な……なんだよ……これ?」


「わ、分からねぇよ!!」

「きゅ、急に何人か凍っちまったんだ!」

「さ、寒い……」


 気温はどんどん低下していき、一人、また一人と手足の先から凍り付いていく。


 彼らは最後まで気が付く事がなかったが、魔法耐性の低い者は氷蜘蛛に近づいただけで氷像と化してしまう。弱い者は戦う権利すら与えられないのだ。


「おい! もう奴が来ちまうぞ!? どうすんだ!?」


 肉壁にでもなればと連れてきた有象無象共は何の役にも立たず、生き残りは≪猛き狩人≫を中心とした実力のある冒険者だけとなった。


「……このまま戦う! まだ姿も拝んでねえってのに、逃げるなんざあり得ねえ!」


「同感だ! 俺たちは≪猛き狩人≫だぜ!」


「へっ! 氷の蜘蛛なんざ、俺様の斧で叩き壊してやらぁ!」


 覚悟を決めた面々はこの場で迎撃する為、左右に広く展開した。


 それから数秒も経たない内にそれは現れた。冒険者たちの何人かはアーススパイダーを見た事があったが、目の前の蜘蛛はそれよりも二回りほど大きい。やはり報告通り水の加護持ちの亜種だと思われた。


「火と水は効かねえぞ!」

「氷の魔法を放つって情報だ!」

「複数人同時に掛かれ!」


 歴戦の冒険者だけあってか、初見の魔物相手でも動きに迷いは無かった。蜘蛛に限らず虫タイプの魔物は視野が広い。それに複数の脚を持つ蜘蛛型であれば、死角はほぼ皆無と言っていいだろう。


 ならば数で押して同時に攻める。氷の魔法は警戒すべきだが、こちらが攻め続ければ、魔法を放つ暇もないだろう。


 故に≪猛き狩人≫の取った選択は速攻の一斉攻撃、そしてその選択は正しいものであった――――これがただの手強い魔物相手ならば…………


 剣や斧を手に四方から迫りくる冒険者たちを氷蜘蛛は複数の脚で払い、無慈悲に串刺し、または押しつぶしていく。A級、B級、C級冒険者とそこに違いはなく、皆平等にほぼ一撃で屠られていった。


 後衛組の魔導士に弓使いも全火力を一斉掃射するも、恐るべき速さの脚で払いのけられ、稀に運よく直撃させるも氷蜘蛛には全く効果が見られなかった。


「…………む、無理だ!」

「勝てるわけねぇ……!」


 討伐隊の数が一気に半数以下に減った時点で、ようやく全員が悟ったのだ。目の前の魔物は正真正銘の化物なのだと…………


「うわああああぁッ!!」

「た、助けてぇえええ!!」


 二人のA級冒険者があっさり死亡した時点で、討伐軍は完全に瓦解し、後衛の方から散り散りになって逃げ始めた。


 だが、無計画な逃走ほど危険な行為は無い。防御をする必要のなくなった氷蜘蛛は、多脚攻撃から氷の魔法や糸の射出へと行動を切り変えた。


「ひぃ!?」

「ぐげぇっ!」

「た、助け――いやだあぁぁ!!」


 一人は氷の矢に胴を貫かれ、一人は地面から生えた氷の棘に串刺しにされ、最も不幸な者は糸に絡めとられ、生きたまま咀嚼された。


 そんな地獄絵図を見てしまった者は完全に恐慌状態へと陥り、一目散に逃げだした。



 元リーダーのザップに、逃げる方向には再三注意するよう言われたにも関わらず…………








 久しぶりにブルターク近郊に戻った俺は、まず長谷川氏に電話連絡をした。


 前回通話した時は、日本政府は直ぐに動かないと聞いてはいたが、何か変化でもあったのか、至急会いたいと言われたので、近日中に新日本国へ赴くと伝えた。


 だが、事態は俺の思っていた以上に急を要するらしく、長谷川氏や宇野事務次官を含め、王国へ行く使節団が結成されていた。既にブルタークの街を目指し出立している最中なんだとか……。


 予定通りなら明後日の内にブルタークの街へと到着するらしい。そこでどうしても直接話がしたいというので、珍しく強引な長谷川氏に押される形で面会する事が決まった。


(何かあったのだろうか?)


 まぁ、直接尋ねれば分かるだろうし、その件は一旦放置することにした。




 街へ辿り着くと、佐瀬たちは一刻も早く風呂に入りたいらしく、俺だけギルドに顔を出す事にして途中で別れた。



 久しぶりにブルターク支部へ顔を見せると、運良く? 受付ホールにいたハワードギルド長と目が合った。


「おう、イッシンじゃねえか! 随分久しぶりだなぁ! 連合国に行ってたんだって?」


「お久しぶりです、ギルド長。たった今戻ったばかりです」


 ハワードの他にも何人か顔馴染みの冒険者がいたので軽く挨拶しながら、俺はギルドの買取カウンターに幾つかのドロップ品を提出した。それは連合国では出すのを控えていたAランク魔物のドロップ品である。


 ゴーレム君の強化素材分はストックしてあるが、それを差し引いてもだいぶ余剰があったので、さっさと換金する事にした。


「おいおい、こりゃあアンデッドから出る素材か? もしかして“古城”か“常闇”のどっちかに挑戦したのか?」


 連合国には有名なダンジョンが二つあり、そのどちらもアンデッドが多数出没する事をハワードは知っていたようだ。


「古城の方ですね。一応レベル5エリアって所までは行ってきました」


「ほぉ? 確か最深部のエリアだよな? 流石は今一番勢いのあるパーティだなぁ」


 実際には更に先のレベル6まで潜ったのだが、そこは秘密にしておいた。


「す、素晴らしい……A級の魔石が幾つもありますよ!」

「これは……まさかデュラハンの鎧!?」

「こっちはスケルトンリッターの骨まである! どれも超高級素材です!」


 レベル5のドロップ品はどれも一級品なようだ。向こうのギルドで提出していたら悪目立ちしたことだろう。


(やはりこちらに持ち帰って正解だったな)


「もう、完全に俺も超えられちまったなぁ……」


 俺たちの戦果を横で眺めていたハワードが少しだけ寂しそうに呟いていた。確かハワードギルド長の闘力は1万2千ほどだったか? ようやくこのおっさんの闘力を上回る事ができたので、俺は少しだけ自信がついた。


「支部長、支部長。イッシンさんたちに、あの事を伝えなくて良いんですか?」


 すると横から受付業務担当の職員がハワードに何やら呟いた後、一通の手紙を彼に手渡していた。


「あ! そうだった! イッシン、お前さん宛てに手紙だ。直ぐにこの場で確認してくれ!」


 ハワードはその手紙をこちらに回してきた。


「俺宛てに……手紙?」


 何だか以前にも似たことがあった気がする。


 そう、確かあの時は手紙ではなく、ケイヤからの伝言であった。俺たちが帰還したら会いたい旨をギルド職員に伝言していたのだ。


 このように手数料さえ支払えば冒険者宛てに伝言や手紙などを残せるサービスもギルドでは行っている。大抵この場合は指名依頼の前振りであるのだが、今回は果たして…………



 俺は妙に厳重な封書を切り、手紙を開いて最初に送り主の名を確認して仰天した。


(な!? フローリア・ロイ・エイルーン、だとぉ!?)


 なんと、この国の第三王女様からの手紙であった。


 その手紙の内容は時候の挨拶から始まり、長々と堅苦しく難しい言葉が綴られていたが、要約すると以下の通りだ。


 ”生きたゴーレムコア見つけた。ゴーレム作る。はよ来い!”


(オー、ノー…………)


 長期間留守にしていた自分が悪いのだろうか? ブルタークに戻った途端、色々なイベントが開始したようだ。






「――――と言う訳で、明日王女様に面会する運びとなりました」


「…………」

「うわぁ……」

「王族との謁見イベント!?」


 宿で先に寛いでいた三人に簡単な経緯を説明すると、三者三様の反応が返ってきた。


「えーと、つまりは明日すぐ王都に向かうって事?」


「いや、どうやら既にブルタークの街に滞在しているらしい」


「えぇ……」


 佐瀬が困惑するのも当然だ。俺も先ほど似たような反応をした。


 どうやら王女様は一刻も早くゴーレム製作をしたかったのか、俺たちが王都に来るのも待てず、ブルタークで帰ってくるのを待っていたらしい。


「滞在って……貴族街かな?」


「侯爵家にいらっしゃるそうだ。既に明日窺う旨もそちらに伝言済みだ」


 ギルド側もだいぶ気を揉んでいたようで、先ほど職員がダッシュで伝言しに行った。


「王族の人に会うの初めて! 次期国王を巡っての後継者争いとかあるのかな!?」


「シグネちゃ~ん! 頼むから、本人の前でそんな物騒な発言しないでね!」


 そんな事態になれば、最悪内紛が起きるぞ!?


 ちなみに次期国王は第一王子、皇太子殿下でほぼ決まりだそうだ。ご兄弟の仲も別段険悪ではなく、そういった不穏な兆候も一切見られない。よきかな、よきかな……


「まぁ、王女様の件はゴーレム関連なんでしょう? なら私たちはおまけで、主にイッシンが応対するのよね?」


「うっ、まぁそうなるけど……」


「でも、日本政府の人もこっちに向かってるんでしょう? 重ならない?」


 うん、そっちもそっちで気掛かりなのだ。


「なんとか抜け出してみるさ。内容によっては侯爵様や王女様も無関係じゃないかもなぁ」


 考えれば考えるほど頭が痛くなってきた。もうこれ以上のトラブルは来ないで貰いたい…………フリじゃないからね?








 翌朝、最低限の身なりを整えた俺たちは、貴族街にあるマルムロース侯爵邸を訪れた。何度か外から見た事はあったが、実際屋敷の内部に入るのはこれが初めてである。



「ようこそ、≪白鹿の旅人≫の皆様。迎賓館にて当主様がお待ちです。どうぞこちらへ」


 ザ・執事な容姿のお爺さんに案内され、俺たち平民一行は中庭を通り過ぎ、迎賓館とやらへ向かった。




 迎賓館は建物丸ごと来賓用なのか、本館に勝るとも劣らない豪華な飾りつけの建物であった。こんな見事な屋敷、現代日本でもそうはないだろう。


 俺は王都で一度似たような体験をしているが、格式ばった場所に連れてこられた不慣れな三人は可哀そうなくらいに緊張していた。


 いや、前言撤回。シグネだけは興味津々に左右を見渡していた。流石の強心臓だ。



 ようやく目的の部屋に辿り着いたようで、執事はノックをしてから扉を開けた。導かれるまま俺たちが入室すると、既に役者は揃っていたようだ。


「ようやく来て下さいましたね! イッシン殿!」


「お久しぶりです。フローリア王女殿下。マルムロース侯爵様も、お待たせして大変申し訳ございません」


「よい。聞けば連合国へ遠征に出掛けていたそうだな? 後で旅の話でも聞かせてくれまいか?」


「はは!」


 俺が頭を下げる度に、後ろの三人もそれに倣って礼をした。だがシグネだけはこの場にいる面子が気になるようでチラチラと盗み見していた。


 そうなるのも致し方あるまい。何故ならこの場には、俺たちの顔馴染みが後二人もいたのだから…………



 王女殿下に席を勧められたので、俺たちは空いているソファーに四人揃って着席した。すると王女様の隣に座っている少女が声を掛けてきた。


「ふふ、お久しぶりですね。≪白鹿の旅人≫の皆さん。あの時はお世話になりました」


 俺が返答しようとしたら、横から元気な声が飛び出た。


「アンも久しぶりだね! 実家に戻ってたんだ!」


「ちょ!? シグネ!?」


 声を掛けてきた少女はアーネット・マルムロースだ。マルムロース侯爵の孫娘で、以前護衛依頼で王都に送ったご令嬢である。


 侯爵令嬢を相手に気安く声を掛けたシグネを周囲の従者たちは困惑したが、本人のアーネットは全く気にせずニコニコと笑っていた。


「ええ、そうなのよ! フローリア様に、シグネたちに会えるからと誘って頂いたのよ!」


 年の近い者同士、二人は面識があったのか、アーネット嬢は今回のゴーレム研究に付いてきたようだ。このご令嬢もなかなか行動力と好奇心が旺盛な困ったさんであった。


「皆様のことはアンからも話を聞いておりました。確か≪雷帝≫殿に≪暗弓≫殿ですよね? 戦場での華々しいご活躍は、同じ女性としても誇りに思っております」


「きょ、恐縮です……」

「あはは、恐れ多い二つ名と申しますかぁ……」


 佐瀬はすっかり≪雷帝≫の二つ名が馴染んでしまい、名波も帝国との籠城戦以降は≪暗弓≫の二つ名で知られていた。


 ただ二人はあまりその二つ名を気に入っている訳ではないので微妙な反応だ。


 ちなみにシグネは自身の二つ名≪天駆≫を気に入っていたが、しばらく連合国に滞在していたので、その件もすっかり忘れていたようだ。


(俺の≪ゴーレム使い≫ってのも、どうにかならないかなぁ)


 ただ、じゃあ新しい二つ名を考えろと言われても直ぐには思い浮かばないし、第一本人から催促するモノでもないので、しばらくは甘んじて受け入れる他あるまい。



 シグネはアーネットやフローリア王女と臆すことなく談笑した後、その背後にいる女性騎士にも声を掛けた。


「ケイヤねえも久しぶりだね! 今日は王女様の護衛なのかな?」


「あら? ケイヤ様ともお知り合いだったのかしら?」


 全員の視線が王女様の背後にいるケイヤへと集まる。


 そう、驚いた事にこの場にはケイヤも居合わせていたのだ。


 最初はゴーレム共同開発の同士であるランニス子爵家の代表者として出席しているのかと思いきや、どうやら彼女は王女殿下の護衛役として帯同しているようだ。


「はい、フローリア様。≪白鹿の旅人≫とは旧知の仲でございます」


「まあ! なんて縁なんでしょう!?」


 そこからは更に女性陣で話が盛り上がったが、暫くすると侯爵がわざとらしく咳き込んだ。


「ごほん、姫様。研究員たちも首を長くして待っているようですし、そろそろ向かうとしましょうぞ」


「そ、そうでしたわね! 失礼致しました、侯爵様」


 話を切り上げ、俺たちはぞろぞろと目的の場所へと向かう。


 ここマルムロース侯爵邸には幾つかの建物が有り、今現在いるのは西の迎賓館だが、反対の東側には私兵や従者用の宿舎があり、その地下には大きな倉庫があるらしい。


 そこに件の捕獲したゴーレムが置かれているそうだ。


(まさか本当に生きたゴーレムのコアを入手するとはなぁ……)


 一体何処で入手したのか非常に興味はあるが、この後大仕事が控えているので、今はそちらに注力だ。



 案内された宿舎の地下倉庫に入ると、そこは思った以上に広く明るい空間であった。それに掃除も行き届いているのか、埃っぽさも全くない。恐らく王女様が来る研究場所として、改装したのだろう。


 その臨時研究室には、既に研究員たちが待機していた。何人かは顔馴染みの者もいた。王都まで一緒に同行したマルムロース侯爵家とランニス子爵家の研究員たちだ。


 王都の魔導工学研究所の所長タムンの姿だけは見えなかった。流石に副所長のフローリア王女殿下と揃って王都を空ける訳にはいかなかったのだと思われる。彼もゴーレムに興味津々だったようだが、今回は王女様に譲ったのだろう。可哀想に…………



 研究室の中央には大きなテーブルが用意され、そこに鎖で囚われている人型の物体が横たわっていた。


(これが例のゴーレムか……。思っていた以上に小型だな)


 ゴーレム君も当初はとても小柄だったが、このゴーレムはそれ以下だ。


「……動いていない様ですけど、これは生きているのでしょうか?」


 一応お伺いしてみる。


「勿論確認済みです。マジックポーチを!」


 フローリア王女が指示を出すと、研究員の一人がマジックポーチを使ってゴーレムを収納しようと試みたが失敗した。研究員に触れられたゴーレムはジタバタ暴れ出すも、鎖の拘束を解けずにいた。


「このようにマジックポーチで収納できないので、間違いなく生物です」


「それとこのゴーレムですが、暫く放置すると動かなくなります。恐らく拘束を解けないと悟っているのか、魔力を温存する為に停止するのでしょう。知能もそこそこありそうです」


 王女に続いて研究員も補足を加えた。


「……成程」


 実はこの小型ゴーレムが生きていた事には初めから気が付いていた。俺の近くにいる者なら、生命エネルギーの動きで生死の判別が可能だからだ。だが、それを正直に話す訳にはいくまい。


「これで最低限の条件は達しておりますよね?」


「ええ、そうですが……もしかして製造は自分が?」


「いえ、イッシン殿はあくまでアドバイザーとして立ち会って頂きたいのです。流石に貴重な素体ですから、ここは経験者のお知恵もお貸し頂ければと……」


「かしこまりました。ただ所用で少しだけ席を外れる事があるかもしれません。どうかご容赦ください」


 予定では明日以降、長谷川たちがブルタークに来る手筈なのだ。


「問題ありません。ずっと地下に閉じ籠ってはお身体にも差し障りがあるでしょうからね。貴方たちも適度に気分転換してくださいね」


 王女殿下の御言葉に研究員たちは苦笑いを浮かべていた。これは注意されなければずっと引き籠って研究していたな?


「では、早速始めようかと思いますが、確かイッシンさんは最初にゴーレムの手足を切断したんですよね?」


 王女様の物騒な言葉を聞いたからなのか、小型ゴーレムはジタバタと必死に身動きをし始めた。その様子を見ていた他の者たちは少し引いていた。


 反面、研究員たちは意気揚々と切断する為の器具を準備し始めた。


「あ、あのぉ……私たちはお邪魔になりそうなので、ちょっと退席しますね」

「う、うむ。私も仕事が溜まっておったな」

「シグネ! お部屋で旅のお話をしてくださらない?」

「いいよー!」


 ぞろぞろと退室する者が出始めたが、ケイヤは護衛という立場上、王女殿下からは離れられず、逃げ出した侯爵様や佐瀬たちの後姿を恨めし気に見送っていた。

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