第3話

 冒険者ギルド。


「……ぁ、ァァァァァアアアアアアアアアアアアッ!!!」


 人類の敵たる魔物や犯罪者たちを相手に戦う屈強な武士たちの揃う冒険者ギルドにおいて、一人の男の絶叫が響き渡っていた。


「舐めた真似をするアホには鉄拳を叩きつけるに限る」

 

 僕は自分の足元に転がって絶叫する男、冒険者へと視線を送る。

 こいつは僕とマキナ様、ラリア様が冒険者ギルドに入ってきたタイミングで絡んできた冒険者である。


「一度折檻しておければもう二度とアホな真似をしでかす者もいなくなるだろう」

 

 僕たち三人の見た目は……舐められるのは当然であるし、絡まれもするだろう。

 そんな中でもう絡まれないようにするには一度、力を見せてやるのが一番である。


「立てよ、稚魚」

 

 僕は拳一発で崩れ落ちた冒険者に向かって一言。


「……ぬ、ガァァァァ!舐めるなよォッ!ガキがぁッ!」


 絶妙な力加減で手加減された僕の拳を受けていた冒険者は体を震わせながら


「ふん」


「……ぁ」

 

 それに対して僕は冒険者の足に向かって足払いを一つ。


「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああ!!!」


 今度は手加減なしの一発である。

 僕の足払いを受け、冒険者の両足はただの血肉となって地面にこびりつき、その体は無様にも地面へと転がす。


「うるせぇ」

 

 両足を失い、大量の血を流す冒険者の頭へと踵を落とし、そのまま意識を暗闇へと落としてやる。


「ふんっ」

 

 冒険者が沈黙したことを受け、僕は回復魔法を使って冒険者の両足を治してやる。

 流石にここでこいつの冒険者生命を終わらせるのはやりすぎだろう……僕が簡単に冒険者生命を終わらせられる、ってことだけを知っていれば十分だ。


「それじゃあふたりとも、サクッと冒険者登録を済ませちゃおうか」

 

 僕の凶行、圧倒的な力の前に冒険者ギルドが静まり返る中、僕は自分の後ろにいるマリア様とラリア様へと声をかける。


「……っ、……っ」


「え、えぇ……い、いいわぁ」

 

 動揺を全然隠しきれていない二人はそれでも僕の言葉に頷くのだった。

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