第6話 レベルアップ
フィオナによって魔力開眼を強制的にさせられた俺はエレナさんたちの所に戻っていた、ただしびしょ濡れになって。
そして俺はまだ魔力開眼していない、ということになっている。
フィオナに持ち掛けられた契約はこうだ。
・フィオナに定期的に魔力を提供すること、その代価に魔法やその他もろもろを教える。
・魔力を開眼したことは皆には黙っていること、その代価として幼女としたことをリカちゃんや皆には秘密にする。
前者はギブアンドテイクだが後者は完全なる脅迫である。
だが俺はこの契約を受け入れた。
その理由はフィオナの正体にある。
フィオナはビッチ幼女に見えるが実はビッチ糞ババアだったのだ。
「ところでフィオナは本当は何者だ?元聖女の幼女とかおかしいだろ?もしかして年齢も見ため通りじゃないのか?」
年齢に関しては村の女性たちを見ていてうすうす疑ってはいた。
「わしはこの村の最長老じゃよ。何者かと言われても、大聖女とか、光の魔女なんて昔は呼ばれとったな、年齢は200から先は数えとらん」
幼い見た目に反して糞ババアを通り越して化け物級だったのだ。
ちなみにエレナさんはフィオナの直系の血族らしいが何代目かは忘れたそうだ。
そしてこの村はフィオナと当時の夫の大賢者と作ったらしい。
マリアさんは300年前から魔女の村と呼ばれていたと言っていたのでこのババアは300歳以上ということになる、200から先はなんて言ってごまかしていたが、ものすごいサバ読みだ。
ということで抵抗することに理がないと察した俺はババアに従うことにした。
それに話を聞かずとも、フィオナの恐ろしい魔力オーラを見れば従わざる負えない。
エレナさんの所に戻った俺は魔力を偽装していた。
魔力を開眼した者はそう出ない者と無意識に出ている微弱な魔力の流れや量が違うそうだ。
なのでフィオナは俺に魔力を偽装し、なおかつ通常垂れ流している微弱な魔力を体内に貯める流れをつくる刻印魔法を最初に教えてくれ、体に刻んでくれた。
この刻印、ようは魔力で刻む刺青なのだが通常は手の平や甲に刻むらしいが、それでは刻印魔法がバレバレになるのでそういう時は自身が意識を集中しやすい体の一部にするのだとか。
このババアは最初、俺の息子に刻印を施そうとしていたが全力で阻止し、最終的に胸郭に刻んでもらい、その後もいくつかのことを教えてもらいババアの家から出してもらった。
「村の女どもいろいろ匂いに敏感で鼻が利くからしっかり水浴びするんじゃ、あとまた今晩来るんじゃぞ」
そう言われて俺は空間魔法で湖に落とされる。
ちなみにババアの家は湖の中にあり強力な結界魔法で隠されているため、村の人間も知るものはいないという。
(まったく最悪のロリババア妖怪だよ)
びしょ濡れで戻った俺を二人は当然心配していた。
「どうしたんですか?びしょ濡れじゃないですか。」
「水も滴るいい男になったでしょ?」
「ぷっ、なんだか安心しました神代さん、元気になりましたね。何かあったんですか?」
「ちょっとね。おじさん臭がひどかったから湖で体を清めてきたんだよ」
「あぁ、納得です」
「え?リカさんどういうことですか?」
エレナさんが俺たちの会話に入ってこれないが、まぁ当然である。
「エレナさんあとで剣のお相手してくれませんか?」
「え?今日は体調がすぐれないのでは?」
「もう元気になりましたのでぜひお願いします」
「そういうことでしたら」
戻ったらエレナと剣の試合をするようロリババアに言われていた。
刻印偽装魔法のほかに教えてもらったことが魔力の体内コントロールだ。
偽装魔法で外に放出できない魔力は体内で循環コントロールすることで身体能力が飛躍的に上昇するらしい。
まずは実戦でそれをマスターするのじゃと言われたのである。
魔力を開眼した俺が向き合ったエレナさんはいつも以上に強く見えた。
(とはいえ俺も前とは違う、遠慮はせず最初から全力で打ち合いますよ。体内で魔力を血液のように流し、なおかつ力を入れたいところに瞬時に流し込むのじゃ、ってロリババアが言ってたっけかな)
エレナと剣の打ち合いを始めた俺は以前とは違う体の軽さを実感していた。
頭で思った通りに体が動く、力負けしていた場面でも互角に押し合えている。
俺の動きがいきなり変わっていることにエレナさんは驚きを隠せないでいる。
だが彼女は冷静に瞬時に動きを対応させて俺をねじ伏せる。
当然と言えば当然だが彼女も魔力コントロールによる身体強化はでき、さらにその上の技術も習得しているのだ。
その後しばらく打ち合ったが俺はエレナさんに勝つどころか一撃も入れることはできなかった。
「すばらしい動きでした。拓矢さんも地道に努力されているのですね。私ももっと頑張らないとすぐに追い抜かれてしまいそうです」
俺たちの試合に一番驚いていたのはリカちゃんだった。
前の世界の人間ではありえない動き、反応、跳躍をしながら戦う俺たちを見て度肝を抜かれていた。
彼女は魔法で俺より2歩も3歩も前を進み優越感に少しだけ浸っていたが、今の試合を見て彼女の魔法に対する情熱はさらに高まっていく。
「神代さん負けませんよ」
これを機に彼女はさらに魔法の修業に努力しあることをきっかけに飛躍的に伸びていくのはまだ少し先の話である。
「ところで拓矢さん本当はなにがあったんですか?教えてください」
「教えません、というか何もありません。筋トレ頑張ったんです」
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