第17話 同行者
服を着てから女の子を医務室に連れてきた。
とりあえずどうしたらいいか分からないので佐藤先生を呼んでみた。
先生は女の子を見てつぶやく。
「行方不明の生徒だね。どこで見つけたんだい?」
「ダンジョンなんですけど」
「ダンジョン?」
「はい。そのサウナがダンジョンになってて」
「そんな報告は入ってるね」
どうやら信じてくれたらしい。
「ダンジョンができるときにいっしょに取り込まれたんだろうね。女子寮の方に連絡しておくよ」
そう言っていた佐藤先生。
先生にこれからのことは任せることにしたけど。
そのとき生徒が起きてきた。
「あ、あれ?どこですか?ここ」
そう言ってた。
それから俺を見ていた。
「あ、あれ?私を助けてくれた人ですよね?」
そう言って俺を見ると名乗ってきた。
「一年の斎藤です」
ぺこっ。
頭を下げてきたので俺もつられて頭を下げた。
「ぼんやりとですけど見えてましたよ!あのコウモリを殴りとばすあなたの姿が」
そう言って俺にすり寄ってくる。
「あなたのことが好きになってしまいました♡」
急にそんなことを言い出した!
俺は女の子を引き剥がして口を開く。
「頭が混乱してるみたいだし、いったん帰れば?」
こんなものただの恩義を恋愛感情だと勘違いしてるだけだろうしね。
俺はそう思って女の子を追い返すことにした。
こんなものただの勘違いだろう。
明日になれば落ち着いてる。
そう思った。
◇
翌日。
寮を出ると3人の美少女が俺を待ち構えていた。
「白銀くんおはよう」
「白銀くん待ってた!」
「先輩。学校行きましょ!」
俺は3人に同時に声をかけられてた。
坂上、神原先輩、それから昨日の斎藤だった。
3人はお互いの顔を見てから俺に寄ってきた。
月曜日の朝から両手に花を飛び越して、とんでもない状況になっていた。
そんな状況で歩いてると当然周りからの視線が凄かった。
そのせいで、3人が何を言ってるのか聞き取れなかった。
っていうか、みんな同時に喋るから何言ってるのかぜんぜん分からなかった。
そんなこんなで学園まで登校してきたわけなんだけど。
同じクラスの坂上だけは教室に入っても俺にベッタリしてた。
「そういえば昨日編集してあげた動画すごい反応だね」
「へぇ、どんな反応なの?」
坂上は俺に動画サイトを見せてきた。
「ほらっ、急上昇だって」
そこに映ってたのはたしかに急上昇のページに乗ってた。
「うおっ、まじじゃん」
「配信は見れなくても編集してあげると見てくれる層がいるから見てくれたんだろうねー」
そんなことを言ってる。
「実際モンスターをパンチしてやっつけてく配信者なんて他にいないからね」
「たしかにな」
そうして坂上と話してるとチャイムが鳴った。
「じゃ、また後でね」
「うん」
午前中の授業は問題なく終わっていった。
「腹減ったな。飯食いに行くか」
そうして立ち上がって俺は食堂に向かおうとすると坂上がやってきた。
ついてくるらしい。
で、廊下に出ると。
そこには既に神原先輩と斎藤もいた。
「待ってた」
「待ってましたよ♡」
そんなことを言って俺に着いてくる。
そのとき神原が俺の動画について触れた。
「すごいことになってたね。白銀くんの動画。急上昇ってすごいよ」
「えぇ?!先輩チャンネルあるんですか?私もありますけど登録者0人なんですけど、コツとか教えてくださいよー」
そんな事を聞かれるが俺もコツなんて知らないので何も答えようがなかった。
食堂に行ったあとも行くまでもずっと視線がすごかった。
神原先輩と坂上はともかく斎藤もなんで俺にこんなベッタリなのかがよく分からないな。
困惑しながら俺は今日の昼食を済ませていった。
それから放課後。
帰ろうとしてると斎藤がひとりだけクラスの前で待ってた。
「先輩帰りましょう?」
「いいよ」
坂上と神原先輩は用事があるらしくて、今ここにはいない。
先に帰ろうと思う。
帰り道いろいろ話しながら帰った。
この学園の寮だが、学園から近いのは女子寮の方だ。
だから必然と先に斎藤が別れることになっているはずなんだが。
「なんでついてくるんだ?」
聞いてみると斎藤は言った。
「あれ?言ってませんでしたっけ。私【メイド部】なんですよ」
「へ?メイド部?」
なんだその部活。
見たことも聞いたこともないぞ。
「ひょっとして先輩は知りませんか?メイド部」
「知らないな。見たことも聞いたこともない」
「寮の清掃活動などをする部活なんですよ。花嫁修業の部活ですよ」
「あー。それで男子寮に行くわけ?でもいいのか?その決まりとかは。一応異性の寮なんだが」
「基本的に男子がいない場所をいない時間に掃除したりするので問題はありませんよ」
そう言ってる。
それにしてもこの学園にメイド部があるなんて初めて知ったな。
それで俺が寮に入ると一緒に入ってきた。
そのまま斎藤は関係者以外立ち入り禁止の部屋に入っていった。
どうやらそこで着替えをするらしい。
まぁここでお別れだな。
俺は自室に戻って配信機材なんかを取って出かけることにしたのだが、部屋を出たら斎藤がいた。
「どこか行くんですか?先輩」
「ダンジョンだよ」
そう言うと斎藤はこう言った。
「ダンジョン?先輩の活躍が見られるんですね?」
「活躍するかは知らないけど」
って言うと斎藤はこう言った。
「私も行きます」
「部活は?」
「ご主人様のお手伝いをするのも活動内容なのです♡」
そう言ってきた。
まぁ、別にいいか。
「料理とかはできるの?」
「そりゃもうばっちり!」
よし、なら連れていこう。
ダンジョン用の非常食って味気ないからな。
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