2章第6話 スプリングの港町へ
私は布団で寝転んで腹の痛みを直す。黄金のティアラをつけていれば痛みがなくなるからだ。ただお手洗いに関してはどうにもできない為、私はお手洗いをする。
便器は木で出来た壺で流しなどない。しかしそれを防止する異臭防止の魔法具があるため問題なかった。トイレットペーパーの代わりとなる紙もあり、それでお尻を拭いて手洗い場で手を洗い出る。手洗い場には鏡もあって表情を見るとかわいい女の子が映っていた。
だがそれは自分。転生前はキモオタ男性だったのに女の子になってみるだけでこんなに違うものだという。しかもお姫様の格好をするだけで本物のお姫様になった気分。
さっきまでショットガンを持って巨大イカと戦うような感じの子ではないと私は感じた。
そんな思いを持ちながらも、お手洗いを済ませるとダーツをやったり、船員を呼んでボードゲームで勝負したりした。
ちょうどチェスがあったのでそれをやる。
私は転生前、チェスのルールを知っていても得意ではなかった。しかし転生して10年たった時にマリンブルン教会で友達と対戦することで私はチェスが得意になった。
戦闘だけではなく、もしかしたらこういうゲームなどで勝負事があるかもしれない。それを考えてもゲームの事でも強くなっておく必要があった。
だからこそ本を読んだりして様々な知識を得たり、得意だと思うことは応用を重ねて新発見となるものを見つけたりした。
船員がそのことで私を褒める。
「流石ですお客様」
「レーモン。私の名前です」
「レーモン様でございますね。チェスはやられていたのですか?」
「10歳の時にチェスが得意な子がいて、その子に勝利のコツを教えてもらいました」
「それは強運ですな」
「そうでしょうか?」
「この世には一般のカジノがあれば裏カジノもあります。このようなご趣味なだけまだましと思う方が良いかと」
「どういう意味ですか?」
「調子に乗ってギャンブルしないという事です。いくら強運を持っていてもその運をつかいきれば最後は破滅。一文無しです」
確かにギャンブルは良くない。金をかけるわけで負け続ければ借金地獄。
そんなこともあり、私は警戒心を持つようにした。
最後は船員とワインを飲んで再びジャグジーに入り、そして就寝。
次の日、目が覚めた私はベルを鳴らして船員を呼び朝食を頼む。
「おはようございます。本日は何になさいますか?」
「じゃあ、レモンティー1つと、スクランブルエッグのセット」
「かしこまりました」
そう言って船員は部屋を出る。
レモンティーはすぐに用意され、私はそのレモンティーを飲む。そのレモンティーは懐かしい味がする。
そこで私は船員に聞く。
「このレモンティーのレモン。どこのやつですか?」
「はい、マリンブルンの北にあります農家のレモンです。貴族で農家に嫁いだ方がこのレモンを送ってくれるのです。それがもう美味しくて美味しくて」
「そう……なんですね」
これはおそらく私が育てたレモン。そして貴族に嫁いだ方というのは私の姉さんだろう。
船員は私にその貴族の事を教えてくれる。
「それでですね。レモンを我々に売ってくれるプリズム家の娘さんもかわいくて……」
「プリズム家ですか」
間違いない。プリズム家は私の姉で私のご両親の3女が嫁いでいる場所。
今でもレモンの出荷を怠っていないとなると畑は無事なのだろう。
私がその畑からいなくなって5年。確認もせず心配もされずで、きっと私の事は忘れられているだろう。
そんな不安なことを考えていると、スクランブルエッグのセットを別の船員が用意してきた。
スクランブルエッグと焼きたてトースト。そしてバターにイチゴジャム。サニーレタスとプチトマトという豪華な種類にオニオンスープもあった。
私はそれを食べ終えると、朝の風呂としてジャグジーに入る。これは眠気覚ましになるため良いものだった。
そして到着に備えてもろもろの準備を整える。やがてアナウンスが聞こえる。
『皆様、お待たせいたしました。まもなく目的地。スプリング王国の港に到着いたします』
船が到着したら、私は部屋を出て船を降りる。すると大勢の船員に見送られた。
「「「「ありがとうございました。またのご利用をお待ちしております」」」」
目立ってしまい気が休まらなかった。
さて、マリンブルンで得た情報だとこの港町には温泉成分を含んだ銭湯があるらしく、私は昼食前に寄ろうと考えていた。
その前にやることは買い物。なにか必要になりそうなものはないか見て回った。
その中には緑の液体の傷薬や美味しい水。さらに入浴剤など貴重な品がそろっていた。
また、犬耳や猫耳、エルフなんかの亜人が多く通りかかる。この世界で亜人は嫌われており、人種差別が激しいようだが、ここではそんなことはないようだった。
平和で良い町だと思っていた。しかし路地裏ではそうでもないようだ。
ごっついチンピラの盗賊のような男3人が女の子2人をいじめているようだ。
これは女の子を助けて感謝されるという異世界ではあるあるのやつだが、私が出る幕はなかった。
その男達を始末したのは私よりも先に素早くやってきた猫耳と猫尻尾の弓使いの女の子だった。
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