第111話 王と冒険者

「この騒ぎは一体何事か!」

「お前たち! そのゴーレムを討ち取らんか!」


 城の方から重武装の兵士たちが駆けつけてくると、ギャラリーは慌てて道を譲った。騒動の原因であるゴーレムを発見すると、兵たちは身体強化をフル稼働させ臨戦態勢に移行する。


 そこへ兵たちは意外な人物の姿を捉えた。


「ふ、フローリア殿下!?」

「そこは危険です! 一刻も早くお逃げ下さい!」


「え? あなた方は近衛兵団!? 一体どうされたので?」


 ゴーレムに夢中であったフローリア王女も、流石に周囲が殺伐としている状況に気が付いたのか、我に返って彼らに問いかけた。


 反対に駆けつけた近衛兵たちは大慌てだ。空を飛び魔法を放つ異常なゴーレムの傍に王女が居ることを知り、更に焦りを生じさせたのだ。


「兎に角そこをお離れ下さい! ええい、護衛も何をしておるか!」


「待って下さい! このゴーレムは安全です! 今は訓練場で試験テストを行っているだけです!」


 フローリア王女の言葉に、近衛兵たちが動きを止めた。


「ご、ゴーレムのテスト……ですか!? おい! そんな連絡、我々に来ていたか?」


「い、いえ……自分も初耳ですが……」


 どうやら近衛兵たちには事前連絡が行き届いていなかったのか、この状況に困惑していた。


「ふむ。失礼ですが王女殿下、此度の訓練場の使用許可は誰にどのようにお伝えしたのですかな?」


「こ、侯爵閣下!?」


 王女だけでなくマルムロース侯爵までこの場に居合わせていた事に、近衛兵たちは遅まきながらもようやく気が付いた。


「勿論軍部にです。新型ゴーレム試験運用の為にとも、使いの者に言付けしておいたはずです」


 当然だと言わんばかりにフローリアは返答する。


 確かに本来であればそれで十分な手続きではあったが、軍部はまだ新型ゴーレムの性能を詳しく知らなかったようだ。


 せいぜい二足歩行するくらいが関の山のゴーレムを稼働させるくらいだと認識したはずだ。言われた通りに実験用の場所を確保したが、訓練場に居合わせる予定のない他の兵団に連絡を共有する事を怠っていたのだろう。


「あー、それはなんと申しますか……王女殿下は勿論、軍部や近衛にも落ち度はなさそうですな」


 同じ軍を指揮する立場のランニス子爵も、互いをフォローする形でそう口添えをした。


 聡明なフローリアも一度冷静になると、少し自分がはしゃぎ過ぎたようだと反省の色を示した。


「た、確かに城の近くだというのに少々騒ぎ過ぎましたね。近衛兵の皆様、大変なご迷惑とご足労をお掛けました」


「は、はぁ……。しかし、このゴーレムは本当に安全なんでしょうか?」


 王のいる城の近くであれだけ派手に実演してしまったのだ。未だに警戒したままの近衛兵はフローリアへと尋ねた。


「それは私が保証致します。それよりイッシン殿、一旦ゴーレムの命令権を貴方にお返しします。本当に素晴らしい性能でした」


 フローリアがそう語り掛けると、周囲の視線が一気に俺の方へと集まった。


(ちょ!? このタイミングで俺にぶん投げる!?)


 俺は顔を引きつらせながらも「どういたしまして」と答えるしか無かった。



「ほぉ? そこの者が、噂の≪ゴーレム使い≫とやらか。想像以上に若いな」


 突如、近衛隊の背後から語り掛ける者が現れた。


 全員がそちらへ視線を向けると周囲はざわめき出し、ほとんどの者が膝を地につけて頭を下げた。アニメやゲームでよく見るあのポーズ……そう、臣下の礼だ。


 兵士たちだけでなく、子爵に侯爵までもが頭を下げた。


 俺も周囲に合わせ、慌てて腰を落とす。


(おいおい、まさか…………)


 俺の予想は正しかったようで、近くにいた子爵がそっと教えてくれた。


「……国王陛下だ」


「————っ!?」


 まさかの最高権力者、アルバート・ロイ・エイルーンのお目見えに俺は動揺を禁じ得なかった。


 しかも、その国王が俺へと話し掛けてくるではないか。


「≪ゴーレム使い≫、あれは其方が作り出したと聞いているが、真か?」


「は、はい! 自分が作りました!」


 俺が顔を上げて勢いよく返答すると、周囲が少しざわついた。何人かは顔を顰めたり、俺を睨んでいる者すらいた。


(ひぇ!? 俺、何か拙い発言しちゃったか!?)


 理由までは分からないが、どうやら俺が何かしでかしたという事だけは、場の雰囲気から察せられてしまう。


 またしても子爵が小声で助言をしてくれた。


「イッシン君。今度からはお付きの者が尋ねてから発言するように」


 それを聞いて俺はハッとした。


 どうやら下々の人間が国王と直接会話をするのはNGなようだ。異世界物あるある知識で俺も知っていたというのに、とんだ失態をやらかしてしまった!


「貴様! 陛下に無礼な————」

「————よい。貴族には貴族の、冒険者には冒険者の流儀がある」


「はっ!」


 護衛が俺を咎めようとしたが、それを王は諫めた。


「今は謁見の場ではなく、ただの視察だ。若き冒険者よ。直答を許可する」


「…………かしこまりました。陛下の寛大なお言葉、感謝致します」


 少しだけ間をおいてみたが、どうやら返答しても問題なさそうだったので俺は直接返答した。


「他の者も、ゴーレム研究の関係者以外、仕事に戻ってよい!」


「国王陛下のお達しだ。皆の者、各自持ち場に戻られよ!」


「「「はっ!」」」


 そこで初めて周囲の者も頭を上げ、国王に一礼してからいそいそと元の場所へと戻っていった。


(あ、ケイヤも慌てて去って行ったな)


 俺がやらかさないか心配していたのか、少しだけ安堵した表情で鍛錬へと戻った。


 周囲には国王専属の近衛兵とゴーレム研究の関係者のみが残された。


「フローリア、先程は随分興奮していたようだが、そんなにそのゴーレムを気に入ったのか?」


「お、お父様。見ていらっしゃいましたか……!」


 少し恥ずかしそうにフローリアは顔を赤らめた。どうやら自分でも舞い上がり過ぎたと自覚しているようだ。


「マルムロース侯爵にランニス子爵も足労である。まさか貴公らが自ら来るとは思いもしなかったぞ?」


「陛下もご健勝の様で何よりでございます」


「何が健康なものか! 過労で倒れそうだぞ!」


 侯爵の言葉に王は顔を顰めながらも冗談を口にした。


 続けて子爵も国王へと挨拶をした。


「陛下! 此度は碌に登城もせず、こんな形でのご挨拶で申し訳ございません!」


「相変わらず堅苦しい男だな。王都に寄ったくらいでいちいち挨拶に来んでもよい! 余の方が面倒だわ!」


 王は子爵にも気安く話し掛けていた。


「まぁ、その内落ち着いたら褒賞という形で貴公を呼び出すつもりではあった。西方軍の戦後報告は目を通した。よくフランベールを守り切ったな!」


「はっ! そのお言葉こそ、何よりの褒美にございます!」


「だから堅苦しいというのに……!」


 侯爵、子爵と挨拶を済ませると、王は俺の方へと再び視線を戻した。


「そしてこの男がフランベール防衛に一役買ったという冒険者か……。んー、あまり強そうには見えんが……武人である其方はどう見る?」


 王は護衛の一人に尋ねた。


「はっ! 構えこそ隙だらけで魔力も感じませんが、その若さにて相当な闘力を秘めているかと見受けます!」


 俺の魔力は≪魔力隠しの指輪≫で隠蔽してあるから仕方ないにしても、よく一目見ただけで闘力の多寡を見破れるものだ。構えが素人なのも当然だ。俺は我流で戦い続け、単にステータスとスキルに恵まれただけの男だ。


 流石は王の近衛、正確な分析だ。


「ほほう! 近衛隊長の貴公がそう言うのなら、相当の腕前なのだろう。どうだ? 兵に志願せぬか? 今なら騎士階級くらいは与えてやるぞ?」


「——っ!? わ、私など恐れ多く……」


 俺は冷や汗を流しながら穏便に断ろうとするも、王の誘いを断った無礼者として周囲から再び睨まれ始めた。


 だが、そんな険悪な雰囲気を国王自らが打ち払った。


「まぁ、そうだろうなぁ。お前ほどの冒険者だと、そこらの士官より余程稼げるだろうし、そりゃあ断るだろうな。余も同じ事を言われたら断って逃げるし」


「は、はぁ……」


 俺の中で国王の厳格なイメージが崩壊していく。どうやら侯爵同様、この国の貴族は結構話の分かる者が多いみたいだ。


「だが、帝国へ逃げるのだけは許さん! それと新型ゴーレムの技術提供はしてもらう。報酬はでき得る限り弾む。その後は其方の好きなように冒険せい!」


「え? あ、ありがとうございます?」


 思っていた以上にこちらの都合通りに話が進み、俺は些か拍子抜けした。一方、侯爵と子爵の表情は引きつっていた。どうやら両名とも俺を取り込めないかと考えていたようだが、遠回しに国王から俺を束縛するなと言われたに等しい。


「フローリア、後は任せる! それと、くれぐれも”程々に”だぞ?」


「は、はい! 勿論です、お父様!」


 話したい事を話すと満足したのか、国王は近衛を引き連れて去って行った。それを俺たちは暫くの間静かに見送っていた。








 イッシンたちと別れた国王は執務室へ戻る道中、付き人に確認した。


「——して、あの者のステータスはどうであった?」


「はっ! 近衛隊長のご慧眼通り、凄まじい闘力の持ち主であります! 魔力もマジックアイテムで隠蔽していたようで、かなりの数値でした! それと【回復魔法】や【怪力】を始め、様々なスキルを習得しておりました!」


「ほぉ? ただのゴーレム発明者という訳ではないようだな。それで、【自動翻訳】は所持していたか?」


「いえ、そのスキルは所有しておりません。恐らくあの少年はチキュウ人ではないのかと……」


「むぅ……」


 王はイッシンを地球人だと予想していたが、それを鑑定士は否定した。


「確かこの辺りに転移しているチキュウ人のほとんどが、ニホン人という黒髪の人種でしたよね? 彼は白髪でしたので、やはり違うのでは?」


 事情を知っている近衛隊長もそのように進言する。


「ううむ、髪の色くらいは変えられるし、個人差があるやもしれぬ。台頭してきたタイミングといい、転移者だと思っていたのだが……」


 どうやら自分の勘もすっかり鈍ってしまったようだ。それもこれも事務作業ばかりしている所為だとアルバートは愚痴を零し始めた。


 それを周囲の者は苦笑いを浮かべながら諫めた。


「しかし例え転移者でなくとも、それ程有能であれば仕官するよう王命を出されれば宜しいのではありませんか?」


「恐れながら私も同意見です。冒険者としての実力だけでなく、新型ゴーレムを生み出した頭脳。多少強引にでも王国へ帰属させるべきです!」


 近衛隊長や鑑定士の言う通りだとも思うが、アルバートには別の懸念もあった。


「…………いや、あれは駄目だ。恐らく不自由を嫌う類の傑物だろう。無理強いをすれば姿を眩ませるか、最悪敵対することもある。利用はできても、飼いならすまではできんよ」


 ならば適度に褒賞と自由を与え、好きにさせて置けばそれでいい。あの手の冒険者と帝国は、王国以上に反りが合わないはずだ。帝国に与さなければ今はそれでいい。


 凄腕の冒険者が自国内で活動してくれるだけでも、王国には十分な利益が生まれるのだ。それは先の戦でも証明されていた。



 あまりギルドと事を構えたくない国王は、娘に後を任せることにした。








 一悶着、と形容していいのかは甚だ疑問であったが、ゴーレムのテストを無事終えた俺たちは馬車で再び研究所へと戻って来た。


 そこで俺は改めて新型ゴーレムの技術提供をする流れになったのだが、まず初めにこれだけは伝えなければならない。


「結論から言いますが、あの新型ゴーレムは量産できません。また同じゴーレムを再現する事も恐らく不可能です」


「そ、それはどういう事ですか!?」


 今回ここに研究者たちが集まった理由は、新型ゴーレムの技術提供を受けられると聞いていたからだ。その大前提がいきなり崩され、俺を非難めいた目で見る者もいた。


「ご説明します。ゴーレムの作り方は教えられます。ただし材料の入手が非常に困難を極めるのと、その材料によって恐らくですがゴーレムの性能が変化します」


「むぅ? しかし、それは当然の事では……?」


 付き添いとして来ている侯爵や子爵は別として、フローリア王女や研究者たちは魔道具に精通しており、ゴーレム工学の予備知識も事前に予習済みだ。


 新型ゴーレムに使われている素材の入手が困難なのは当然予想しているし、その素材を何かで代用したり、製造工程を変えると性能が変化する事もあるだろう。


 それは彼女らも十分に理解を示していた。


 だが俺のゴーレムに使われている素材は、彼女らの想像以上に入手困難な代物であった。


「鍵となる素材は生きたゴーレムのコアです。その他の素材は代用が利きますが、それが新型ゴーレム製造の最低条件です!」


「い、生きたゴーレムのコア、だと!?」

「そんな物、ダンジョンでドロップするのか!?」


 そこでようやく研究者たちが、俺の言葉の意味を理解した。


 ゴーレムのコア、つまり心臓部にあたる器官だが、俺はそんな素材をドロップした事は今まで一度も無い。ダンジョン産のゴーレムは討伐すると、破片一つも残さずに消えてしまう。


 頼みはドロップ品だけなのだが、ゴーレムコアをダンジョンで入手したという噂を俺は一度たりとも聞いた事が無かった。


 つまり現状では野生のゴーレムを探すしか入手方法が無いのだ。


 しかし、このゴーレムという種は魔物に大別されているものの、ダンジョン外での報告例は古い遺跡の中やその周辺にしか存在せず、生命体というよりも作られた人造兵器といった扱いになっている。


 当然ゴブリンのように繁殖もしなければ、森の魔物のように突然沸いて出ることも無い。


 つまりは数の限られた、超希少な資源なのだ。


「そこで逆に質問なのですが、皆さんはゴーレムが居そうな遺跡など、何処かご存じ無いでしょうか?」


「…………私は記憶にありませんな」


 魔導工学研究所の所長タムンは苦虫を噛み潰したかのように返答をした。他の研究者たちも心当たりがないようだ。


「イッシン殿、本当に生きたゴーレムのコアが必要なのですか?」


 そう尋ねたのはフローリア王女だ。


「ええ。私はゴーレム工学を学んでまだ日が浅いですが“ゴーレムコアの基礎命令”という技術を学びました。皆さんはご存じですか?」


「ええ、知っております」

「勿論ですな」

「ここへ来る前に学習済みです」


 ゴーレムコアへの基礎命令とは、まず初めにゴーレムを制作する際、どのように動かすかを事細かに命令させる技術の事を指す。


 ざっくり言うとパソコンなどを動かすプログラムのような代物だ。俺、パソコン詳しくないけど……


 人工のコアに送る命令が複雑で多彩なほど、ゴーレムの知能や性能が増すとされている。これが現代ゴーレム工学における初歩にして、最も難しいとされる所以だ。魔石を代用した人工コアでは、簡易な命令を3つ、4つ送っただけで一杯一杯になるらしいのだ。


 より多くの命令をインプットできるゴーレムほど優秀なのだ。



 だが、俺は敢えてその法則を無視した。


「俺がこの新型ゴーレムに与えた基礎命令はたった一つだけです」


「ば、馬鹿な!?」

「たった一つだけですと!?」

「それだけで、あんな動きが出来る訳がない!」


 俺の予想通り、研究者たちはあり得ないと声を張り上げた。ちなみに侯爵や子爵は横にいる研究者に質問を投げながら俺の話に耳を傾けていた。


「イッシン殿、その一つだけ与えた基礎命令とは、一体なんです?」


 フローリア王女の問いに、俺は待っていましたと言わんばかりに堂々と答えた。


「“俺の命令に従え”、これだけです」


 実際には色々な細かい命令をゴーレム君に与えているが、その根幹にある基礎命令はその一つだけなのだ。その上でゴーレム君には“俺の命令”として、様々なルールを遵守させている。


「————っ!?」

「なんと!?」

「そ、そんなの不可能だ!?」


 俺の説明に異議を唱えた男が立ち上がった。


「そんなあやふやな命令では、ゴーレムはピクリとも動くまい! 作られたゴーレムの知能は赤子同然だ! きちんと一つ一つ丁寧に、より多くの命令を組み込まねば…………あっ!」


 どうやら男も自分の発言で正解に思い至ったようだ。


「そうです。作られた・・・・ゴーレムのコアでは無理なんです。でも、生きた・・・ゴーレムは違う! 俺のゴーレムは元々賢い、生きたゴーレムでした。だからいちいち歩き方や戦い方を教える必要もありません!」


「な、成程……っ!」

「確かに、それなら命令を一つに絞れる!」

「しかし、これは最早テイムに近いのでは?」

「それに、どうやって生きたゴーレムなど鹵獲するのだ!?」


 王女殿下や研究者があれこれ討論を繰り広げる中、先程から黙って聞いていたランニス子爵が質問をした。


「イッシン君。一つ質問なのだが、話を聞いていると、君はあの馬鹿みたいに強いゴーレムを“生きたまま捕まえた”という事になるが、私の認識は間違っているかな?」


「えーと、半分合っております。生きて捕まえはしましたが、当時のコイツは利口ではあっても強さはせいぜいDランクの実力でした」


「成程。重要なのは強さではなく、如何に賢いゴーレムを捕獲する事なのだな?」


「おっしゃる通りです、子爵様」


 俺の言葉に一同は安堵するが、それでも至難な道なのには変わりがない。


「生きたゴーレムの居る場所ですか……。何処かにそんな都合の良い遺跡なんかがありますでしょうか?」


「寡聞にして聞いた事もありませんな。遺跡調査など専門外でして……」


「そう、ですよねぇ……。ちなみにイッシン殿はどちらでゴーレムを?」


「ドワーフの国で噂を聞いて遺跡を調べましたら、運良く隠し通路を発見し、そこを守護するゴーレムを捕獲する事に成功しました」


「成程。ちなみにその遺跡にはまだゴーレムはいそうでしたか?」


「恐らくいないでしょうね。私も二体目が欲しかったので調べましたが、発見には至りませんでした」


 俺が正直に答えるとフローリアは残念そうに呟いた。


「とりあえず国内にある遺跡の再調査を命じましょう。しかし、それで見つかるかどうか……」


 王女や研究者が困っていると、今度は侯爵が口を挟んだ。


「殿下、それならば専門家に依頼すれば宜しいかと」


「専門家、ですか?」


「ほら、目の前にもいるじゃないですか。冒険者に、ですよ。ギルドに依頼を出しましょう」


「確かに! すぐにギルドへ使者を送りましょう!」



 こうして国内の冒険者ギルドにゴーレムや遺跡についての情報提供が依頼に出された。俺はゴーレムコア以外の技術についても研究者たちに情報提供し終えると、三日後には解放される運びとなった。


 依頼自体は完遂していないが、この先は生きたゴーレムの素体を回収するまで進めそうにない為、ある程度の報酬を貰った上でお役御免となったのだ。


 ただし、ゴーレムコアを入手した際にはまた呼び出しがある旨を王女殿下に伝えられると、俺は顔を引きつらせながら首を縦に振るしか選択肢が無かった。








◇◆◇◆ プチ情報(スキル紹介) ◇◆◇◆



スキル名:【偽装Ⅰ】

タイプ:情報型

系統:偽装系

分類:技能スキル

レベル:1

主な所持者:イッシン、名波


 自身のステータスを他人に視えないようにする。レベル1は偽装というより阻害に近い。【鑑定】だけでなく【解析】すらも弾く。




スキル名:【偽装Ⅱ】

タイプ:情報型

系統:偽装系

分類:技能スキル

レベル:2

主な所持者:イッシン


 自身のステータスを好きなように弄れる。ただし自身のステータスを鑑定できる訳ではない為、名前や年齢、闘力・魔力は自由に変えられるが、スキルに関しては自身が何を所有しているか知らないと変更できない。


 スキル名を変えたり、覚えていないスキルを習得したかのように偽る事は出来ない。あくまで表示のON/OFFのみ可能である。




スキル名:【偽装Ⅲ】

タイプ:情報型

系統:偽装系

分類:技能スキル

レベル:3

主な所持者:不明


 基本は【偽装Ⅱ】と一緒だが、鑑定系レベル3の【看破】すらも欺く事が可能。




スキル名:【改竄】

タイプ:情報型

系統:偽装系

分類:技能スキル

レベル:EX

主な所持者:不明


 ステータスを思いのまま自由に弄られる。全てを空白にしたり、ありもしないスキルを表示させる事も可能。


 鑑定のユニークスキル【神眼】を以てしても力量差によっては偽装が可能。伝説級マジックアイテムの鑑定でも欺く事は可能だが、神級アイテムだと偽装は見破られる。

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