清楚編


「あなた様―、新しい姿で私が本日も……」

 //SE 歩く音


「あなた様? 普段以上にソファにもたれかかっているようですが……」


「どうかなされたんですか?」

 //SE近づく音


「大丈夫? そうおっしゃいましても、大丈夫には見えませんよ」


「お顔も……失礼ながら、良いようには見えません」

 //SE触れあう音


「あなた様……本日はお休みになってはいかがですか?」


「え? 今日の授業は外せない? そうですか……休むのは無理ですか」


「ですが、そんなお顔のあなた様を外に出すわけにはまいりません」


「授業まではまだ時間があるのですよね? わかりました」


「なら、少しでも回復出来るように、私が何とかします」


「はい、あなた様は全部、私に任せて下さい」


「あなた様はこちらへどうぞ」

 //SE座る音


「膝枕です。ソファや枕よりも柔らかいと自負しております」


「もう、そんな恥ずかしがらないでください。仰向けにお願いしますね?」

 //SE移動する音


「はい、そうです。どうですか? 寝心地は?」


「うふふふ。その顔つきを見れば寝心地は良さそうですね」


「あなた様のお顔を膝枕で見るのは始めてですね」


「ああ、いけません。あなた様のお顔を拝見するために膝枕をしたのではないのですから……」


「では、失礼しますね」

 //SE触れあう音


「少し冷たいですか? あなた様の体温が普段よりも少し高いようですね」


「お疲れだと体温が高くなることもあるようなので、やっぱりお疲れなのだと思います」


「はい、最初はお顔を中心に頭部のマッサージをしていきます」


「まずは頭頂部からです」


「ゆっくりと押していきますよ」

 //SE優しいタッチのマッサージ音


「じんわりと気持ちよくなってきませんか?」


「トントントン、と頭頂部からゆっくりと下に押していきます」

 //SE優しいタッチのマッサージ音


「どうですか? ふふっ、気持ちいいみたいですね」


「血行の促進にいいのですよ?」


「もっと、押していきますね」


「んっ、んっ、んっ……」

 //SE優しいタッチのマッサージ音


「はい、頭のマッサージはこれで終了になります」


「次はお顔です」


「失礼する前に……一応、目を閉じておいていただけますか?」


「はい、よく出来ました」


「ホントはクリームなどがあるといいのですけど……」


「あ、そうです。ならば、私の特性を生かせば良いのです」


「ふふっ、あなた様が心配するようなことは何一つありません」

 //SEクリームを塗る音


「どうですか?」


「この感触はですね。私の手ですよ?」


「ただし、指先だけスライム状態にしてマッサージをさせてもらっております」


「滑りがよいので、肌も傷つけず、ほぐされる感じが気持ちいいのではないですか?」

 //SEクリーム系のマッサージ音


「ふふふっ、いいみたいですね」


「じゃあ、まだまだ続けますよ?」


「円を描くように伸ばして、伸ばして、戻す。伸ばして、伸ばして、戻す」

 //SEクリーム系のマッサージ音


「リンパに沿って動かしますと、とってもいいのですよ?」


「もう少しだけ、続けますね」

 //SEクリーム系のマッサージ音


「はい、あなた様のお顔が普段よりもさらにかっこよくなりました」


「それに、多少は顔色も戻って来ましたね」


「ふふふ、これで終わりではありません。まだまだ続けますよ」


「次はお耳にいきましょうか」


「お耳も大事なのですよ」


「お耳の掃除もしたいところですが……まずは、お耳のマッサージです」


「はい、お耳には自律神経に関係するツボが沢山あるんですよ?」


「ですから、お疲れのあなた様にはきっと効くはずです」


「では、両耳……同時に失礼しますね」

 //SE 触れあう音


「まずは、つまんで……引っ張って……離す。これを繰り返していきます」

 //SE マッサージ音


「痛くはありませんか? 痛気持ちいいのがマッサージと丁度いいらしいのですが……」


「大丈夫なのですね。それなら、このまま続行させていただきます」

 //SE 触れあう音


「あら、ちょっとびっくりさせてしまいましたか?」


「お耳の中央にあるつまみも大事なのですよ?」


「クニクニクニ……」

 //SEマッサージ音


「次は――耳たぶです」


「うふふふ、あなた様の耳たぶ……柔らかくて気持ちいいですね」

 //SE触る音


「あら、いけない。私が癒やされるのは違いますね」


「ムニムニムニムニ……」

 //SEマッサージ音


「はい、耳たぶもおしまいです」


「次でお耳のマッサージは最後ですね」


「最後は全体を手で包んで……」

 //SE触れあう音


「クルクルクルクル……」

 //SEマッサージ音


「うふふふ、心地良いですか?」


「それなら、もう少し続けましょうか……」


「はい、おしまいです」


「次は、お耳の掃除です」


「お耳の掃除もリラックスになるんですよ」


「せっかくですので、私の特性を生かしてお耳も掃除しましょうか……」


「私の指先をお顔のマッサージのときのようにスライム状態にして……」


「こう、耳の中に入れていくんです。綺麗になりますし、柔らかくて刺激も気持ちいいと思いますよ?」

 //SE水音


「え? それは怖い……ですか? わかりました」


「でしたら、普通の方法でお耳の掃除をしましょうか。あなた様の嫌がることはしません」


「それならば、よろしいでしょうか?」


「はい、ではまずは右耳からいきましょうか」


「まずは、体勢を変えましょうか」


「どちらの向きでもよろしいですが……」


「個人的には、私側にお顔を向けていただけると嬉しいです」


「ふふふっ、そちらの方があなた様も落ち着くのではないですか?」


「あまりにも恥ずかしいのでしたら、結構ですけど……」 //残念そうに


「ふふっ、あなた様はお優しいですね……ありがとうございます」


「表情が見える方が嬉しいもので……恥ずかしくはあるのですけど……」


「うふふ、では、始めていきましょうか……失礼しますね」

 //SE 耳かき音


「強くしすぎないように……」


「コリコリコリ、と。どうですか?」

 //SE 耳かき音


「くすぐったそうですね」


「まだ、入り口ですよ?」


「入り口でここまで反応されますと、私も困ってしまいます」


「ちょっとずつ奥にいきますね……」


「ゆっくり……、ゆっくり……」

 //SE 耳かき音


「もう、動かれては困ります」


「手元が狂ってしまったら危ないですよ?」


「はい、お願いしますね」


「では続けていきます……カリカリカリ」

 //SE 耳かき音


「こんなところでしょうか」


「仕上げにフワフワの方も使いますね……」

 //SE 耳かき音 ふわふわ


「おしまいです」


「ですが最後に……ふー」

 //息を吹く音


「ふふっ、ビクビクするのも可愛らしいですね」


「驚いちゃいましたか? でも、気持ちよかったのですよね?」


「ふふっ、ならよかったです」


「では、逆の耳もやっていきましょう」


「ああ、あなた様は立ち上がらなくても大丈夫ですよ」


「私があなた様のお顔を支えて……移動して……」

 //SE 移動音


「ころん、としていただけますか?」

 //SE 触れあう音


「はい、これで逆の耳ができます」


「では、逆側のお耳も始めていきますね……」


「こちらも同様に……入り口から……」

 //SE 耳かき音


「カリカリ……」

 //SE 耳かき音


「ふふっ、気持ちいいですかー?」


「まずは、手前から……カリカリーと」

 //SE 耳かき音


「続けて真ん中を……」

 //SE 耳かき音


「最後に奥ですね……」

 //SE 耳かき音


「よさそうですね……」


「では、フワフワを入れていきますね」

 //SE 耳かき音 ふわふわ


「そして、最後に……ふー」

 //SE 息を吹く音


「ふふふっ、これでお耳の掃除は終わりです」


「どうですか? 癒やされましたか?」


「あら、すっかりお顔も蕩けてしまわれて……」


「もしかして、あなた様……眠くなっていらっしゃいませんか?」


「ふふふっ、上手くいきすぎてしまいましたか?」


「あなた様……このまま、お休みになってはいかがですか?」


「時間になったら私がキチンと起こして差し上げますから」


「はい、私に任せてください」


「では、よく眠れるように」


「トントンとさせていただきますね」


「きっと、気持ちよく眠れると思います」


「もし、気になるようでしたら言ってくださいね?」


「トントントン、トントントン」

 //SE 触れあおう音 トントン


「大丈夫そうですね。では、このまま続けていきますね」


「あなた様……ゆっくりと休んでくださいね」


「はい、そうです。力も抜いて……」


「トントントン、トントントン……」

 //SE 触れあおう音 トントン


「……ふふっ、落ち着いた寝顔ですね」


「気持ちよく眠っていただけたみたいです」


「あなた様……いつも本当にお疲れ様です」


「疲れたときは言ってくださいね?」


「私がいつでも癒やして差し上げますから……」







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