第20話 魔神シェムハザード 3

 ここからはシェムハザードの視点になりますわ。 昨今のコンプライアンス事情に配慮してシェムハザードのセリフの一部を皇女としておりますが、ブ◯、デ◯、などお好きな読み仮名を振ってお読み下さい。


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「な……なんだ? 何もない……クックック、アーハッハッハッハ!! ただのこけ脅しか!! 雑魚が!! イキりやがって!! この僕を一瞬でもビビらせるなんて許せねぇ!! お前等まとめてぐちゃぐちゃにしてやる! 後悔しながら死ねぇ! 超暗黒重力崩壊グラビオンカタストロフィー!!」


 クックックック、アーハッハッハッハ!!

 この僕に楯突くからこうなるんだ! 奴等粉々になったな!


 ふむ、しかし冷静になると、ちとやりすぎたかな。


 辺り一帯が更地になり大地に幾つものひび割れが入り地盤が沈んでいる。


「部下どもも全て死んだか…… まぁいい。 面倒だがまた創れば良い……」


「どぉりゃああ!!」


「何ッ!?」


 いつの間にか背後にいた皇女が右手に亜空間を纏って攻撃をしてくる。


 それを回し蹴りで一蹴すると、確実に殺す力を込めた為吹き飛んで爆散する。


「まさか生きていたとは…… 超暗黒重力崩壊グラビオンカタストロフィーからどうやって逃れた…… なっ!?」


「ちぇすとぉーー!!」


 またしてもどこからか皇女がやってきて攻撃を仕掛けてくる!


「ちぃ! 砕け散れ!!」


 今度は魔力波で粉々にしてやった! これでもう……


「どういう事だ……」


 あの皇女が実は双子だとか三つ子だとかもしくは六つ子だったとか、そんな考えも一瞬過ぎったが、もはやそんな話しではなくなっている……


 なぜなら、目の前には無数の皇女が居て攻撃を仕掛けようと向かって来ているのだから……




 5時間後…………



「ちぃ、次から次へと湧いて出てきやがって……」


 あれからずっと襲ってくる皇女を撃退し続けているが一向に終わる気配がない……


「いつからだ……」


 一体いつから僕はこの幻術にかかっている? やはりあの何事も起きなかったパンチからか?


 足下には無数の皇女だったものの遺体というか残骸……

 それでも変わらずどんどん皇女はやってくる……


 これはもう現実じゃあない、確実に幻覚、幻術の類だ。

 問題はそれが一向に覚めない事だ……


 この皇女どもを一定数殺せばいいのか、何か解除するトリガーがあるのか……

 しかし僕の魔力は無尽蔵に生み出される。

 この幻術を維持するにも相応の魔力が必要の筈……


 どっちが先に根を上げるか、さぁ勝負と行こうか!!







 5ヶ月後………………


 ハァハァハァ…… おかしい…… 一体どれほどの魔力を持っているんだ……


 考えられる事は大体やった、大規模破壊、空間断裂、空間転移なども、後は死ぬ事がトリガーかと思ったが決して死ねない身体では試す事が出来なかった。


 辺りはもう無数の屍……


 腐った皇女、白骨皇女、生首皇女、輪切皇女、踊る皇女、走る皇女、笑う皇女、喋る皇女、寝る皇女、食べる皇女、奇行種皇女……


 右をみても皇女、左を見ても皇女、上から皇女が振ってくる、股の下に皇女、振り向けば皇女、スキマ皇女……


 見返り皇女、ウォーキング皇女、崖の下の皇女、紅の皇女、となりの皇女、跳んで皇女、皇女の名は……


 皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女皇女…………


 もう疲れたよフリルラッシュ…… 死のうと思っても死ねないので僕は考えるのをやめた……







 50年後………………


「あなた! 産まれましたわ! 7000gの元気な女の子です!」


「おお!! よく頑張ったなフリル! 産んでくれてありがとう!」


 僕はフリルから産まれたばかりの赤子を手渡されるとまだ据わっていない首に気をつけて抱き上げる。


「とてもフリルに似て可愛いね!! ちっちゃくてもフリルだ!!」


「早速お父様達にも見せましょう!」


「どうも、フリルの父のフリルです」


「フリルの母のフリルよ」


「フリルの姉のフリルですわ」


「フリルの弟のフリルだよ」


「あ、どうも魔神のシェムハザードです」


 アハハハ、ウフフフフ、アーハッハッハッハ、ウーフッフッフ、ゲヘゲヘゲヘヘ……

 


 あああああああー!! もうわかった!! もうウンザリだ!!

 全て…… 全て消し飛ばして星ごと創世してやる!!!


「全て消し飛べ!!! 超新星爆発スーパーノヴァー!!!」











 47億年後………………


 星の始まりから人類の誕生、進化。 さらに文明の発展までを見守ってきた……


 時には猿と大差ない人類に知恵を与え、時には進化の切欠を与え、大災害には奇跡を起こし助けてきた。


 いつの間にか僕は魔神ではなく神と崇められるようになっていた。


 そう、フリル様と共に……


 フリル様……いや女神…… あぁ、僕の神はこんな所に居た……


 病める時も健やかなる時も僕と共にいてくれたフリル女神様!!


 あぁ、いつまでも一緒に…………




 

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皇女フリルははばからない! 〜第3皇女に転生したので、ユルユル生活してたらいつの間にか女神にされてた!?〜 素朧 @IITU

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