第15話
侵入者たちはマキナ様の前に立つ僕に最大限の警戒心をぶつけ、静かにこちらの周りを囲む。
「……さてはて」
それに対して僕は刀を手元で遊びながらどう対応するか、頭を悩ませる。
こんな狭い部屋の中で魔法をぶっ放すわけにも、大量の武具を展開するわけにはいかない……この場以外に侵入者はいない。
これが一番スマートか。
「失礼します」
「……ちょっ!?」
僕はマキナ様の体を持ち上げてそのままお姫様抱っこのような恰好で抱え、その場を疾走。
「「「……ッ!?」」」
侵入者が開けてくれた窓を通って僕は外へと飛び出す。
「無駄」
逃亡を選択した僕に向かって放たれる数多くの魔法とまったく同じ魔法を同時に放って相殺する。
「『軍神』」
外へと飛び出した僕はスキルの効力を発動。
己の身に纏う衣服が黒を基調とした軍服へと変わる。
「フルファイヤ」
そして、武器庫より数多くの武具を、僕が改良の果てに作り出した幾つもの銃火器を展開し、それらを遠隔操作で一斉掃射。
「……ッ!?」
僕を、マキナ様を追うべく同じく部屋から飛び出してきた侵入者たちは僕の銃撃をまともに喰らう。
結界などの魔法による防御など許さない。
たとえ、結界であっても僕は相殺し、弾丸をすべて侵入者たちへと喰らわせる。
「……ぐふっ」
どれだけ身体神経に優れていようとも、弾丸を避けられるわけがない。
だが、それでもこの世界の人間の素の身体スペックが高いこともあって、ただの弾丸で侵入者が死ぬわけではなかった。
「『邪眼ッ!』」
僕の弾丸を受けて侵入者のうちの一人がスキルを発動するが、そのスキルすらも分析の魔眼の力で自分も使える状態とし、抑止の魔眼で自分にかかる負荷を消した状態で発動する。
「……嘘、だろ?」
「「「……ッ」」」
スキルを相殺されて驚いている侵入者の一人を横目に他の侵入者たちが僕へと迫り、その手に握られている短剣を振るう。
それらをすべて僕は手に持つ刀で応戦する。
「……ぐっ」
近接戦闘は僕の得意とする者の一つだ。
お姫様抱っこの状態から降ろしたマキナ様を後ろで庇いながら侵入者たちを圧倒する。
侵入者たちが逃げないよう僕が発動した結界の中で、自分は傷を負うことなく一人、また一人と地面へと倒していく。
「クソったれがッ!抗魔の悪魔ッ!!!」
そんな中、侵入者の一人がとある一つの宝玉を取り出し、それを叩き割る。
魔道具……魔法が込められた道具を侵入者の一人は迷いなく発動させたのだった。
「……まずっ!?」
それを見た僕は動揺を露わにする……悪魔由来の力、それを僕が使うのは……ッ!!!
「……ッ!?」
ワンテンポ、侵入者の使った魔道具への反応が遅れた僕は不意に自分の中から溢れだしてくる異物を前に体を硬直させるのだった。
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