2章第7話 猫耳の亜人と風呂に入る

 猫耳と猫尻尾の女の子は白い髪色でへそが見える丈の短い水色のシャツとはいている短パンにベルトをつけ、足にはサンダルを履いている。


 見た目は中学生くらいの幼さ。しかし弓は使いこなせるようで女の子2人を襲っていた男達3人は彼女の弓矢攻撃でそれぞれ足、腕、肩をやられて逃げていく。


 そして女の子2人を気にかける。


「大丈夫かな?」


「うん、ありがとう白猫のお姉ちゃん」


「どういたしまして。このあたりは悪い人が多いから気をつけてね」


「うん」


 女の子2人は笑顔で去っていくと、猫耳の女の子は私を見つめる。


「何でしょう?」


「あんたもあの男らの仲間?」


「いえ、私はその……さっきの女の子達を助けようと」


「怪しいわね。綺麗なドレスにティアラ。王子様に敵対する者の刺客かしら?」


 まともな会話もなしに私に弓矢を向ける猫耳の女の子。私は冷静に説明する。私はこの15年間教会でコミュニケーションを取れるように友達の会話をこなしてきた。


 もちろんまともな会話が出来るような教室にも通った。


 これにより私は弓矢を向けられていても猫耳の女の子と冷静に会話が出来る。


「私はこの町に初めて来た旅人です。このドレスとティアラは自腹で購入したもので今日は観光ついでにお風呂でも入ろうかと」


「そう、でも確かに本物のお姫様がこんな路地裏をドレス姿で1人で歩くわけないもんね」


「はい、そんな時に先ほどの女の子2人が男達に襲われていたので助けようとしたのですが、その時あなた様が女の子2人を助けたというわけです」


「なるほどね。じゃあ身分証明カードを見せてくれる?」


「はい、お見せします」


 私は身分証明カードを見せる。それを確認した猫耳の女の子は私を信じた。


「お姫様の格好で美人さんだけど、身分証明カードの顔とそっくりでこのカードも本物ね。それに盗品リストにもない。なら信じるわ」


「ありがとうございます」


 私はコミュニケーションの勉強をして良かったとこの時思った。転生前はそこまで会話はうまくなかったのでこの世界ではそういう事がないようにしようと頑張ったのだ。


「ところであなた、お風呂を探しているの?」


「はい、この国では温かくて気持ちよくて美容効果もある温泉が多いと聞きました」


「それならおすすめの銭湯があるわ」


「銭湯ですか? 普通のお湯にはいるだけではないのですか?」


「単なるお湯じゃないわ。温泉と同じ効能の薬湯ばかりよ」


 この話を聞いた私は是非行ってみたいと思い、猫耳の女の子に案内してもらった。


 案内途中で猫耳の女の子が自己紹介をする。


「あんた、身分証明カードで名前分かるけどレーモンちゃんね」


「ちゃん?」


「生まれた年からして15歳ということは成人ね。私の年齢は正式には言わないけど20代前半よ」


「なんと!」


 私はこの猫耳の女の子が年上だなんて思えなかった。声も見た目も幼かったので年下かと思っていた。


「ちなみに、私の名前はウィンドウ。この国の第一王子、私が尊敬している王子様、ストームに仕える弓戦士よ」


「第一王子⁉ 王子様に仕えているのですか?」


「そうよ、何故? 驚くことでもないでしょ?」


 私はここで喜びとも夢ともいえる言葉を聞く。第一王子。私がこの世界で生まれてから仲良くなりたいと思っている存在。


 仲良くなって結婚して本物のお姫様になる。それはこの世界に生まれてから私が望んでいたもの。


 その第一王子に仕える戦士と仲良くなれるチャンス。これは仲良くしておきたい。


「驚きです。憧れの王子様の側にいられるのですから」


「大変よ。第一王子の護衛に派手な戦闘。命がいくつあっても足りないわ」


「そうなん……ですね」


「だから毎日疲れが取れる温泉とか薬湯には入っているのだけれどね」


 彼女は大変な思いをしている。それでも王子様に仕えることが出来るのは彼女のすごいところだ。


 私は彼女とその銭湯につくと、一緒に裸になってレモン風呂にはいる。


 これは私の名前を狙っての事なのかどうかは分からないが、私は彼女とレモン風呂で温まりながら会話する。


「気持ちよいです。ウィンドウ様」


「様ではなくウィンドウと呼び捨てでいいわ。敬語も不要。私もレーモンと呼ぶから」


「じゃあ、ウィンドウ……」


「どうしたの?」


「どうして、レモン風呂?」


「ここのレモン風呂がおすすめなのと、レーモンちゃんの名前がピンと来てね」


「やっぱり名前?」


「それにレーモンちゃんは綺麗な黄色い髪ね。エルフかハーフエルフ?」


「エルフって呼ばないで。そういう勘違いが私嫌い」


「あら、それはごめんなさい」


「最初だし許すよ。それにこのレモン風呂は気持ちい。一般人でも入れるなんて」


「これも王子様の民を思う気持ちよ。他の国ではこんなことないのだけれどね」


 この世界では珍しい一般市民にも風呂を提供してくれる王子。ストーム王子は一体どんな王子様なのだろうか気になるところだ。


 私はウィンドウと風呂に出た後、ウィンドウの体を洗うことを任された。


「どうかな?」


「気持ちいわ。こんなにいい感じで体を洗ってくれた人はあなたが初めてよ」


「そう……なんだ」


 私も緊張しているふりして本心は女の子の体、それも猫耳少女の体を洗えて興奮していた。

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