【Track4】リスト3「耳かきしてあげる」


  ◯自宅・寝室(夕)


  //学校を終え、帰宅してきたあなた

  SE後ろでドアを閉める音

  SEあなたが歩く足音



「いや~疲れた疲れた。今日も一日お疲れさま~」



  SE 足元に荷物が落ちる音

  //同時にベッドに飛び込むあなた

  SE ベッドに飛び込む音

  【DHM/右後ろ・遠】



「……って、うおうお、マジか」



  //あなたを覗き込む彼女

  【DHM/右後ろ・中】



「(苦笑いを浮かべながら)お~、もうベッドにダイブかー。ふふ、どんだけ疲れたの、今日」



「ほらもう、ちゃんとしないと服もシワシワになっちゃうよ」



  //あなた、拒むようにガサガサと動く。

  SE 衣擦れ音

  【DHM/右・中】



「もう……しょうがないなー。ま、今日くらい良いか。そのまんま休んじゃっても」



「あ、じゃあその代わりにさ、やりたいことあるんだけど。いい?」



「えーっと、ちょっと待ってね……持ってこれるかな……」



  //あなた、起き上がる

  SE あなたが起き上がる衣擦れ音

  【DHM/正面・中】



「できた。じゃじゃーん! 耳かきで~す。これで、あなたを耳から癒してあげる」



「……え? どうやって取り出したのかって……」



「(少し拗ねた様子で)そんなことはいーの。私、幽霊なんだから。できるもんはできるのー」



  SEあなたが動いて衣擦れの音



「ほら、動かない動かない。耳かき、一回はしてみたかったんだ。なんか王道っぽいじゃん。イチャイチャの代名詞みたいな?」



「そうと決まれば~~」



「はい、そこ横になって。枕に頭預けて、左耳を上に向けてくださーい。はいはい、拒否権はありまっせーん」



  SE衣擦れの音

  //あなたが左耳を上にして寝転がる

  【DHM/左・中】



「あ、分かってると思うけど、膝枕はできないからね。私の身体スケスケだし。触れられないし」



  SE衣擦れの音



「もー、そのくらい我慢せい。耳かきはさわれるみたいだからいーの。じゃ、こっちからやるから」



  【DHM/左・近】



「(囁き)動いちゃだめだからね」



「んもう、なんだかんだやられる気満々じゃん。……えっーと、じゃあ……」



  SE 左耳・耳かき(竹)


  (間)



「……ん、どう? きもちい?」



  (間)



「……ふふ、ならよかった」



   (間)



「うお、でもちょっと難しいかも……えーっと……」



  (間)



「ふふ、大丈夫大丈夫。心配しなくてもいいよ。私、実は練習してたんだ。あなたに気持ちいい耳かきができるように」



「ほら、私、妹居たでしょ? あの子に練習相手になってもらってたの」



「だから、大丈夫。気持ち良くて、安全な耳かきはちゃんと心得てるから。安心して疲れを癒して?」



  (間)



「……あぁ、妹とか家族は大丈夫なのか……って? んー、そりゃ話してみたい気は少しあるけど……でも、私の声って多分、あなたにしか聞こえないの」



「だから、まぁちょっと申し訳ないけど、しょうがないよね。そもそも私はあなたにもっと好きって言いたくて幽霊になったんだから。そこに喜びな~?」



  (間)



「ふふ、よいしよし。良い子じゃん」



  (長い間)


  SE左耳・耳かき(竹)終了



「……うん、左はこんなもんかな?」



  //あなた、動こうとする

  SE衣擦れの音



「あぁぁ~、ちょっと待って。まだ動かないで」



「まだ仕上げがね。えっと……」



  //彼女、息を吸った後、あなたの左耳に吹きかける



「(吐息)ふぅーーーーっ……」



  //あなた、驚いて身じろぎする

  SE衣擦れの音



「……へへ、びっくりした? びっくりしたでしょ。ふふ」



「どう? 耳かき、気持ち良かった……かな?」



  (間)



「……ほんとに? やった、嬉しい。練習の成果、出たかもね」



  (間)



「じゃ、ほら。次は右耳。ひっくり返って~」



  //あなた、右耳を上にして寝転がる

  【DHM/右・近】



「リラックスしてね。肩の力抜いて、頭空っぽにして?」



「……うん。それじゃ……」



  SE右耳・耳かき(竹)開始

  (間)



「……どう? 痛いとことかない?」



  (間)



「……そか。よかった」



「ねね。ちょっとさ、想像してよ。ほら、目瞑って」



「えっとね、あなたは今、大好きな彼女に膝枕をされています。頭に触れているやわらか~い太ももが気持ち良くて、寝てしまいそう」



  (間)



「肝心の彼女は耳かきで、あなたをもっと癒そうとしてくれます。献身的で愛おしくて、かわいい彼女」



  (間)



「そんな彼女に、あなたはついつい愛の言葉を囁いてしまいます」



  SE右耳・耳かき(竹)停止



「(囁き)大好き……って」



「ふふ、どう? 大好きって言いたくなった?」



  (間)



「……え~? 言ってくれないの? 私がこーんなに尽くしてるっていうのに。なに恥ずかしがってんだよー全く」



  SE右耳・耳かき(竹)再開



「ま、良いけどさ、別に。あなたが恥ずかしがり屋なのは知ってるし」



「でも、成仏するまでには言ってもらうからね。覚悟しといてよ。ふふ」



  (間)



「んー、大分綺麗になってきた……かな……」



  (間)



「あ、ちょっとまって、あと少し……」



  (大きな間)



「……これでよし、と」



  SE:右耳・耳かき(竹)終了



「これも忘れずに……」



  //彼女、息を吸った後、あなたの右耳に吹きかける



「(吐息)ふぅーー……」



  【DHM/右・中】



「……はい、これでオッケー。どうだった? 耳かき。あなたの疲れ、ちょっとでも癒やせたかな……?」



  (間)



「……そか。ん。よかった。こちらこそ、私のやりたいことに色々付き合ってくれてありがとね。おかげで今、すっごく幸せ」



「……え? 次?」



「(茶化すように)なんだよ、ノリノリじゃ~ん」



  (間)



「ふふふ、ごめんごめん。次は……もう、寝よっか。疲れてるだろうし」



「……なに照れてんのさ。いいからほら……」



  【DHM/右・近】



「(囁き)いっしょに添い寝、しよ?」



  //リスナー、布団で身じろぎする

  SE 衣擦れ音


  //音声、徐々にフェードアウト




《Track4終了》

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