第16話 幼なじみが退学したらしい

坂上と歩いてると学園の生徒が俺たちを見て口を開いてた。


「坂上さんじゃん。かわいいなー」

「付き合ってんのかな?あのふたり」

「横にいるの白銀だろ?お似合いだわ。いい意味でね」

「だな。いいよなー白銀。あんな清楚な子他にいねぇもん」


そんな会話が聞こえてきた。


どうやら坂上はビッチではないらしい。


あんなこと俺にしかしないらしい。


「告白の返事だけどいつでも待ってるからね」


そう言ってくる坂上。


それで俺は考える。


(正直神原先輩もなかなかいいんだよなぁ)


あの銀髪がかわいい。


俺ゲームとかでも銀髪好きだから。


(悩むよなぁ)


いっそ両方ってのはどうよ?とか思って、思い出した。


「そう言えばいつからか忘れたけど一夫多妻が許可されたんだっけ?」

「されたね。何年か前。逆はされてないけど」


ダンジョンに行くのは基本的に男ばかりだ。

更には最前線に立つのは基本的に男。


だから男の数がめちゃくちゃ減った。


そのせいで、一夫多妻が許可されたっていう経緯があった。

つまり今の日本はハーレムが合法化されてる。


あんまりしてる人いないけど。


「そうか。いざとなればその手があったか」

「私はそっちでもいいよ」


そう言ってくる坂上。

どうやら考えてることを読まれてるようだ。


「神原先輩かわいいもんね」


そんなことを言ってる坂上を連れて俺はイタリアンのチェーンにきた。

坂上のリクエストがあったからだ。


「ねね、ピザ分けようよ」


坂上にそう言われて俺はピザを分けてもらった。


そうしていたらビチ子のことを思い出した。


全部俺の奢りでこんなことしなかった。

んでスマホ見ながらつまんなそうにしてたのに。


「あーんしていい?」


そう聞いてくる坂上。


(かわいいよなぁ)


俺はそんなことを思っていた。


同じ生物と思えないくらいかわいい。


そんなこんなで食事を終えた俺は店を出た。


で、帰り道歩いてると


聞きなれた声が聞こえてきた。


「500円でいいから買ってよ!」

「寄るなようっとうしい」


ビチ子が夜の街で手当り次第に男に声をかけてるのが見えてしまった。


ここは立ちんぼ通りじゃないのに、手当り次第に声をかけてる。


「別の道行こうぜ」


俺は坂上にそう伝えて別の道を選んだ。


あんなもの坂上に見せたくなかったからだ。


寮に帰ってきた。


坂上を寮の前まで送るとこう言ってきた。


「また明日ね。白銀くん。ちゅっちゅっ♡」


そうして坂上は寮の中に帰っていったので俺も帰ることにした。


部屋に入って部屋の中にあったパソコンを起動した。

普段動画再生くらいにしか使ってないパソコンだ。


動画編集をした切り抜きの反応でも見ようと思って立ち上げたのだが。


トップページに動画が上がってきてた。



【速報】ビチ子さん、高校を強制退学になっていた模様wwwwWwww


そんな動画だった。


どうやら某匿名掲示板をまとめた動画らしかった。


「へぇ、あいつ退学になったんだ」


そう思って動画再生してみるとめちゃくちゃ書かれてた。



"ビチ子さん高校では性病の化身という扱いを受けていた模様"

"名前呼ばれる時エイズとかって呼ばれてたっての聞いて草生えた"

"学校のwikiもめちゃくちゃだったしなぁ"

"性病高校ってめっちゃ書かれてたもんなぁ"


俺もあの後高校のwikiは見たことあるが荒れに荒れまくってたし。

ゴーグルレビューもあることないこと書かれてた。


全部ビチ子のせいだった。


"そのせいで強制退学は笑ったわ"

"まぁしゃあなしwww"

"てかなんでパパ活なんてやってたんや?あほやろ"

"あほやからやってたんやでw"

"マジレスすると金が欲しかったんやってよ。彼氏から巻き上げた金だけじゃ足りんくなってやってたってさ"

"馬鹿すぎるwww"

"てかあのシュヤちゃんとかいう子まじで犠牲者すぎてかわいそう"

"それなw"

"この一連の件で笑ったのがあれ以降立ちんぼ減ったらしいってのが笑う"

"よい子のみんなはやめようね!"


そこで動画は締められてた。


俺は時計を見た。


夜の9時くらい。


浴場でも行くか。


そう思って俺は大浴場に来た。


この寮の個室にはシャワーがあるがそれとは別に大浴場がある。

湯船はこっちにしかない。


そんなことで来たんだけど。


チラホラ先客がいたが気にせず入っていった。


(今日はサウナでもいってみるか)


実はサウナがあったりする。

すごいよな。私立学園。


そう思って扉を開けてみたら。

階段があった。


(ダンジョンだ!)


ペタッ。

腰を抜かして座り込んだ。


「へっ?」


そのとき他の生徒が近付いてきた。


「大丈夫か?」


そうしてサウナを見たら俺と似たような反応をしていた。


「サウナがダンジョンになってる!」


生徒は立ち上がって外に出ていった。

おそらく関係者に報告に行ったんだろう。


俺は立ち上がって階段を見下ろしてから。


「進んでみるか」


ペタッ。

階段を降り始めた。


メリケンはないけど、なんとかなるだろ。


あんなものなくても俺の拳はダンジョンを破壊するからだ。


ペタペタ足音を鳴らして下まで降りてみると通路になっていた。

普通のダンジョンみたいだがゴツゴツはしてないので痛くは無い。


そのまま俺は歩いていった。

一本道ですぐそこに扉があった。


扉を開けるとそこには


「ギギャッ!ギャギャッ!」


空を飛び回っているのはコウモリだった。

かなり大きい。


3メートルくらいはあるだろう。



名前:ブラックコウモリ

レベル:600



なんだ、レベル600か。


「雑魚だな」


俺が呟くと声を出していた。


「ギギャッ!(この高さの俺にどうやって攻撃するつもりだ?!人間!)」


地面を蹴りつけると。

ジャンプした。


「ギギャッ?!(なんてジャンプ力だ!ここまで飛んできた?!)」


俺はコウモリを殴り飛ばした。


相変わらず体をグルグル回転させて壁に叩きつけられていた。


モンスターが消滅したと同時に地面に着地。

その時に気づいた。


「ん?人が倒れてる?」


ペタペタ。

走って近寄ってみると、寮母の姿をした女子生徒だった。


「や、やばいぞ!」


俺今裸だ。

こんなの見られたらやばいと思ったけど。


「……」


女の子は気絶してる。


ここに置いていけばやばい。

いつからいるのか分からないし


「ごめんな」


俺はそう言ってから女の子を抱えて入ってきた入口に向かった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る