十八発目「戦う女子〇衣室」
俺は、
そしてすぐに、俺は
俺は、一つ目の「生物の気配」に辿りついた。
慎重に、うどんを斬りはらうと、
そこから、
「い、いたっ!!」
俺は、嬉しさのあまりに鳥肌が立った。
浅尾さんがいる。
もう会えないと思っていた、でも、手が届いた。
悪夢を見ているのだろうか?顔色は良くない。
素肌を出した両肩がエ〇い。
うどんに埋もれているが、浅尾さんは今、ハダカなのだ。
「
俺は、
俺が服を着せる訳にはいかないからな。それは殺されかねない。
是非とも、起きて自分で服をきて欲しいものだ。
「んん……。おにーーちゃん??……やめてよぉ…もう少し……あと少し………」
お兄ちゃん、が、いるのだろうか……
正直、むちゃ可愛い…
あ。起きた。
そして、俺に殺意を向ける。
あ、ヤバい…
「……もう少し……寝かせろって言ってんだろぉ!!しつこいんだよっ!!!」
ドゴォォォ!!
うどんの中から、
その裸足は、真っすぐに…。俺の顔面を叩き潰した。
「ブフゥゥ!!」
容赦のない蹴りに、俺の意識は飛びそうになる。
「えぇっ!?あぁっ!!いやぁああああ!!見っ、見るなァァ!!」
続いて、
どうやら、自身が裸だという事に気づいたようだ。
そして、間髪入れずに、右足のキックが飛んでくる。
俺は目を瞑りながら、
「
俺は、
「はっ、はぁぁあっ!!私のパンツっ!!なんで
「みっ!!見ないでっ!!向こう向いてじっとしてて!!」
俺は、
ズバァァ!!
今この時も、うどん達は、
俺は戦い続けなければいけない。
「いやぁぁっ!!みっ、見るなァァ変態ィィ!!」
「お、俺は何も見てないっ!!目を瞑ってるだろっ!!」
「嘘だっ!今見たでしょっ!見ようとしたっ!!」
俺は、
かなり激しく動いており、背中のリリィさんは、左右に振られまくって苦しそうだ。
「あ…あなたはホントに…
リリィさんは、暴力を振るう
良かった。真っ暗の中なら、
「きゃぁぁあああっ!!!い、いやぁぁ!!お化けぇぇっ!!あぁ……電気つけてぇぇっ!!」
逆効果だったようだ。
小さな
うるさすぎる。
「
「もういやぁあっ!!もう、下着は着おわったからっ!!明かりをつけてぇぇ!!」
「【
リリィさんの魔法で、この空間に光が取り戻された…
明るい光の中で、下着姿の
「あ……っ」
隠れるように背中を向けた。
「
彼女の口から出たのは、俺に対する感謝だった。
「はい。無事で良かったです。」
俺は、平静を装い、返事を返した。
だが頭の中は、別の事でおっぱいだった。
肉付きのいい肉体と大きな膨らみ、白い肌を包む二枚の布と、その食いこみ。
眩しすぎて直視できない。
い、いや、何を考えているんだっ!!
次だ次!!時間がないんだよっ!!
すぐ傍にある、「生命の気配」
きっと
「
いた、見つけた。
俺が恋する女性、ずっと一緒にいたい女性。
「
俺は、精一杯、カッコよく振舞った。
嬉し涙を、グッと堪える。
「あ……うぅぅ……
もう…会えないと思ってたぁぁ……怖かったよぉぉっ……」
涙をぬぐう事が出来ずに、顔じゅうびしょびしょだ。
俺も、ここで我慢できなくなった。
頬を涙が伝っていく。
もう、会えないと思った。死んでいるかと思った。
でも、奇跡は起こったのだ。
「
新崎さんの全裸姿は、絶対に見ないので、すぐに服を着て下さい。」
俺は
「あぅぅっ……。うぅ……。あ、ありがとぅ……」
でも、震え声で感謝をくれた。
「こちらこそ、生きていてくれてありがとうございますっ。」
俺はそんな、カッコイイを口にした。
俺はついでに、
世の中には、知らない方がいい事もあるだろう。
俺は白い大剣を振りかぶり、ギュッと目を瞑って、慎重にうどんを切り裂いた。
素っ裸の
ヤバい、衣擦れの音や、息遣いが生々しい…。
イケナイ音を、聞いている気分になる。
願わくば、是非ともこの目で確認したい。
しかし、ダメだ。
これ以上、
でも見てぇなぁ……
いや、冷静になれ、俺!!
俺達は今、戦闘中だぞ!?
集中しろ、二人を助けた、次はどうする??
そうだ、現状の説明をするのだ。
「
ここは、モンスターの巣です。
周りで蠢く触手は、実は【天ぷらうどん】というモンスターなんです!!
うどんなんです!!」
俺は、着替え中の
二人は、うどんの中からの視点しか、知らない筈だ。
つまり、【天ぷらうどん】というステータスバーは、確認出来ていないはずだ。
「うどん!?な、なるほど??」
「【天ぷらうどん】って…また食べ物なの??」
「俺の背中にいる女の子は、リリィさんと言います!
彼女は、妹を探すために、俺に協力してくれた仲間です!!」
「リリィ…さん??」
「か、可愛いっ!!」
二人は、やっとリリィさんの存在に気づいたようで、驚いた声を上げる。
「どうも、あたしの名前はリリィです。
もう時間がありません、すぐに脱出します。
ですが…
もう一度ここにきて、あたしの妹探しを手伝うと。」
「当たり前です。そういう約束ですから!!」
不安そうに俺をみるリリィさんに、俺は間髪入れずに答える。
当たり前だ。
俺が、二人を助けられたのは、リリィさんのお陰なのだ。
俺の仲間が、全員見つかったからといって、
リリィさんを見捨てるようなことはしない。
「お人よしですね…。良かったです。あたしは
リリィさんは俺を信じると言った。
そして俺は、天井を見上げた。
闇に包まれて、肉眼では何も見えない。
だが俺には見える。上へと続く、長い穴。
俺達の来た道、脱出経路だ。
「リリィさん!真上です!!」
「了解です!!お友達の二人は、じっとしていて下さい!! 【
リリィさんが魔法を唱えると、
なるほど、これで二人は、俺の動きについて来れる。
「ふぅ……はぁ、さぁ……いきますよ……!」
リリィさんの荒い息が、俺の首筋を温める。
背中から、リリィさんの汗が染み込んでくる。
複数の魔法を同時に使うのは、負荷も大きいのだろう。
リリィさんに無理をさせている、急がなければ…。
俺は、うどんを薙ぎ払いながら、天井の穴を目指した。
は??
俺は……信じられない光景を目撃した。
集まっていく、すべて集まっていく………
この空間に存在する、74個の「生物の気配」が、一ヶ所に集まり出したのだ。
まるで、俺達の出口を塞ぐように……
「リリィさんっ!!「生物の気配」が全て、一か所に、穴の出口に集まっていきます!!どういう事ですか??」
意味が分からなかった。
一か所に、「生物の気配」を集めるなど、モンスターの策としては悪手に思える。
何故ならば、リリィさんの妹を見つけやすくなるからだ。
「え??集まっていくって……。まさかっ!!」
リリィさんは、驚いた声を上げた。
「急いで下さい
リリィさんは、焦った声で叫んだ。
俺には意味が分からない。だが、言われた通りに加速した。
そうして、「生物の気配」の集合地帯に辿り着いた。
俺はやっと、その意味が分かった。
沢山の「生物の気配」が、一斉に俺達に襲いかかってきたのだ。
ゴォォォ!!
裸のおっさん。装備を着た戦士。
賢者の目で見ると分かる、彼らは洗脳状態にいる。
全方位から襲いかかってくる。人間の集団。
俺は剣を振ろうとするが、その手は途中で止まる。
俺が斬ろうとしているのは、うどんとは違う。生きている人間だ。
斬れる訳がない……
「斬って下さいっ!!
リリィさんの叫びを聞いて、俺は考えるのを止めた。
ズバァァァ!!!
俺は、
返り血がつく、生暖かい。
切り口の断面からは、骨や内臓が……
あぁ、もう見たくない……
「なっ!!何してるんですか馬鹿ッ!!ユリィに当たったらどうするんですかっ!!」
俺の後ろで、リリィさんが泣き叫んだ。
そして、俺の後頭部が、思い切りぶん殴られる。
痛い……
「ちゃんと、前の人だけ殺して下さい!!その後ろには、あたしの妹がいるかもしれないんですよ!!?
思いっきり剣を振るなんて!バカなんですかっ!?」
「ご、ごめんなさいっ!!」
俺はリリィさんに怒鳴られて、反射的に謝った。
そうか、ちゃんと確認してから、斬らないといけないのか…。
リリィさんの妹である、ユリィさんを殺さないようにしなければ…
あぁ…面倒くさいなぁ……
「オェェ!!……ゴホォォ………」
俺は眩暈がして、胃の中のものを吐き出してしまった。
狂ってる、こんなの……こんなのっ……
俺はもう、戦いたくない。
だが兵士たちの攻撃は、止まることがない……
だから俺は、戦わなければいけない。
大切な人を守るために……
涙と血しぶきで、前が見えない……
「は、急いでくださいっ行宗さん!!もう賢者の時間が切れます!!」
「黙っててくださいっ!!分かってますよっ!!でも、妹さんに気遣いながらなんて、脱出よりも先に時間切れが来ますっ!!
もう一か八か!!ユリィが通り道にいない事に懸けて、皆殺しでこじ開けるしかっ!!」
「ふざけないで下さい!!絶対ダメです!!
あなたが妹を危険に晒す真似をするなら!!あたしはあなたを殺しますよ!!
簡単です。魔法を解除するだけですから!!」
「はぁっ!?ふざけてんのはお前だろっ!!くそっくそっ!!くそぉっ!!」
ズバァァ!!ズバァァ!!
俺は、発狂しながら、ただただ人を斬り続ける。
最悪だ…気持ち悪い……気持ち悪い……
俺は、なんの為にこんな事を……
「わ、私はどうすればいい??
「とりあえず、前に進めばいいの??私も手伝うからっ!!」
二人とも、服は着替え終わっていた。
しかし残念だ、せっかくの可愛い服が、血まみれに染まっている。
あぁ……くそっ……
ドガァァン!!
ああ、やめてくれ……
人殺しの業を背負うのは、俺だけでいいのに……
視界が暗くなる……身体が重くなる……
戦え、戦えと己を鼓舞しても、
手に力が入らない、足が固まって動かない……
俺はもう、戦えない……
「何してるんですか!!
俺はリリィさんに、耳元で怒鳴られた。
うるせぇよ…クソガキ…じゃあ、テメェがやってみろよ……
あぁ…もうヤダ…疲れた……
もう、全てどうでもいい……
あ……
賢者タイムが終わった……
「いやぁぁぁ!!」
「まってっ!!」
次の瞬間、俺達は人込みの中、触手の中へと飲み込まれる。
リリィさんは、俺の背中から剥がされて、離れ離れにされてしまった。
リリィさんの魔法が切れた。
【
俺は水中に放り出される。
息が出来ない、肺の中に水が飛び込み、むせ返ってしまう。
【
視界は真っ暗になる。
賢者の目も消えていて、何も見えない。
俺はもう、賢者ではない……
飲み込まれる、飲み込まれる…どこまでも飲み込まれる……
苦しい…痛い……辛い……
ああ、ゲームオーバーだ……
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