第八幕 何も知らなかった少女は数多の《世界》を知り、失った《希望》を取り戻す

8-01

 彩音が目を覚ました時、部屋の片隅にあった大きな黒いピアノは――部屋の中で異彩とすら言える存在感を誇っていたピアノは、跡形もなく消え去っていた。


 驚くよりも、彩音は理解する。


 お別れは、終わったのだと。


 ――そして――


 もう一つのお別れが、すぐそこにまで近づいてきているのだ、と。

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