第2話

 激しくぶつかり合うマキナ様とラリア様。


「フハハハハハ!ロキとの日々で研ぎ澄まされた我が仮の刃の前に屈すると良い!」


 ラリア様の使う剣は圧倒的な理不尽である。

 すべてを呑み込む格別の技量に格別の実力、どこまでも強い剣こそがラリア様の剣であった。


「……」


「……わわ!?そ、そんなことまで出来ると言うのか!?」

 

 それに対するマキナ様の戦い方もラリア様に負けず劣らずの理不尽であった。

 自身の体の長さを自由自在に変えてリーチを惑わし、相手の攻撃は自分の体を曲げることで回避し、時として己の手にある剣だけでなく自分の骨すら使って戦い出す。

 マキナ様の戦い方はどこまでも自由で無茶苦茶であった。


「むむぅ……」


「……」

 

 他を突き放す格別とした剣を持つラリア様は己が剣でもってマキナ様を圧倒するが、どこまでも変幻自在なマキナ様を追い詰めきることが出来ず、マキナ様もマキナ様でラリア様へと自身の攻撃を与えることが出来ない。

 二人はどこまでも決着のつきそうにない二人の争いを傍で僕は眺める。


「……強くなったなぁ」

 

 僕はそんな二人の模擬戦を見ながら頷く。

 既に二人の実力は同年代と比べても頭一つどころか三つくらい抜けているだろう。


「……っと」

 

 二人の成長に対してひとしきり頷いた後、僕は二人の間に割って入る。


「ここら辺でストップね」

 

「……ッ、ロキぃ」

 

「ウェルリンク公爵閣下とのお話終わったんだ!」


 割って入った僕に対してマキナ様はさっさと僕の後ろを陣取り、ラリア様は元気よく声をかけてくれる。


「えぇ、話は終わりましたよ……それでウェルリンク公爵閣下とのお話の結果、これからの方針について決まりましたので、出し惜しみせずにこの場で言ってしまいますね」


「……ッ」


「おぉー!」


「これから自分たちは冒険者として活動する予定です。世間を知り、実戦をするための訓練となります。以前、侵入者というイレギュラー的な脅威がありましたが、それについては心配しないでください。自分がお二人を必ずや守って見せますので」


「であるのならば何も心配いらないな!」

 

 僕の言葉に対してラリア様が笑顔で頷いてくれる。


「……安心」

 

 そして、マキナ様も同様に小さい声で同意する。

 

「お二人からの信頼を受けられているようで感謝いたします。それでは共に冒険者として頑張っていきましょうね」


「おー!くくく、これで我が魔の真髄が世界に知れ渡ってしまうなぁ!!!」

 

 僕の言葉に対してラリア様はハイテンションで頷く。


「……」


 そして、マキナ様も僕の服の裾を強く握りしめることで同意を示してくれるのだった。

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