第14話
僕が昨日作った組立推奨プラモデル、ネオダンバルは「鉄騎兵ダンバル エルスガルドの逆襲」と言う作品に出てくるMM(モービルマシン)なんだけど、そのエルスガルドの逆襲の続編である「鉄騎兵ダンバルPS(ペガサス)」の続編が発表されてたのをふと僕は思い出した。
なのにその続編を見ること無く異世界に来ちゃって……見たかったなーPSの続編。
PV見た感じかなり面白そうだったけど……あー見たいなーPSの続編……でもそんな事どれだけ願ってもこの世界で見れる訳無いか……と諦めて、僕はその日ドワーフの工房に向かった
「頼まれていたもの、完成したよ!作るの初めてだから、ワクワクしながら作ったんだ!」
「これは……完璧です!あっちの世界で売られてるニッパーと遜色ないものが出来上がるなんて……!」
レイラさんが僕にくれたニッパーは、かなり完成度の高い物だった。
持ち手の部分には布が巻かれていて、使いやすいようになってる。
「レイラさん、ニッパー作ってくれてありがとうございます!これで僕はプラモデルが作れます!」
「これでプラモデルを作るんだよね!物作りを仕事にしてる私的にはプラモデルがどんな風に組み立てられるのか気になるな〜!」
僕にニッパーを渡した後楽しそうにそう語るレイラさん。
「レイラさんもプラモデル組み立ててみたいですか?」
「うん!私もニッパー使ってプラモデル作ってみたいな〜!」
「ではこのプラモデルをどうぞ。ニッパーも貸しておきます。」
レイラさんは、ニッパーでプラモデルが作りたいと言ってたので、僕はアイテムボックスから取りだした彼女にMM(マルチモデル) 1/155 ネオダンバルを渡し、レイラさんに作ってもらったニッパーも一緒に渡した。
「ありがとう、キュート君!」
「改めて言いますが、ニッパー作ってくれてありがとうございます!それもたった一日で作れるなんて、流石です!」
「どういたしまして!もしもニッパーが壊れたら、もう一度私が作ってあげるからね!だからこれからも、私とこのドワーフ工房をよろしくね!」
「はい!」
ニッパーは作ってもらった直後にレイラさんに貸してしまって、僕はレイラさんがプラモデルを作り終えるまでプラモデルを作れなくなったけど、その間はタッチゲートタイプのプラモデルを作れば問題無いよな。
お代は……昨日渡したんだった。そんな事を考えながら、僕は生成したプラモデルをおもちゃ屋に入荷しに来たんだけど……。
「貴方は……!」
「あ……昨日のお客さん?」
そこで、僕は昨日おもちゃ屋に来てた2人組のお客さんがゲメルさんと話している所を発見する。
「あの人はいないのですか?」
「悪ぃな嬢ちゃん。キュートの旦那はいねぇんだ。」
「ではすぐに呼びなさい。この私が……ロゼ・ブル・インゼルが呼んでいるのですよ。」
「お嬢様、お忍びで来ている事をお忘れですか……?」
「あ……つい……。」
ロゼ・ブル・インゼル……?あの金髪の女の子、インゼルって言ってたのか?インゼルって確か……。
「あら、貴方そこにいたのですか?ならいると返事をしてください。」
「す、すみません……。」
「旦那!来てたのか!」
ゲメルさんはそう言ってレジから出て僕の傍に近づき、耳打ちをする。
「なんです?」
「俺、あの嬢ちゃんの名前を聞いてようやく思い出したぜ。旦那召喚者なんだろ?どこで召喚された?」
「王宮ですけど……?」
「そうか……なら旦那が召喚された直後に近くにいたはずだ。あの嬢ちゃ……いや、ロゼ・ブル・インゼル第1王女が!」
「……あ!確かいたような……ヘイス国王の奥さんの近くに……。」
「何をコソコソと話しているのですか?」
その時、コソコソ話をしている僕とゲメルさんを疑うような態度でロゼさんが話しかけてくる。
「な、なんでもありませんよ王女様!」
「店主、あまり大きな声で王女と言わないでいただきたい。嬢ちゃんで構いません。」
「は、はい!」
ゲメルさんはメルクさんに忠告されると、背筋をピンと伸ばして返事をする。
この人がこうなるのも無理は無い。だって相手は……。
「それよりも、貴方!昨日このお店で買ったプラモデルを私の手で完成させました!これが完成品です!」
ロゼさんは自慢げにそう言って、昨日このお店で買ったプラモデルを取り出して僕に見せつける。
「そ、それは凄いですね!」
とりあえずここは褒めておこう……だって相手は王女様なんだよ!?下手な事を言えば……死!
「でしょ!?未来の王女に不可能なんて無いのです!!」
僕の賞賛の声を聞いたロゼさんは胸を張って嬉しそうにする。
ここはどうにかしてロゼさんを立ててなんとか切り抜け……ん?
「あ……頭のアンテ……角飾りが折れてますよ?」
「え?……何言ってるの?この角飾りは最初からこの形で……」
「いえ、ネオダンバルの角飾りは左右対称の長さですよ。それに折れたような痕がある。これってつまり……あ」
僕はその時初めて、自分がロゼさんの逆鱗に触れかねない発言をしている事に気づいた。
プラモデルの事となると嘘はつけない性分なので、相手が王女である事を忘れて僕はそんな事を口走っていたのだ。
僕は恐る恐るロゼさんの表情を見てみる……。
「貴方……!」
「あ……。」
凄く怒ってる……!どうしよう……僕は死刑になってしまうのか!?
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