第83話 情報交換

「先輩、矢野さん・・たちが来ましたよ!」


 後輩である長谷川に声を掛けられた宇野はピクリと眉を顰めた。


「たち? 一人ではないのか?」


 謎の日本人冒険者とは本日会う約束をしており、つい数日前に名前も教えて貰った。


 矢野一心


 苗字はともかく名前は珍しかったので、地球から持ち込んでいた戸籍データから直ぐに彼の事は割り出せた。


 転移前の年齢は29才、恐らく既に30才を迎えているだろう、埼玉県鹿江町在住の男だ。家族構成は父、母、姉とあるが、もしかしたら家族一緒でこちらに来たのだろうか?


「ふむ、どうやら彼は色々と秘密主義のようだな」


 名を直前で明かし、同行者の事も当日まで伏せていた。こちらを警戒しているのだろう。


(成程、冒険者か……)


 宇野は一筋縄ではいかなそうな相手に自然と笑みを浮かべた。








 日本国の街はブルタークのように、それほど高い壁に囲まれている訳ではなかった。まだこの世界に来て1年経っていないので無理もない。


 だが警備は厳重で、3メートルくらいある簡易的な壁の周辺に自衛隊員が哨戒活動を行っていた。弾薬のストックも十分にあるのか、全員小銃を携帯している。


(やけに厳重な警備だな? 何かあったのか?)


 少し気になりつつも、案内を引き継いだ別の隊員たち誘導の元、入り口付近に設けられている建物に入ると、剣や短剣などの一式を預かると言われた。


 俺たちは大人しく指示通りに剣や短剣を取り外していく。


「杖は預けた方がいいんですか?」


「え? 杖、ですか?」


 佐瀬の言葉に女性自衛官はキョトンとしていた。


(そうか、魔力を増幅する杖の存在を彼女らは知らないのか)


 どうやら外部と殆ど接点がないという長谷川氏のメッセージは本当のようだ。こんな情報、街に行けば直ぐ手に入る。実際街に赴けば、魔導士が杖を持ち歩く様を見かけるだろう。


 とすると、恐らくマジックアイテムの存在も知らないのだろう。俺もまだ話していない情報だ。



 杖を含めて武器を全て預けた俺たちは、隊員に案内されて街中へ入る。


 道はアスファルトで塗装されており、驚いた事に数台の自動車が出入口付近に停車していた。


「もしかして、自動車が普及しているんですか!?」


「あー、すみません。我々はあなた方に質問する事も、応じる事も許可されていないんですよ。気になるようでしたら、この後面会される者に直接お尋ねください」


 どうやら情報統制はバッチリなようだ。


(完全にスパイ容疑が晴れた訳ではない、ということか?)


 まぁ、相手もそこまで神経質になっている訳ではなく、余計な情報漏洩を防ぐ為の措置だろう。どうせ街を歩いて回れば知れるような情報だ。大した意味はない。



 俺たちは複数の隊員たちに囲まれながら街の中央を徒歩で目指した。


 結構な距離がありそうだが、車の燃料はまだまだ貴重なのだろう。ガソリンなのか電気か水素なのか、はたまた魔力なのかは分からないが、正体不明の客如きに使うほど安い代物ではないという事だ。


 街の広さに関してはブルターク以上の規模である。出歩く人たちもかなりの人数で、自衛隊に囲まれている俺たちの姿を不思議そうに遠目で見ていた。


 特に日本人離れしているシグネの容姿は注目されがちで、中には遠くから写メで盗撮する輩もいたが、自衛隊員にお叱りを受けていた。


(咄嗟に写メ取れるくらいには、スマホが日常的に使われているのか?)


 外を出歩く者の何人かが携帯を操作している姿が見えた。どうやら電力が普及しているようだ。良く見れば街灯なんかも所かしこに設置されている。


(しまったなぁ。夜に探索すれば、街灯りであっという間に見つけられたんじゃないか?)


 少し反省するも、どうやら目的地に着いたようなので思考を切り替える。


「この中です。どうぞお入りください」


 その建物の入り口に警察官が立哨していた事から、どうやら国の重要な施設のようだ。まぁ、行き先としては妥当な場所か。


 俺たちは建物の内部中央に進むと、なんとエレベーターに案内された。


「わー! エレベーターがある!」

「驚いたわね……」


 建物は5階建てだろうか。そこまで大きくないだろうに、わざわざエレベーターを設けるとは、それだけの余裕があるのか、それともここが余程の重要施設なのか、俺は少し緊張しながらも先行する隊員に導かれ、やがて一つの部屋の前に辿り着いた。


「矢野様とお連れの方、計四名様をご案内しました」


「ご苦労様です。後はこちらで引き継ぎます。入って貰ってください」


 案内はここまでのようで、俺たちはスーツを着た男に勧められるまま入室すると、中には男女合わせて八名のスーツを纏った者と、その護衛なのか屈強そうな男たちが部屋の隅で待機していた。


『シグネ、一通り鑑定よろしく!』


『ほーい、了解でーす!』


 俺たちの方でも事前に打ち合わせ済みだ。


 まずシグネが同席する者たちの鑑定を行い、佐瀬の【テレパス】による念話で互いに情報共有を行う。名波が念の為の周辺警護で、俺が彼らと交渉する役だ。虚偽を見極める≪審議の指輪≫は今回俺のポケットの中にある。


 気になる事があれば遠慮なく質問してくれと三人には伝えているが、まずは相手の出方を探るまで待ってくれとお願いしている。



 俺たちが入室すると、着席していた者たちも揃ってその場に起立した。


「初めまして。そして新日本国へようこそ皆さん。私は今回の会談の進行を任されております領域外管理局課長、長谷川真はせがわまことです」


 どうやらこの眼鏡を掛けた御仁が俺とメールをやり取りしていた長谷川氏のようだ。


 しかし領域外管理局とは、新しく出来た組織だろうか? それに長谷川氏が課長職とは、メールのやり取りをしていた相手は思った以上に上の役職であった。



 長谷川は宣言通り進行役を務めて、まずは自分たちの紹介から進めて行った。


 最初に紹介されたのが、俺たちの正面に位置する高齢な男で、名前を大石孝蔵、役職は領域外管理局の次長だ。


(成程、この男が長谷川氏の上司、管理局とやらのNo.2か)


 その後は色々な者を紹介されたが、聞き慣れない部署も混じっていた。というか、俺はそこまで政府の組織図には詳しくない。元々日本にもあった部署なのかもしれない。


 一人、魔法庁なる明らかに新設だろう省庁の人間もいたが、一番気になる者は他にいた。


 それがこの男だ。


宇野正義うのまさよし、領域外調査庁の事務次官だ。宜しく!」


 初対面の挨拶にしては乱暴な言葉遣いだが、特に威圧している訳ではなく、どちらかというと爽やかなスポーツマンといった雰囲気だ。


「「……っ!」」


 彼の挨拶に佐瀬と名波も息を呑む。流石に二人も知っているか。目の前の男は転移直前まで防衛大臣を務めていた傑物だ。確か歴代最年少で防衛大臣に就任した、元自衛隊員でもある男だ。一時は話題になっていた政治家でもあった。


『イッシンにい、鑑定終わったよ。周りの人は闘力100程度、さっき案内してくれた人たちの方がずっと強かったよ』


 シグネから念話でステータス結果が報告される。闘力100……思った以上に弱いな。


『でも、あのウノマサヨシって人は闘力300以上あるよ。それとハセガワさんは鑑定持ちだから、私たちのステータスは見られちゃってるね』


 なんと、長谷川氏は鑑定持ちだったのか! 彼の方をチラリと見ると、目を見開いて固まっていた。どうやらあちらも俺たちのステータスを視てしまったようだ。


 ちなみに俺はステータスを偽装したままで、今は闘力・魔力をそこそこに抑えている。鑑定持ちがいるだろう事は勿論予想していたので、シグネには鑑定阻害のイヤリングも外して貰っていた。


 その方があちらも俺が偽装しているとは思わないだろうし、シグネの闘力を見れば少女と言えども下手な行動には移らないだろう。



 ようやく彼らの挨拶が終わった。どうやらこの中で尤も立場の高い者は宇野のようだが、紹介順や座席の位置から察するに、彼は今回オブサーバー的な立ち位置なのだろうか?



 いよいよ俺たちの番となった。


「矢野一心と言います。色々訳がありまして見かけはこんなですが、元日本人です。前職はサラリーマンでしたが、今はエイルーン王国で冒険者活動を行っております」


 俺の説明に周囲がどよめく。まぁ色々ツッコミたいだろうが、今はこちらの紹介なので少し待って貰う。


「佐瀬彩花です。鹿江大学の学生でした。今は彼と同じく冒険者をしてます」


「名波留美、同じく鹿江大学の学生でした。同じく冒険者です」


「シグネ・リンクス! リトアニア人です! 中学生でした! 今はC級冒険者です!」


 最後にシグネが元気よく挨拶を終えて少しだけ空気が和んだが、それでもざわめきは収まらなかった。



「えー、以上でお互いのご紹介が終わりました。皆さん色々気になる事もあるでしょうが、まず初めに矢野さんには謝罪をさせてください」


 長谷川は不安そうにチラリと次長である自分の上司に顔を向けた。


 大石が表情を強張らせながら口を開く。


「メールのやり取りについては私も聞かされている。こちらとしても防諜の面で情報を小出しにしていたのだ。矢野君には不快な思いをさせてしまったようだね。心から謝罪する」


 そう告げると大石は軽く頭を下げた。どうやらこれで謝罪は終了らしい。


(なんかポケットの中の指輪が震えておりますけど……)


 それは心の籠っていない偽りの謝罪を彼が口にしたからだろうか?


 まぁ、彼も上の立場としてこの場に駆り出されて謝罪をする羽目になったのだろう。実際会ってみたらこんな若造相手にと思うのも当然だし、そこについて俺はあまり気にしない事にした。


 交渉事に、心に思っていない台詞が飛び交うのは当然だと俺は考えている。だが悲しいかな、こちらには嘘を見破れるという、地球では考えられない非常識なアイテムがある事を彼らはまだ知らない。


「気にしないで下さい。慎重になるのは良い事だと思うので、お互い少しずつ打ち解けていきましょう。今日はその為に参りました」


 俺は社交辞令も混ぜて返答した。


 こっちとしても長々と心にもない謝罪を聞いても何の益もないので、早く話し合いを始めようと催促した。


「矢野さん、私からも謹んでお詫びを申し上げます」


 長谷川は深々と頭を下げた。


(ほぉ? こちらは指輪が震えなかった。一応悪いとは思ってくれているのか)


「それでは早速話し合いを始めたいと思います。まずは矢野さん。何かこちらにお尋ねしたい事はございませんか?」


 どうやら先行を譲ってくれるようだ。これまでのお詫びか、はたまたこちらの動向を探る腹か……いかん、どうも裏読みし過ぎて人間不信に陥りそうだ。≪審議の指輪≫も多用は控えるべきか……



 俺は予め皆で相談して決めていた質問内容を口にした。


「彼女、名波さんのご両親がこの街にいるそうです。面会は可能ですか?」


「確認致します。お名前をこちらに記載頂けますか? 差し支えなければ皆様の漢字も知りたいので、記入して頂けると助かります」


 俺たちは了承すると、それぞれ自分の氏名と、念のため家族の名も記入した。シグネは既に家族と一緒なので、本人だけの名前を英語で記入した。


 シグネはリトアニア語と英語、両方できるようだ。


(普通に凄いな!?)


 記入したリストを長谷川は隣の席にいた職員に手渡す。確か彼も領域外管理局員だったか。職員は室内にいる人間に頭を下げると一度退出した。職員のスムーズな動きを見るからに、どうもこれは想定されていた範囲内の質問だったようだ。


(もしかして、俺の家族構成や知人なんかも既に知られているのかな?)


 多分家族はここに居ないだろうが、知り合いの一人くらい居てもおかしくはない。


「今度はこちらから質問を宜しいですか?」


 長谷川の問いに俺は頷いた。


 最初に質問を投げてきたのは管理局次長の大石だ。


「まず君たちはどうやってこの街を見つけたのかね? それと確か君はエイルーン国にあるブルタークという街に住んでいるそうだが、この場所もその王国領内にあるという事だろうか?」


 これは俺も予想できた質問内容であった。


 長谷川とのメールのやり取りで、最初俺がここの場所を知らない事は、当然上司である彼も耳にしていたのだろう。


 それと俺が初めにメールで送ったエイルーン王国のブルターク街という情報も、恐らく全員の手元に置かれている資料に記載されている筈だ。


 だが、この質問に関しては馬鹿正直に答える訳にはいかなかった。


「申し訳ありません。街を見つけた方法はお答えしかねます」


 俺の発言に大石だけでなく、他の者も顔を顰める。


 最初の質問から答えられないという状況は俺の方も心苦しいが、流石に初対面からエアロカーの存在を明かすつもりはない。


 だから答えられる範囲で他の事を話した。


「見つけた方法の詳細はお答えできませんが、他の者が簡単に真似出来るような手段ではありません。他国から見つかる可能性は低いと思いますので、そこは安心してください。それとここはエイルーン王国領ではありません。恐らくですが、その北に広がる北方民族自治区と呼ばれるエリアの筈です」


 俺が全く質問に答える気が無い訳ではないことを知ったのか、長谷川含め何人かの人間はホッとしていたが、質問者である大石は面白くなさそうな顔をしていた。


「……つまり、魔法やスキルで見つけた、という事かね?」


「詳細はお答えできませんが、そのようなものです」


 それで一応は納得してくれたのか、大石はそれ以上追及してこなかった。


 代わりに他の女性から手が挙がった。確か外務省の人間だっただろうか。


「その北方民族自治区について、教えて頂けませんか?」


「私もそれ程詳しくは無いのですが、知っている事をお話しましょう」



 それから俺は北方エリアについて簡単に説明した。このレベルなら大きな街に行けば誰でも知っているような内容であったが、彼らにとっては貴重な情報だったようだ。



「つまり、この付近は明確にどこの国が占有権を主張している訳ではないのだね?」


「そう聞いておりますが、森には多くの里や集落があるそうです。そこを荒らすような行為は多くの部族の反感を買うと思います」


「そうですか。やはり西の地区には慎重に対応した方が良さそうですね」


 新日本国は広い平野部に街を築いているが、東側には海が有り、その他全てが広い森で覆われた地帯であった。


 今のところ広さには全く問題が無さそうだが、仮に領土を拡げたり、どこかへ交易を求めて陸路を拓くとなると、どうしても森の開拓が必須事項となるだろう。


 北と南は魔物だらけで、なかなか思うように探索が捗っていないのが現状なようだ。その辺りは探索者のSNSや動画経由で耳にしている。


 かといって西側にはエルフ族を始めとする多様な種族の集落があり、日本人が不用意に踏み込むと、彼らが警告に来るのだと説明してくれた。


「北方の部族は内向な方々が多いと聞いております。交流は時間が掛かるかもしれませんね」


「そうですか。貴重なご意見、ありがとうございます」


 ある程度答えたので、今度はこちらから質問を投げてみた。


「探索者制度、というのが始まったそうですが、その探索者には我々もなれるのでしょうか?」


 この質問は、俺的にはそこまで重要度は高くないが、シグネたってのお願いで、敢えて早めに尋ねる事にした。


(本当に知りたい事を初めに持って行くと、そこに興味を持っていると思われるからな)


 俺自身が一番知りたい情報は、この街のエネルギー事情、特に魔石をどう利用しているのかと、例の謎電波の仕組みだが、そう安々と新技術を一般人の部外者である俺たちに話すとは思えない。


 だからそれなりに重要なカードを切って尋ねようかと考えている。


 まずは相手が何を一番知りたいのか、そこをじっくり探るとしよう。……元サラリーマンの俺にそんな腹芸が出来るのか少しだけ不安だ。


「矢野さんたちは探索者制度にご興味がおありですか? そういえばメールでも最初に質問をされていましたよね?」


「ええ、特にシグネ……この子がなりたいと騒ぐものでしてね」


「私、探索者になりたいんです! ここに住んでないけど、なれますか?」


「うーん、ちなみにリンクスさんはお幾つですか?」


 長谷川自身は鑑定でシグネの年齢を視ているのだろうが、流石に勝手に視たと言える筈もなく、敢えて尋ねたようだ。


「シグネでいいよ! あ、いいです! 15才になりました!」


「申し訳ありません。今のところ、参加資格は16才以上からなんです。更に18才未満の方は親の承諾書が必要です」


「がーん!?」


 シグネは見るからに落ち込んでしまった。


(まぁ、そうかなとは思っていたよ)


「ちなみに私たちは参加出来るんですか? 二十歳なんですけど」


 落ち込むシグネに代わり、名波が質問した。


「年齢は問題ないですが、今のところ新日本国の新たな戸籍を持つ日本人に限定されております。ただ出来たばかりの制度なので、今後の見直し次第では条件の変更も十分あり得るかと……」


 これは探索者になりたければ協力しろと言うことだろうか?


「え? じゃあ、私でもなる事が出来るかもしれないの!?」


 しょげていたシグネがパッと顔を上げて尋ねた。その無邪気な様子を見た長谷川は罪悪感から言葉を詰まらせる。


「う、うーん。未成熟な子供を探索者にするのは、まだ周囲のご理解を得られない段階と申しますかぁ……正直、ちょっと直ぐには無理そうです……」


「ががーん!?」


 再び撃沈、シグネ。


(仕方がない。少し助け舟を出すか……)


 俺はシグネに援護射撃をした。


「こう見えて、彼女はC級冒険者です。闘力もかなりあります。確かに幼い子供に無暗に探索者の資格を与えるのは私も反対ですが、闘力の上昇は国や自分自身を守るのにも繋がります。検討してみても良いんじゃないでしょうか?」


「そ、それは……」


 長谷川では答えにくい内容なのか視線を泳がせていると、一人の男が挙手をした。


 宇野正義元防衛大臣だ。今は領域外調査庁という聞いたことの無い省庁の事務次官だ。


「確かに、幼少期から魔法やスキルを訓練させてみては、という意見は議論されている。実際、探索者制度も中学生以上からという案もあった」


 宇野はシグネの方に視線を向けると、ニヤリと笑みを浮かべた。


「だったら、こういうのはどうだろう? 彼女をモデルケースとして探索者活動をさせてみる。それで問題無いようなら、対象年齢を引き下げる」


「それ、良いアイデアだね!」


 シグネは恐れ知らずにも、元大臣を指差して笑顔で話しかけた。


「そうだろう?」


「ちょ、ちょっと先ぱ……ごほん! 宇野事務次官! あまり軽はずみな発言は御控え下さい」


「すまない。ただ、もう一ついいかな?」


 まだ何かあるのかと周りは目で訴えかけていたが、それを物ともせず宇野は発言を続けた。


「君たち、相当強いだろう? 何か強くなる秘訣のようなものがあるのかな?」


 宇野の目は笑っていなかった。








◇◆◇◆ プチ情報(人物紹介) ◇◆◇◆


名前:ケイヤ・ランニス ヒロイン? 候補その2

種族:人族

年齢:17才 ※出会った当時


 イッシンが初めてこの世界で遭遇した青い髪の聖騎士見習い。今は新米聖騎士へと昇格している。ランニス子爵家の三女で、兄や姉たちと比べて一番年下の彼女は割と自由に行動させて貰っている。


 親からも特に強引な見合い話を持ち掛けられてはいないが、容姿端麗な見た目から男どもに言い寄られる事は多い。だがケイヤのストレートな性格と腕っ節に気圧され、彼女を射止めた者は未だ皆無であった。


 開拓村での一件でイッシンには恩義を感じており、聖騎士を早期退職して冒険者の真似事も面白いかもと最近では思い始めている。それは果たしてどういった感情からなのか、本人も正確には理解していない。




名前:オイゲン村長

種族:人族


 イッシンが世話になっていた開拓村の長。開拓村が見事、村に昇格した暁にはオイゲン村になる予定であった。デストラムの惨劇で死亡。




名前:ゲイン 名前:ハシル

種族:人族


 オイゲンの息子ゲインとその妻ハシル。ゲインは次期村長であったが夫婦ともにデストラムの惨劇で死亡。




名前:マックス

種族:人族


 オイゲン開拓村の自警団団長。元D級冒険者でイッシンの冒険者の師でもある。デストラムの襲撃により死亡。




名前:ゴーシュ・マバラン

種族:人族


 開拓村の備蓄や経理担当。元々ムイーニ町にある商家の三男坊だったが、商会は長男が継ぐので、一旗揚げようと開拓に志願する。デストラムの襲撃により死亡。




名前:リンデ

種族:人族


 リンデ婆さんの愛称で慕われている開拓村唯一の治癒魔導士。教会の管理もしている老修道女。デストラムに襲われ死亡。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る