第7話
エンシェントボアの戦いは苛烈を極めた。
「……」
「ぐぬぅ!この我に魔導を使わせぬとは!このイノシシ、なかなかわかっておるわぁ!」
マキナ様とラリア様は共に剣を持ち、二人がかりで大暴れするエンシェントボアへと斬り掛かっていく。
「ブルゥ!ブラァ、ブラァァァァァァァアアアアアアアアアアアア!!!」
体を切り刻まれ、多くの血を流しながらもエンシェントボアは元気に体を動かし、二人を相手に奮闘し続ける。
「ぶら、ぶら……ぶらぁぁぁぁ」
だがしかし、大ぶりのエンシェントボアの攻撃が二人に当たることはなく、十数分もの間、攻撃を受け続けてきたエンシェントボアの限界が見え始めていた。
「いい加減おち、ろッ!」
ラリア様が剣を振るい、容赦なくエンシェントボアを斬り刻む。
「……ァァァ」
それを受け、ようやくエンシェントボアの巨躯が止まり、その体を地面につける。
「ぶもぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
だが、そんな状況でもエンシェントボアは鼻息をあらくし、大きな声を上げる。
「……ッ!」
まだ抗う。
そんな強い意志を見せるエンシェントボアへとマキナ様が情け容赦無くその手に握られている巨大な骨製ハンマーを振り下ろす。
「ぶも!?」
マキナ様の落としたハンマーに対して何の抵抗もすること事ができなかったエンシェントボアはそのまま押しつぶされる。
「……終わったかな」
既にエンシェントボアからは生命の息吹を、力を感じない。
確実にその生命を終わらせたと言えるであろう。
「お疲れさまです」
息も絶え絶えの様子の二人へと声をかける。
「ふぅー、大変だったぞ。まさか、我がここまで手こずるとは……」
「いえ、勝てただけですごいですよ。エンシェントボアは明確な脅威であり、本来であればこのようなところにいていいような魔物ではないですから。一流の冒険者でなければ倒せないような相手をよく二人で倒しきりました。教育係として誇らしい気分ですよ」
「お、おぉぉ!であればよかった!」
「それでは冒険者ギルドの方に戻りましょうか……よっと」
僕は打ちのめされたエンシェントボアを持ち上げながらマキナ様とラリア様に向かって告げる。
「急いで報告をする必要がありそうな相手ですし、既に依頼も完了しています。お二人もそれで良いですね?」
「……」
「うむ!」
マキナ様は僕の後ろで服に顔を埋め、ラリア様は意気揚々と反対方向に向かって歩いていく。
「そっちじゃないですよ?ラリア様。反対方向です」
「うぇぇぇ!?」
僕はそんな二人を連れて冒険者ギルドの方に戻るのだった。
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