第壱話


主人公「むぅ・・・・・なぜ俺がこんなことをしなくてはいけないんだ・・・・・」


???「さっさとやれよ。全く、サボってんじゃない。」


主人公「文句言うなら自身がやったらどうなんです?先輩。」


???「あ゛?」


主人公「文句言うってことは自分がやったほうが早いって思っていらっしゃるんでしょう?だったら適材適所。優れている人がやるべきだと思いますが?」


???「テメェ・・・・・舐めてんのか?あぁ?」


主人公「僕は正論であろうことを述べただけですけど。先輩がどう捉えるのかどうかはお任せします。」


???「っっっっっ゛〜もう来んな!テメェがいると周りに影響出る!」


主人公「気に入らないことがあったらすぐにクビ・・・・・ですか。まぁいいです。それじゃ。」


ーーーーーー次の日ーーーー

主人公「はぁ・・・・・今回もまたクビか・・・・・これで何回目だろうか?俺はただ『適材適所』ということを指摘しているだけだというのに。」


???「ま〜た兄さんクビになったん?これで何回目さ。」


主人公「美紗・・・・・とやかく言われる筋合いはないはずだが・・・・・どうした。」


美紗「はぁ・・・・・兄さんってお父さんに言われたこと忘れたん?」


主人公「忘れたわけではないが?美紗こそ俺に構ってないで高校生活ちゃんと送れてるのか?親父は美紗のことも言っていたと思うが?」


美紗「それはそれでしょうが!お父さんが死んでるんだから兄さんが稼がなくちゃいけないんだよ!?」


主人公「わかっている。だから週一でバイトや2ヶ月に一回家庭教師モドキもやっているんじゃないか。」


美紗「今のところまともな稼ぎ口が家庭教師モドキしかないじゃん!しかもなんで2ヶ月に一回なのさ!月一じゃダメなの!?」


主人公「あのな。美紗。俺の雇い先はあまり裕福じゃないんだ。それも昔の親父のようにひとり親家庭なんだぞ?」


美紗「そんなの知ったこっちゃないんだけど!?兄さんが掛け持ちして家庭教師モドキをすればいい話でしょ!?」


主人公「はぁ・・・・・美紗。これ以上言い争いをしても無意味だ。月一で掛け持ちできそうなところがないか探してみるよ。これでいいだろう?」


美紗「最初からそうすればよかったじゃん。あ。それとも逃げるの?」


主人公「好きに考えるといいさ。」


美紗「昔の兄さんってもっとさぁ・・・・・ハツラツとした性格だったじゃん。何があったのさ。」


主人公「昔のことは触れないでくれ。」


美紗「むぅ・・・・・」


ーーーー役場(家庭教師モドキ派遣場所)ーーー

主人公「すみません。福峰さんいますか?」


職員「あぁ。???くんじゃないか。福峰さんかい?今日は休みだよ。昨日から家族旅行に行ってるのさ。」


主人公「そうですか。」


職員「あ!そういえば???くん確かまたバイトクビになったんだって?家庭教師モドキの雇い先また増えてるよ。それも二週間に一回のお宅が。」


主人公「ちなみにそこの条件は?」


職員「うんとね、4ヶ月後の試験で3教科合格だってさ。報酬は一日2時間で5000円。どう?」


主人公「なるほど・・・・・ちなみに住所は?」


職員「えっとね・・・・・東区の5丁目だよ。宮岸さんっていうお宅だね。」


主人公「ちなみに家庭教師としての生徒さんのご年齢は?」


職員「えっと・・・・・あちゃぁ〜・・・・・隣町の小中高一貫進学校通いの高校2年生。しかも性別は女子。」


主人公「ぬぅ・・・・・」


職員「流石にキツイよね?確か妹さんが高校何年生だっけ?」


主人公「高校3年ですね。しかも留学も控えてます。」


職員「ありゃ・・・・・」


主人公「というかその依頼ってもしかして僕指名ですか?」


職員「うん。しかも『ウチの娘が高校卒業するまでお願いします!』っていう追加のお願い付き。」


主人公「はぁ・・・・・指名じゃなかったら断ってましたよ。」


職員「うんまぁこれだけしかいえないけど・・・・・ガンバってね。」


主人公「はい(項垂れる)」

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