第63話 返事がない、ただの佐瀬のようだ
オルクルダンジョンからブルタークの街へ戻る途中、俺たちは浮遊車の試運転をしていた。
「かなり静かね。しかも全然揺れないし」
「これなら酔わなくて済むかもね!」
佐瀬とシグネは満足そうだ。
「もっとスピード出るの?」
「ああ、徐々に上げていくつもりだ」
今は体感だが時速30kmといったところだろうか。この世界で時速30kmは結構早い。馬車でも出そうと思えば出せる速度だが、かなり揺れが酷くなるので、せいぜい時速20kmといったところだろう。ただし騎馬隊の馬はもっと早い。
俺は少しずつ速度を上げ、同時に高度も上げていった。速度はそこそこでも、高度は極力高めに維持したい。こんな便利な乗り物、誰かに見つかったら絶対大騒ぎになる。最終的には貴族辺りに取り上げられるのがオチだろう。
折角作ったのにそんなのは真っ平御免だ!
徐々に高度を上げ、地上にいる動物たちが豆粒に見えるくらいまで上昇すると、直ぐに問題が生じた。
「風つよっ!?」
「イッシン
「こ、高度を下げよう!」
「ううむ、駄目かぁ……」
なんとなく予測はしていたが、高い場所でそれなりに速度を出すと、やはり風や気温がネックになるようだ。
結局俺たちは道を大きく外れながら、そこそこの高度をそこそこの速さで維持しながら飛行した。これ以上は誰かに見つかるかもというタイミングでこっそり着陸し、後は徒歩に切り替えた。
村から街までは1時間掛からずで着いた。これでも驚くべき速さだが、俺はもっと楽がしたい。
(車体の気温調整と風への対処、どうしたものか……)
風に関しては、最悪車体をオープンカー式ではなく覆ってしまうのが手っ取り早いが、視界が悪くなるのと外への出入りが制限されてしまう。それと単純に精密なドアを作るのが難しい。俺はそこまで器用ではないし、職人には頼み辛い案件だ。
あと座席についても指摘された。だってただの木だしね。揺れない分、俺たちの尻は守られたが、それでも座り心地はよくない。まぁ、これは街での調達でどうにでも対処が可能だろう。
(一番のネックは気温……困った時はマジックアイテムだな)
俺はギルドへ帰還報告をしに行った後で、また≪精霊の矛≫を覗いてみようと予定を立てるのであった。
ギルドに到着し一通りの魔石や素材を査定してもらっている間、俺たちはギルド長に捕まっていた。
「おう、オルクルダンジョンに行ってたんだってな? 今回はどうよ?」
「50階層まで進みましたよ。ちょっと苦労しましたけど」
「あそこは41階からフィールド層だからなぁ。大体の連中はあそこで躓くんだが……お前らは“ちょっと苦労した”くらいで済んじまうんだなぁ」
ハワードがどこか呆れた顔をしていた。
すると、突如査定場の方がざわついた。何かあったのだろうか?
「ん? お前さんたちが買取に出した所じゃねえか? 騒がしいのは……」
「……そう、みたいですね」
何か高価な物でも混じっていただろうか?
「お前さんら、一体何を出したんだ?」
通常冒険者にそういった質問はタブーだが、相手が買取する側の責任者という立場もあり、俺は素直に答えた。
「心当たりがないんですよねぇ。多分Bランク魔物のドロップ品なんでしょうけど、ヒッポグリフ、エルダーエント、クイーンアント、キマイラ、後は……」
「き、キマイラだと!?」
どうやらそれが
「ええ、50階層のボスがそうでした。かなり苦戦しましたけど、爪と血が手に入りましたね」
「キマイラの血が手に入ったのか!?」
どうやら爪より血の方が注目されているようだ。鑑定は素材の内容までは分かっても、相場や市場価値までは流石に分からないのだ。
「キマイラの血は難病にも効くキュアポーションの材料にもなる。慢性的に品薄で貴族からもせっつかれる程の希少素材だ」
成程、確かにそう聞くと需要がありそうな素材だ。俺にはチート【キュア】があるから余り気にしていなかったが、そうなると少し手元に置いておきたい気もする。
普段から珍しい素材は全てキープしている俺たちなので、今回もそうなのだろうなとハワードは既に諦めの表情だ。
「それにしてもキマイラだなんてよく倒せたなぁ。あいつは限りなくAに近いBランクだぞ」
「うへぇ、道理で強いワケですね」
確かにあの強さならAと言われても違和感ないかもしれないが、逆に言えばアレでも届かないのがAランクの高みという訳か。
「ちなみにデストラムってAランクの中でどのくらいの位置付けなんです?」
俺は以前、全く相手にならず、最終的に自爆技で辛勝したAランクの魔物について尋ねた。
「何だ、珍しい魔物を知っていやがるな。あいつは……多分Aでも相当上位だぞ? 現役時代の俺でも接近戦では勝てないかもしれない、数少ない相手だな」
いや、寧ろあいつに接近戦で良い勝負するとか、アンタどんだけ化物なんだよ!?
しかし、あいつがAの中でも上位なのにはちょっと安心した。あれでAランク下位だとか言われたら、怖くて森の中を歩けやしない。
「そういえば、あれから≪三本角≫の続報が届いたぞ。どうやら奴は帝国方面へ去っていったようだな」
「——!? そうですか。それは朗報ですね」
欲を言えば討伐されたという報告が聞きたかったが、そう簡単に倒せない魔物だからこそネームドであり賞金首なのだ。
詳しく聞いてみると、特に人的被害も出ていなさそうなので、きっとケイヤも無事なのだろう。それは本当に良かった。
俺たちは査定を終えるとギルドを後にした。
ちなみにキマイラの血はキープすることにした。職員が大変残念そうな顔をしていたので申し訳なかったが、また今度手に入れる機会があれば売るので勘弁願いたい。
ギルドの次は毎度恒例≪精霊の矛≫に行き、女店主のイーダに色々と相談を持ち掛けた。
「うーん、気温を調節するマジックアイテムねぇ。ちょっと難しいわね」
「イーダさんでも難しいですか……」
手っ取り早くその手のマジックアイテムが置いてあればと期待したが、どうやら甘かったようだ。
「火や水なら私も得意だから問題ないのよ。でも、風は昔から苦手なのよ。知り合いに風魔法を使える魔法付与師もいないし……」
「……魔法付与師?」
……待て、今なんと申された?
「魔法を付与する専門職人のことね。私も付与はできるけど、風魔法はさっぱりだわ」
「あのぉ、私【魔法付与】のスキル持ってるんだけど。風の魔法も……」
そう、丁度今回の探索でシグネが覚えたスキルが【魔法付与】だ。どうやら戦闘時に使用するバフではなく、職人系スキルだったらしい。しかも適性スキルだった所為か、使用方法も曖昧であったのだ。
シグネが恐る恐る告白すると、イーダの目の色が変わった。
「シグネちゃん! 貴方、最高だわ! うちに弟子入りしなさい!」
「ちょ、ちょっと待った! うちのメンバーを引き抜こうとするな!」
俺が慌てて間に入った。
(あかん、イーダさんの目がマジだ!?)
以前うっかり口が滑り【解析】スキルを披露してしまった時の反応とそっくりだ。どうもシグネと錬金術士は色んな意味で化学反応を起こす組み合わせのようだ。
ようやく落ち着いたイーダと冷静に話し合い、なんとシグネは彼女に弟子入りしてしまった。
といっても当然住み込みではなく、暇な時間に顔を出して教えを乞う代わりに、イーダのマジックアイテム作成の手伝いをする、所謂アルバイトみたいなものだ。
これにはシグネも前向きであった。
「私、伝説のアルケミストになる!」
相も変わらずシグネちゃんの目標はブレブレであった。
それからまた数日間は街で過ごす日々が続いた。
当初の三大目標であった”お金を稼ぐ”、”移動手段を入手する”、”強さや地位を手に入れる”だが、まずお金に関しては現状も継続して稼ぐ必要があるだろう。
ダンジョン探索でかなり稼げるようにはなったが、その分出費も増えた。生活水準が向上すれば、あれもこれもとなるのが人間というものだ。お金はあるに越したことはないので、この街を出る前に最低もう一度オルクルダンジョンに挑戦したい。
移動手段はほぼ理想通りのモノを手に入れたと言っていい。
現在更に改良中で、イーダに弟子入りしたシグネ次第だが、上空の風除けや気温対策のマジックアイテムが開発されたのなら、この目標は完全達成と言っても過言ではない。
最後の強さや地位だが、戦闘の経験はそれなりに積めたし、余程の強敵でない限りは、どうしようもない状況は抜け出せるだけの強さを得たのではと、俺自身は評価している。
冒険者ランクはBまで上げたいが、討伐だけだと中々難しいとギルド長が言っていた。ちなみに≪キマイラの血≫のように貴重な素材を売ると昇級もそれだけ近づくとハワードは言っていた。
そんな物欲しそうにこちらを見ないでもらいたい。魔石ならいっぱい卸すよ?
一先ず今はシグネのアルバイトが落ち着くまで、各自街での自由行動を許可した。ただし女性陣は必ず二人以上で一人にならないよう注意した。相変わらずうちの女性陣はモテるのか声を掛けられることが多く、その度に佐瀬が雷魔法で脅していた。
ギルド内の冒険者たちは彼女をひそかに≪雷帝≫と称して恐れ始めた。まさかの佐瀬が二つ名持ち第一号である。これにはシグネや名波も心底羨ましそうにしていた。
実は俺もちょっと羨ましい。何、そのカッコイイ二つ名!? ずるい!
今日もうちの≪雷帝≫様と名波は買い物に出かけ、俺は一人街をぶらついた後にアルバイトのシグネを迎えに行く予定だ。
俺もマジックアイテム作りに興味があったのでイーダに弟子入り志願したが、あっさり断られてしまった。そう簡単にレシピを他人に教える真似はしないらしい。風魔法と【魔法付与】スキルがあるからこそ、シグネは特別待遇なのだとか。
回復魔法はいかがですか? え? 間に合ってます? そうですか……
ただしシグネから教わる分には彼女の自由だと許可を貰えたので、彼女にはたっぷり学んでもらいたい。
俺は代わりに他の商会でガラクタのようなマジックアイテムを購入しては解体し、独学で勉強していた。一応基礎知識は貰った教本などで身に着けたのだが、あれを基礎と言っていいモノかどうか……ハッキリ言って不明瞭なことが多すぎる。
途中までは理路整然としていて分かりやすかったのだ。だが実際に魔法現象を起こそうという段階になると、“精霊との親和性”だとか“魔法の深淵”など曖昧な表現が多く、挙句の果てには“神への祈り”とか怪しさ満点のワードが出てくる始末だ。
要は「不思議パワーで頑張りましょう!」という解釈が教本に使われていたのだ。
(俺はその”不思議パワー”の原理が知りたいんだよ!!)
魔法とはあまり深く考えてはいけない学問なのではと、最近の俺は少々諦めの境地に至り始めていた。
「いっそ俺も、精霊の深淵を神にお祈りして魔法の親和性とやらを深めるとするか」
自分でも何を言っているのか分からなくなってきた。もう今日の勉強は早めに切り上げて、シグネちゃんのお迎えに行くとしよう。
「今日は精霊の親和性を高める為にお祈りしてたよ!」
「……そーですかぁ」
すっかり不思議パワーな宗教に染まってしまったシグネちゃんを、俺は何とも言えない表情で見守っていた。
ちなみにこの世界では精霊信仰があちこちに点在するが、どうも地球でいう幽霊や宇宙人並みに存在を疑問視されており、”そんなモノいない”というのが世間一般の大人たち共通の認識だ。
(確か精霊関連のスキルは選択一覧にも無かったと思うけど……そういやあ女神様のQ&Aでは精霊について誰も質問していなかったぞ?)
もしかして精霊は本当にいるのだろうか? もしもーし、精霊さーん……返事がない、ただの——
『——イッシン、聞こえる? 今暇?』
突如脳内に声が響いた。
『もしかして、精霊さん!?』
『何言ってんの? まぁ、暇だというのは分かったわ』
――ただの念話だったようだ。佐瀬のひどく冷たい返しが俺の心にクリティカルヒットする。
『ちょっとこっち来れる? 問題……と言うか、相談したい事あるんだけど……』
どうやら佐瀬と名波は現在宿の近くにある小道にいるらしい。
(また誰かにナンパでもされたか?)
しかし大抵の相手なら佐瀬がビリビリして終了だが、一体どうしたのだろうか?
俺とシグネが指定された場所に向かうと、二人はやはり誰かと一緒だったようだ。しかもあの顔立ちは、もしや……
佐瀬たちと一緒にいたのは、俺の元年齢と同じくらい、多分30才付近の男女であった。男性の方は小さな男の子を抱えており、その子供は苦しそうにしていた。それともう一人、シグネくらいの年の女の子も一緒だ。
恐らくその四人は家族なのだろう。だが何より気になるのは、彼らが全員黒髪だという点だ。
「あ、来たわね」
佐瀬がこちらに気が付き手招きをする。どうやら荒事ではないようだが、一緒にいる四人の顔色は優れない。トラブルなのは間違いないだろう。
俺とシグネが二人の元に近寄ると、見知らぬ四人を代表して子供を抱えた男性が声を掛けた。
「初めまして。私は宮内健太郎と言います。失礼ですが、あなたも地球人でしょうか?」
やはり日本人だったようだ。
それにしてもタカヒロたちと比べてとても礼儀正しい。あの三馬鹿にも爪の垢を煎じて飲ませたいものだ。
「矢野一心と言います。こんな髪色ですが、俺も日本人です」
「私はシグネ・リンクス。リトアニア人だよ!」
白髪の俺が日本人と名乗ると、大人二人は驚いた顔をした。一方女の子は同年代のシグネが気になる様子だ。
「イッシン。とりあえずこの人たちの話を聞いてあげて。宮内さん、二度手間でしょうけど、彼にも話を聞かせてあげて」
「分かりました。実は————」
彼らの話はこうだ。
やはり彼らは家族のようで、夫の宮内健太郎さん、妻の聖子さん、中学生で長女の
以前の彼らは東京都港区のマンションに住んでおり、集団転移の際は同じマンションの人間同士でこの世界に来たらしい。
飛ばされた場所はブルタークの街から大分離れた場所にある森の中で、周囲には多少の魔物もいたそうだが、弱い個体しかおらず、比較的平和な暮らしをしていた。
マンションのコミュニティ拠点も大分生活基盤を整え、もう少し準備を整えてから外部との接触を図ろうかと言うタイミングで事件が起こった。
長男の聖太君が熱を出したのだ。
最初はただの熱かと思って様子を見ていたのだが、一向に治まる気配が見られなかった。宮内夫妻は一刻も早く医者に診せたかったが、コミュニティ内にいる医療に明るい者でも原因が分からず、回復魔法のスキル持ちも【ヒール】しか習得していなかった。
最早拠点内ではこれ以上の治療行為を望めなかったのだ。
そこで宮内夫妻は早く外部と接触して、現地の人に薬を分けて貰うか病気を見てもらおうと提案したのだが、外との交流は時期尚早という慎重な意見が多数を占めており、止む無くコミュニティを脱退して家族四人だけで人里を目指したそうだ。
いくら何でも無謀だと思えたが、宮内夫妻には勝算があったらしい。
拠点の見張りからの報告では、遠くに見える馬車が度々一定の方向へ向かって行くのを確認しており、更に周囲の魔物も自分たちで何とか倒せるレベルだったので、何日か馬車の向かう方角へ歩けば人の住む場所に着けるのではと賭けに出たそうだ。
そうして辿り着いたのが今日、この街という訳だ。
宮内夫妻は早速病院らしきものを探したが、何分初めての街である。それも異世界の。
誰かに道を尋ねようと周囲を見渡すと、黒髪の女子二人を見つけて声を掛けた。それが佐瀬と名波である。
彼女たちに事情を打ち明けると、その話をリーダーである俺にも聞かせて欲しいというので待ってもらっていた。
以上がこれまでの経緯である。
「貴方にお話をすれば、多分解決するだろうと伺いました。どうか、どこか良い医療施設を教えては貰えないでしょうか!」
「お願いします! ここのお金は持っていませんが、食糧なら多少持ち合わせがあります。ですから——」
「——ああ、報酬は結構です。あ、いや、一つだけありました」
「な、何でしょう!?」
縋るような眼でこちらを見る宮内夫妻に俺は提案をした。
「俺たちの事はなるべく周囲には秘密にしてください。条件はそれだけです」
「分かりました。お約束します!」
宮内夫妻は俺の提案にしっかり頷いてくれた。
別に秘密主義を貫くつもりは無いのだが、前回のタカヒロたちといい、あまり同郷の人間に当てにされ過ぎても困ってしまうのだ。
だが子供の命が関わっているのなら話は別だ。
そこまでして俺たちの秘密を守る必要は無い。それに折角ある力を隠したまま使わないのは勿体ないしストレスも溜まる。要はバランスが大事なのだ。
前回のタカヒロたちのようなケースでは助力する気も起きないが、宮内夫妻はでき得る限りの努力をしてここまで辿り着いたのだ。相手と状況を見て判断し、必要とあれば手を差し伸べるだけだ。
魔法で癒すのならば、人目が少なく、且つ安静にできる場所が欲しい。
という訳で、宮内一家を≪翠楽停≫にある俺たちの部屋まで案内した。この宿は人数ではなく部屋毎での料金なので何人連れて来ようが問題ない。
流石に提供される食事は定数までだが、この大部屋は元々六人用なので、食事も同数分までなら用意してくれる。ベッドも二つ余っているので、宮内一家に使ってもらった。
俺たち四人でベッド三つでもいいのだが、それをすると彼らに気を遣わせるだろうし、この世界の宿は獣人に配慮している所が多いのでベッドも基本的にビッグサイズだ。子供二人で四人家族なら二つで十分だろう。
聖太君をベッドに寝かせると、俺は早速魔法を唱えた。
「——【キュア】」
一体何の病気か医者ではない俺には知りようは無いが、俺のチートキュアなら治る筈だ。実際数分もしない内に聖太君の容態が目に見えて良くなった。それを見た宮内一家は喜びの声を上げた。
「ありがとうございます! 貴方たちは息子の命の恩人だ!」
「ああ、本当に何てお礼を言ったらいいか……っ!」
「ありがとう! お兄ちゃん!」
嬉し涙を浮かべる宮内一家に俺も笑顔で答えた。
「お力になれて良かったです。安静の為、一応今夜はこの部屋に泊まるといいです」
「——っ! ご厚意に甘えさせて頂きます。このご恩は必ず……っ!」
健太郎は一瞬断ろうと考えたのだろうが、ここまで歩いてきた家族の疲労も考え、俺の善意を受け取ると決めたようだ。流石にこの状況で追い出すほど俺も鬼ではない。この国の通貨を持っていないと言っていたし、今から泊まる場所を確保するのも至難の業だろう。
事情が事情だし、彼らが自立できるまでは面倒を見るつもりだ。
この部屋には風呂にトイレもあるので、宮内一家は大喜びだ。シグネは早速同年代の聖香ちゃんと仲良くなったのか、楽しそうにお喋りをしていた。
「お疲れ様、イッシン」
「おう、そっちもな」
「あはは、賑やかだね」
俺たちは一気に賑やかになった室内を見て、楽しそうにほほ笑むのであった。
――女神アリスと地球の代表者たちによるQ&A情報――
Q:向こうの世界に開拓していない土地はどのくらいありますか?
A:非常に多いです
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