第15話 編集デート

日曜日。

なんとか9時までに起きた。


昨日寮に帰ったのが3時くらいで、まぁ、最低限の睡眠は撮ったって感じ。


今日は早めに寝ようと思う。


そのためダンジョンに行ったりとか激しい動きをするのは控えようと思う。


そうしていたら坂上から連絡が来た。


坂上:白銀くんのチャンネルすごい反響だね。モンスターぶん殴るのが人気みたいだね。他の配信者も影響されてモンスター殴ってるみたいだよ


どうやら今の流行はモンスターをぶん殴りに行くことらしい。


動画サイトを見てもモンスターをぶん殴りにいきますみたいなタイトルが多いけど、ほとんど失敗してた。


『無理だろこれ!殴る前に殴られるわ!』

『あの人どうやってモンスター殴ってんだよwwマジでww』


みたいなリアクションを取っているようだった。


で、俺のチャンネルはというと


こんなコメントが着くようになっていた。


"モンスターぶん殴るとこ切り抜いてください"

"モンスターぶん殴るシーンだけみたいです"


みたいなコメント。


坂上はそれを見たんだと思う。

こんなチャットを送ってきてた。


坂上:いっしょに動画編集しない?動画切り抜いたりさ、それアップしたりして。私やりたいなー


どうやら俺とそういう作業をしたいらしい。

ちょうどいい機会だと思ったのでこの誘いに乗ることにした。


寮を出て女子寮の前に向かった。


そこで待ってると中から坂上が出てきた。


「おはよ白銀くん」


そうやって挨拶してきた坂上はパジャマみたいだった。


いつも制服か、冒険者用の服着てるからこういうの見るの新鮮だな。


不覚にも思ってしまった。


「かわいいね」

「やだ白銀くん。かわいいだなんて、嬉しくなっちゃうよ」


モジモジしてそう言ってた。


で俺は本題に入ることにした。


「それよりさ、編集なんてどこでするの?女子寮は男子禁制、逆もそうでしょ?」

「私の部屋で♡」

「どうやって入るんだよ?侵入とか言わないよね?」

「言わないよ。普通に正面突破」


どうやら玄関から堂々と入っていくらしいけど。


「白銀くんこれつけてよ」


そう言って坂上は俺に名札を渡してきた。

そこに書かれていたのは、【来客】って言う文字だった。


「私の部屋のパソコンが壊れたから修理する人を呼んだっていう体でいくよ」

「へぇ、なるほどなぁ」


それなら確かに入れるな。


男子寮も女子寮も外部からの必要な訪問客っていう体があれば入れるようになってる。


「じゃあ行こっか」


俺は坂上の部屋に案内されることになった。


廊下にいた女子は俺を見てきていたけど来客の名札を見ると特に気にする事はなかった。


そうして坂上の部屋に入った。

綺麗に片付けられてて俺の部屋とは違うらしい。


「編集とかしたことある?」

「ないんだよね」


動画投稿とかとは無縁だったからその手の知識は無い。


「座って」


俺は坂上の机に向かうことになった。

その横に別の椅子を持ってきて座る坂上。


めっちゃ密着しながら坂上が動画編集のやり方を教えてくれる。


とりあえずパソコンを起動して自分のアカウントにログインしてみる。


それで必要なアーカイブを再生して必要な切り抜きを行う。


それから編集ソフトを起動して坂上はていねいに教えてくれる。


「これをこうして、モンスター殴る時にエフェクトとかサウンドとかつけるの」

「へー」

「どかっ!ばきっ!とかサウンドとエフェクトつけるといいよ。やってること分かりやすくなるからさ」


言われた通りにやってとりあえずサンプルとして再生してみることにした。


どかっ!ばきっ!

言われた通りになってた。


「派手だね」

「でしょ?」


坂上は身を乗り出してきてそのとき俺の体に胸が当たった。


「当たってるけど?」

「当ててるんだけど♡」


むにむに。

めっちゃ当ててくる。


「もしかして、これだけのために呼び出したと思った?」


モニターに映る坂上の顔はにやけてた。


そのときタスクバーに映る別のブラウザが見えた。


タブが開いてるようだった。


すぐ近くにあったので俺はそれにカーソルを合してみると


【フェ……やり方】


ってギリギリ読み取れる文字を見たらそんなことを検索していたのに気付いた。


(なに検索してんのこの人)


これってあれだよな?あれを検索したんだよな?


あれのやり方を検索したんだよな?!


坂上にやってもらうのを想像して少し反応してしまった。


やばい。


「ほら、さっさと編集終わらせちゃお?♡」


俺はそう言われてとりあえず編集を進めていくことにした。


「白銀くん編集うまーい♡編集の天才だよね。やっぱり才能あったんだね配信者として」


そう褒めてくれる。


「あ、ありがとう」


どんどん編集を進めていき俺は動画を完成させてそれをアップロードした。


で、坂上を見た。


「気付いたらもう夕方になっちゃったね。白銀くんは夜は早い方?」


そう聞いてくる坂上。


(このままやんの?ここで?俺初めてなんだけどいきなり?付き合ってもないのに?)


俺は首を横に振った。


「どっちでもいいよ」

「そっか。じゃあパパっといっちゃおっか」


そう言って坂上は俺にこう言った。


「うしろ向いててね。恥ずかしいから」


俺はパソコンに向かった。


電源の消えたディスプレイに反射して坂上が着替えてる姿が見えた。


パジャマ脱いで


ゴクリ。

下着姿になってた。


そして


(ん?)


私服に着替えてた。


着替えてから言った。


「いいよ」


振り返ったらそこには健全な坂上がいた。


「どこ行く?」

「へっ?」

「ご飯。おなか減ったよ」


それで俺は全てを理解した。


「なんだ、ご飯の話してたのか」

「それ以外なにかあるの?」


俺は安心して口を滑らしてしまった。


「坂上が変なこと検索してたから」

「変なこと?」


そう言って近づいてきたので俺はタブのことについて話した。


「それフェンリルの殺り方を検索したんだよ。いずれ私達もそんなモンスターを倒しに行かないとだめだから」

「あっ、そういうことなのね」


落胆したような安心したような感じだった。


でも、それから坂上は聞いてきた。


「でも白銀くんがして欲しいならしてあげよっか?」


聞き間違えかと思ったけど聞き間違えじゃなかった。


「知ってるよ。そういうこと。やったことないけど。やってあげよっか?」


そう聞かれた時だった。


コンコン。

部屋がノックされた。


「坂上さん?そろそろパソコン治ったんじゃないの?」


どうやら寮母が来たらしい。


坂上は答えた。


「はーい」


それから俺に目を向けてきた。


「私はいつでも待ってるからね♡」


小悪魔だこの子。

やばい


配信やってるから男の扱い方慣れてるんだ。


それで俺は聞いてみた。


「他の奴にもこんなことするの?」

「するわけないじゃん。私は白銀くんのこと好きだから。君にしかやってないよ。だから、全力で落としにいってるだけ♡」


もう落ちそうです。

許してください


それはそうと今度クラスで坂上の評判について聞いてみよう。


この子がビッチなら………ゴクリ。


それはそれでありかもしれない


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