第9話 惨劇

 開拓村のあるバーニメル半島は、まもなく春を迎えようとしていた。


 異世界に転移してから凡そ半年、俺は順調に力を身に着けていた。自警団の皆やケイヤからによる戦闘技術の指南、マックスからは冒険者の心得など、その他必要だと思った技術や知識を貪欲に求めていった。


 訂正、ひとつだけままならない事があった。魔力操作である。


 ほんのちょっとだけ魔力放出のコツを掴んだものの、相変わらず【身体強化】は不完全で、全力使用などとんでもない。それでも極少量の魔力を使う事には慣れてきたので、魔物相手の戦闘も既に何度か実戦していた。


 と言っても単独で戦わせてもらったのは魔物の中でも最弱部類に入る森林スライムや角ウサギといった討伐難易度Fという魔物たちだけだ。名前から分かる通り、ファンタジー世界お約束なスライム種とウサギに角が生えただけの小物だ。


 因みに討伐難易度とは冒険者ギルドが定めた難易度で、Fランクの冒険者がソロで対等と判断される魔物は同じFだ。


 俺もギルドが提示している薬草採集やお使いクエスト的なものを幾つか熟して、既にランクFへ昇級している。まぁ、そこまでは子供でも問題なく昇格できるそうだ。


 今も開拓村付近で採取した薬草を皮袋にしまって、一人で町まで歩いて向かっていた。開拓村は森の中でも割と西端にあるので、一人で森の奥へ行くのは禁止されているが、町の方へ出る分には問題ないと許可が下りていた。


 町までは徒歩で3時間ほど掛かるが、早い時間帯に出たのでお昼前には到着した。早速依頼の薬草を売り払った俺は、ギルドの掲示板や酒場などで情報収集を行っていた。最初は子供だと思われていた俺は相手にされなかったが、冒険者活動を始めて三カ月も経つと、それなりに顔馴染みも増えた。


「そういえば聞いたか? バーニメル山脈の麓に人族たちが新しい村を作ってるって話」


 目新しい情報はないかと尋ねた俺は、酒場のマスターからそんな話を聞かされた。


「ん? そこって北の山脈だよな? 確かエルフの領土なんじゃぁ……」


「エルフだけって訳じゃあないけどな。獣人やドワーフなんかの部族もいくつかあるけど、人族はいなかった筈だ。だから北方が少しピリピリしてるって噂だ」


 マスターの話を聞いて俺は考え込む。それはもしかして俺と同じ転移者たちではないかと思ったからだ。実は最近、この他にもちょいちょい転移者らしき者の噂を耳にしたのだが、実際にまだ誰一人接触した事はない。どうやら俺のように現地の村や町で暮らしている者はかなりの少数派で、ここ近辺にはいないようなのだ。


 現在開拓村という新しい居場所を確保した俺には、大まかに二つの目標がある。まず一つ目が戦力の向上だ。これは魔法や戦闘技術の向上というだけでなく、財力や地位の確保といった面も含まれる。別に成り上がり貴族を目指している訳ではないが、まずは冒険者ランクを上げてみようと考えていた。


 それともう一つの目標は同じ異世界人、特に日本人集団との接触だ。これは俺の知り合いや家族の足取りを確認したいという思いからだが、何分この世界は広い上に、情報伝達や移動手段は前世界より遥かに劣っている。もしできればくらいの感覚であったので後回しだ。


 町での用事を済ませた俺は帰る事にすると、遠方で何やら騒ぎが起こっていた。目を凝らして見てみると、町人らしき男性が血まみれで倒れ込んでいた。その近くには兵士らしき武装した連中と、一人だけ身なりの良い青年が立っていた。


「ち、貴族である俺に舐めた態度をとるからこうなるのだ! おら、どけ! 見世物ではないぞ!」


 そう威張り散らした青年は兵を引き連れて去っていく。当然血まみれの男は放置されたままだ。どうやらあの青年に斬られたらしい。かなりの重傷だが、まだ生きてはいるようだ。


「可哀そうに、貴族様に目を付けられたばっかりに……」

「何が舐めた態度だ! あいつが店の物を勝手に食べたから代金を請求しただけじゃないか!」

「ば、馬鹿!? 聞かれたらお前も斬られるぞ!!」


 どうやら傲慢な貴族にイチャモンをつけられて刃傷沙汰になったようだ。実はこんな光景は一度や二度ではない。俺は巻き込まれるのが嫌で避けていたのだが、それにしても今回は手酷く斬られたものだ。


 俺は貴族たちが去っていったのをしっかり確認してから被害者の男へと近寄った。その傍では家族らしき女性と子供が泣き喚いている。


「だ、誰か治癒魔導士を呼んで!」

「お、お父さんっ! しっかりして!」


 治癒魔導士とは回復系魔法を生業とする医者みたいな存在で、この規模の町や村には一人や二人はいるものだ。だが目の前の彼みたいに重症レベルだと、一介の治癒魔導士ではどうすることもできないだろう。


 仕方がないと考えた俺はフードをしっかりかぶって顔を隠すと、倒れている男の傍に寄った。


「回復魔法を使える。任せろ」


「――――っ!? お、お願いします! 主人を助けてください!!」


 被害者の奥さんに頼まれた俺は彼に手をかざすと、魔力を込めてから呪文を唱えた。


「――――【ヒール】!」


 すると俺の手が強い光を放ち、男の傷をたちまち塞いでいった。ものの数秒で傷を完全に塞ぎきると、俺は立ち上がった。


「応急措置は完了した。後は念の為、医者か治癒魔導士にでも見てもらってくれ」 


「あ、あの……っ!」


 奥さんが何かを言う前に俺はその場を足早に去っていった。


 さっきは応急処置と言ったが、恐らく傷は完治している筈だ。どうも俺は回復魔法に関しては一線級の腕があるようで、最下級魔法の【ヒール】でも上級クラスの効果がありそうだとケイヤが推察していた。


 だがこの町でそんな事が露見すれば碌な目に遭わないのは火を見るより明らかだ。悪徳貴族お抱えの治癒魔導士として生涯を終える気は俺には更々ない。



 早急にその場を去った甲斐もあり、俺は無事に開拓村へと戻る事ができた。






 それから三日後、俺は村の教会へと向かった。目的は神意石しんいせきによる神査しんさ、要はステータスの確認だ。何でも【鑑定】スキルがあればいつでも見られるらしいが、生憎俺は【回復魔法】を選択してしまった。


 ただ、これはこれで有りなのではと最近では思うようになった。自分の鑑定だけなら神意石しんいせきで代用が効くからだ。勿論【鑑定】の神髄は他者や物を見る事にあると思っているが、そのスキルを選択している異世界人は多そうだ。オンリーワンでないのなら、便利だとは思うがそこまで希少価値はないだろう。


「どれどれ、俺のステータスは、と……」



 名前:矢野 一心


 種族:人族

 年齢:29才


 闘力:63

 魔力:9999


 所持スキル 【自動翻訳】【回復魔法】



 一カ月ぶりに見たステータスに俺は眉を顰めた。闘力こそ順調に上げてはいるが、所持スキルに変化がないからだ。


(う~ん、スキルの習得は大変だと聞いてはいるが、何かヒントでもあればなぁ……)


 最初は訓練していけば、それに関連したスキルが得られるのではないかと考えていたが、どうやらそう甘くは無いようだ。ケイヤからも聞いた話だが、確かにスキルの習得は自らの職業や習慣に関連のあるものが開花する傾向にあるという。だが絶対という訳ではなく、例えば料理人なのに何故か【土魔法】を得たり、兵士なのに【調理】スキルを得る場合もある。


 だが一つだけ気になる情報を得た。それはスキルを沢山持つ者の話だ。稀にいるのだそうだ。スキルを一人で5個、10個と所持しているような天才が。そしてその天才たちは総じて戦闘能力に秀でている事も判明している。


 つまり強くなればそれだけスキルも得やすいのではないかというのが俺の持論だ。当然それはこの世界にもそれとなく知られている事だそうだが、しかしいまいち信憑性に欠けている情報でもある。


 その根拠はケイヤ・ランニスの存在だ。


 彼女は強い。それは初めから知っていた事だが、町へ出るようになり、それなりにこの世界を知るようになっても未だ彼女以上の存在に出会った事がない。


 いや、いるにはいるらしい。噂の聖騎士団長だとか、この国唯一のA級冒険者だとか、宮廷魔導士だとか…………だが、当然そんな偉人たちとは出会った事がない。


 話を戻そう。


 ケイヤは強い。だが、驚いた事に彼女の所持スキルはたった一つなのだそうだ。それが何であるかは教えてくれなかった。どうも聖騎士を目指そうという者は、その所持スキルや正確なステータスを隠すものらしい。確かに国家の精鋭たちの情報は軍事機密扱いだろう。おいそれと話せない立場なのも理解ができる。


 また少し脱線したが、そんな凄い彼女でもスキルが一つだけなら、“強い=スキル多数持ち”という俺の持論は成り立たない。だが全く無関係でもないだろう。


(こういう時、【鑑定】があれば調査が捗るのだが……)


 無い物強請ねだりをしても仕方がない。今はとにかく精進あるのみだ。魔物にも貴族にも簡単には負けない力を身に着ける。それが終わったら改めて異世界生活再スタートだと俺は闘志を燃やした。






 その日も俺は町のギルドへ依頼品を届けに行っていた。薬草や魔物の素材を提出し、依頼料を貰って完了である。恐らく、そろそろEランクに上がるだろうとマックスにお墨付きを貰っていた。


 その後買い物と情報収集を済ませ、日が暮れない内に帰ろうとした時、町中で不穏な噂を耳にした。


「さっきの兵隊たち、どこへ向かったんだ?」

「さぁ、演習だろう? ここ最近はしてるの見たことないけど……」

「領主のバカ息子も一緒だったろう? あれが訓練なんてするタマに見えるか?」


 歩きながら噂を拾っていくと、どうやらいつものバカ貴族が兵を連れて東の門から出て行くのを多くの町人が見かけたそうだ。


(東側……まさか!?)


 この町から東にあるものといえば、俺は開拓村くらいしか思い浮かばなかった。


(まさか…………まさか……っ!)




 はやる気持ちを抑えながら、俺は足早に村へと戻った。そこで見た光景は想像をはるかに超えているものであった。




「な、んだ……これ…………?」


 村の周囲は、血と肉の海であった。臓器のようなもの、頭部らしきものなど、人の一部だと思われるような何かがあちこちに散乱していた。


「おげぇ、うぇ……っ!」」


 あまりの光景と悪臭に、俺はその場で嘔吐した。身体と心が震え、俺は蹲りながら考えた。一体何が起こったのか、村の皆はどうしたのか、心がぐちゃぐちゃで考えが一向に纏まらなかった。瞳からはいつの間にか涙が流れていたが、自分は悲しいのか怒っているのかさえも分からない。


 只々、“どうして?”と頭の中でその言葉だけが反芻した。


「――――【キュア】っ!」


 俺は深く考えず、魔法を己自身に発動させた。別に怪我をしている訳でもない。【キュア】は軽い病気を治すだけであり、心の病気を癒すものではない。だが少しでも気が紛れればと発動させたのかもしれない。


 だが、どうもそれが良くなかったらしい。俺の魔力に反応したのか、何かが森の中からやってくる気配を感じた。別に超常能力で察知したわけではない。そいつは隠そうともせず森の木々を揺らしながらこちらへ向かってきた。


 そして藪から出てきたのは……人の姿をした何かであった。この開拓村では場違いなほど煌びやかな色合いをした鎧姿、見間違う筈もなく例のバカ貴族だ。確かここらの領主の嫡子で名をケイネスと言ったか。


「お前が……っ! これを――――」


 この地獄を生み出したのは貴様か、と糾弾しようとするも、ふとその男の胸元に視線が移る。そこには鋭利な何かが飛び出ており、彼の胸を鎧ごと貫いていた。


「な、にぃ……っ!?」


 突如男の身体が浮くと、そのまま遠くに放り投げられた。胸元からは血が止め処もなく流れ出ているが、奴の反応は全くない。既に死に体であった。そしてそれを放り投げた張本人が藪から姿を現した。


 それは一言で言うのなら、まさしく恐竜であった。それも肉食の、確かT・レックスと言うのであろうか、鋭い牙と爪を身に着けていた。さっきの男を貫いていたものは、奴の爪であろう。


 グオオオオオオオッ!!


 その突然の襲撃者は雄叫びを上げると、気が付いたら俺は吹き飛ばされていた。


「…………え?」


 滞空時間は僅かで、俺は後ろにあった村の建築物に叩きつけられた。


「ぐはっ!?」


 どうやら背中を強烈に打ったのか、そこから激痛が全身へと巡る。痛みでおかしくなりそうな俺は、それでも生存本能がそうさせるのか襲撃者の方を見ると、奴はさっきまで俺が立っていた場所に移動していた。どうやら奴に体当たりをされたらしい。


(全く……見えなかった……っ!)


 攻撃を避けるどころか、反応する事も出来なかった。


“魔物と会敵したら直ぐに【身体強化】をしろ!”


 ケイヤやマックスに口を酸っぱく注意されたが、それも全て無駄に終わってしまった。せっかく極少量での魔力による強化は出来たというのに、俺はそれを使う暇すら与えて貰えなかった。


「ぐ、くぅ……っ!」


 悔しくて情けなくて、また涙が溢れ出た。何が冒険に出る準備だ。いくら力や技術を磨いても心構えが全く出来ていなかったのだ。覚悟も足りなかった。だから村の惨劇を見た瞬間に震えて暫く動けなかった。予期せぬ魔物を見て思考が完全に停止してしまっていた。


「くぅ……【ヒール】!」


 だから今度は間違えない。例え勝てなくとも、回復をする暇すら貰えないだろうと思っても、俺は諦めず、まずは身体を癒すことに専念をした。


 そんな俺の懸念は的中し、T・レックス擬きはすぐに俺へと追撃しようとしてみせた、その直後――――


「――――おおおおッ!!」


 雄叫びと共に誰かが猛スピードで奴の横っ面に剣を斬り付けた。ケイヤである。恐竜擬きは堪らず悲鳴を上げながら後方へ飛び退いた。


「け、ケイヤ!? 無事――――」


“無事だったか”と声を掛けようとするも、彼女の姿を見た後ではその言葉の続きが出てこなかった。


 何故なら彼女の姿は到底無事とは言えない状態であったからだ。左目は斬られたのか塞がれ血が流れ出ている。脇と左足も深い傷と出血が見られ、全身真っ赤に染まりつつあった。


 普段は余裕しゃくしゃくといった形で魔物を屠っていく彼女からは想像もできない悲痛な姿に、俺は驚いて上手く声が出せなかった。


「はぁ、はぁ……悪いが、回復を……頼めるか?」


「あ、ああ……」


 なんとか言葉を絞り出して俺は彼女の傍に寄った。既に俺の身体は癒えている。こういう時は本当に【回復魔法】のスキルを選んで良かったと心底思える。


 俺が【ヒール】を唱えると恐竜擬きは低い唸り声を上げたが、それだけであった。どうやら彼女の事を警戒しているようだ。


「……一体、何があった?」


 目に付く限りの傷を全て癒した俺はケイヤから少しだけ離れて尋ねると、彼女は視線を敵に向けながら呟いた。


「詳しくは、後で話す。だが……全員、殺された……っ!」


「――――っ!?」


 何となく分かってはいた。この惨状だ。運よく外出でもしていない限り生きてはおるまい。今日のこの時間は、普段町へ出かけているゴーシュも運悪くいた筈だ。それに村長一家、マックス、リンデ婆さんに自警団の皆、その他俺を優しく迎えてくれた村人、女子供も含めて全員が――――


「――――イッシン! イッシン! 良く聞け!」


 ハッと俺はケイヤに呼ばれていた事に気が付く。俺という奴はまたこの期に及んで戦いに集中できていなかったようだ。


 ケイヤは背中越しでも俺が頷いた気配を察したのか、話の先を続けた。


「私が抑えている間に町へ逃げてギルドに伝えろ! デストラムが縄張りから出てきた、と」


 デストラムというのが目の前の魔物の名前なのだろうか。だが、抑えている間にという言い方に引っかかりを覚える。まさか彼女でも討伐出来ない存在なのだろうか。


 俺の疑問に応えるかのように彼女は呟いた。


「……私ではこいつには勝てない。奴の討伐難易度は……Aだ!」


「なぁ!?」


 驚きの声が合図となったのか、恐竜擬き改めデストラムが動き出した。瞬間――――衝撃波が森の中に広がった。


「うぁあッ!?」


 俺は再び吹き飛ばされるも、今度は何かに叩きつけられる事無く、転げまわった後に態勢を立て直した。そして先ほどケイヤがいた場所を見ると、そこはミサイルの爆心地かと思わせるようなクレーターができており、その周囲では猛スピードでケイヤとデストラムが戦いを繰り広げていた。


「――っ! こ、これではどうしようも……っ!」


 あんな事を聞かされて彼女を置いたまま逃げる事などできない。そう考えて加勢しようと思ったが、目にも止まらぬ速さで繰り広げられる戦闘に介入する術など俺には持ち合わせていなかった。


(これじゃあ完全に足手まといだ! すまん、ケイヤ!)


 それならばこの場に留まるより、一刻も早く応援を呼ぶのが正解だろうと、俺は町へ向かおうと試みた。


――――が、またしても俺は一歩遅かった。


俺が後ろを振り向いて走り出した瞬間、その先に何かが飛来した。


「な、なんだ!?」


 それはボロボロになったケイヤの身体であった。その様は先ほどより更に酷く、片足など千切れかかっているように思えた。


「あ、ああ……」


 恐怖に晒されながらも振り返ると、その先にはデストラムが悠々と歩いてこちらへと向かっていた。一番の難敵であるケイヤの排除は完了した。後はお前だけだとその獰猛な瞳から余裕と殺意が感じ取れた。


「回復している時間は……無理そうか……」


 ケイヤを回復しようと目論んだところで、彼女の元まで走っている途中に後ろから八つ裂きにされる未来しか想像できなかった。ならば答えは一つ、立ち向かうだけであった。


「……ケイヤ、ごめん」


 今日二度目の謝罪を口にしてから俺は覚悟を決めた。それは禁じられた攻撃魔法を全力で試す事だ。


 魔力量こそ膨大にあるとされる俺だが、その制御はお粗末なもので、俺は彼女から攻撃魔法の使用を今まで禁じられてきた。下手をすれば辺り一面破壊してしまうと告げられていたからだ。


 だが既に俺たち以外に生存者はいないし、どの道このままでは二人とも間違いなく殺される。ならば…………死なば諸共だ!


「いくぜ? トカゲ野郎! 記念すべき俺の魔法、第一号の犠牲者だ!!」


 ――――【ファイア】!


 俺は以前見せてもらった火属性の最下級魔法【ファイア】をありったけの魔力を込めてぶっ放した。



 そしてその日、東の森にある開拓村は閃光と共に完全焼失した。






――女神アリスと地球の代表者たちによるQ&A情報――


Q:いつか地球には戻って来られるのだろうか

A:……可能性はゼロではないが、暫くの間は不可能

 努力はするが当面の地球は生物が住めるような環境ではなくなる

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